■病気 食道がん [病気(さ行)]
高齢の男性に多くみられるがん
食道がんとは、のどと胃をつなぐ細長い管である食道に発生するがんです。消化管のがんでは胃がん、大腸がんほどではありませんが、比較的多くみられ、近年のがんの臓器別死亡率をみると、徐々に増加する傾向にあります。特に、50~70歳代の男性に多くみられます。
食道がんの中で最も一般的なのは、扁平(へんぺい)上皮細胞がんと、腺(せん)がんの2種類です。
直径およそ1・5センチ、長さ25センチの食道の内面は、粘膜の扁平上皮で覆われています。この薄くて平たい粘膜の細胞から発生するのが、扁平上皮細胞がん。食道の上部、および中央部に最も頻繁に発生しますが、食道に沿ってあらゆる場所に発生する可能性があります。日本では、食道がん全体の90パーセント以上を占めます。
一方、食道の内側の食道腺は、粘液などの体液を産生し、放出しています。この食道腺の細胞から発生するのが、腺がん。通常、胃に近い食道下部に発生します。日本では、食道がん全体のおよそ5パーセントを占めます。
食道がんの発生原因は、ほかのがんと同様、はっきりしたことはまだ解明されていません。しかし、女性の約7倍と圧倒的に男性に多く、喫煙者とアルコールの常用者、腺がんでは慢性の逆流性食道炎(バレット食道)のある人などに多いと見なされています。そのほか、香辛料などの刺激物、熱い食事や熱いお茶などを好む人にも、食道がんが多いといわれています。
早期がんでは症状のないことも
早期の食道がんと、進行した食道がんでは、その症状がかなり異なります。
早期では、症状のないことがしばしばあります。食べ物のつかえを感じる人は少なく、熱い飲み物、アルコール類、あるいは酢の物、ミカン類などの刺激物が食道を通過する際に、しみるのを感じることが多いようです。
進行したがんでは、食べ物を飲み込む際に途中でつかえる感じ、胸の辺りの異物感などがあり、固形物が飲み込みにくくなる嚥下(えんか)困難を生じ、飲み込む際に痛みが生じることもあります。
さらに進行してくると、腫瘍(しゅよう)によって食道が狭くなり、水分を取ることもできなくなります。食道に隣接する臓器に、がんが浸潤してくると、食道の症状以外の、いろいろな症状も出てきます。体重減少、吐血、嘔吐(おうと)、せき、声がれ、胸部痛、背部痛などです。
手術を主に放射線治療、化学治療も
進行した食道がんは隣接する他の臓器やリンパ節を侵し、末期には肝転移もみられるため、早期発見、早期治療が何より大切となります。比較的周囲に浸潤しやすい理由としては、食道が他の消化器臓器と異なり、外膜である漿(しょう)膜を有していないことが挙げられます。
医師が早期治療するには、粘膜がんの状態で発見することが必要ですが、この段階では、ほとんどの人に症状の自覚はみられません。粘膜がんの状態で治療されるような人は、上部消化管内視鏡検査を含めたスクリーニング検査で発見されています。人間ドックや検診で、胃の異常を指摘され、内視鏡検査を受けた際に、食道に発赤粘膜やわずかな凹凸病変などを指摘された人です。
ほかの消化管がんでも同じですが、今日では粘膜がんであれば内視鏡で治療できるようになっています。
進行がんになれば、外科的な手術療法が最も一般的な治療法となります。食道周囲のリンパ節を取り除き、顕微鏡検査でがんがあるかどうかを調べます。一部の食道が腫瘍により閉塞(へいそく)されている場合、食道を拡張させておくために金属チューブ(ステント)を留置することもあります。
食道切除術と呼ばれる手術で、食道の一部を摘出することもあります。飲食物を飲み込むことができるように、残っている食道の健常な部分を胃につなぎます。プラスチックチューブや腸の一部を利用して、食道をつなぐこともあります。
放射線療法では、高エネルギーX線やその他の種類の放射線を用いて、がん細胞を殺します。この放射線療法には、体外照射と体内照射という2つのタイプがあります。体外照射では、体外の機械を用いてがんに放射線を照射します。体内照射では、放射性物質を密封した針、シーズ、ワイヤ、カテーテルをがんの内部またはその近くに直接留置して、がんに放射線を照射します。放射線療法の方法は、がんの種類や病期によって異なります。
化学療法では、抗がん薬を用いてがん細胞を殺すか、細胞分裂を停止させることで、がん細胞の増殖を停止させます。口から服用したり、筋肉や静脈内に薬剤を注入する全身化学療法では、血流を通って全身のがん細胞に影響します。脊柱(せきちゅう)、臓器、腹部などの体腔(たいくう)に薬剤を直接注入する局所化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中にあるがん細胞に影響します。化学療法の方法も、がんの種類や病期によって異なります。
レーザー療法では、強い光の細い光線であるレーザー光線を用いてがん細胞を殺します。 電気凝固療法では、電流を用いてがん細胞を殺します。
このほかに温熱療法、免疫療法も行われますが、これらの治療法は通常単独で行われることはなく、いくつかの治療法を適切に組み合わせて行われます。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
食道がんとは、のどと胃をつなぐ細長い管である食道に発生するがんです。消化管のがんでは胃がん、大腸がんほどではありませんが、比較的多くみられ、近年のがんの臓器別死亡率をみると、徐々に増加する傾向にあります。特に、50~70歳代の男性に多くみられます。
食道がんの中で最も一般的なのは、扁平(へんぺい)上皮細胞がんと、腺(せん)がんの2種類です。
直径およそ1・5センチ、長さ25センチの食道の内面は、粘膜の扁平上皮で覆われています。この薄くて平たい粘膜の細胞から発生するのが、扁平上皮細胞がん。食道の上部、および中央部に最も頻繁に発生しますが、食道に沿ってあらゆる場所に発生する可能性があります。日本では、食道がん全体の90パーセント以上を占めます。
一方、食道の内側の食道腺は、粘液などの体液を産生し、放出しています。この食道腺の細胞から発生するのが、腺がん。通常、胃に近い食道下部に発生します。日本では、食道がん全体のおよそ5パーセントを占めます。
食道がんの発生原因は、ほかのがんと同様、はっきりしたことはまだ解明されていません。しかし、女性の約7倍と圧倒的に男性に多く、喫煙者とアルコールの常用者、腺がんでは慢性の逆流性食道炎(バレット食道)のある人などに多いと見なされています。そのほか、香辛料などの刺激物、熱い食事や熱いお茶などを好む人にも、食道がんが多いといわれています。
早期がんでは症状のないことも
早期の食道がんと、進行した食道がんでは、その症状がかなり異なります。
早期では、症状のないことがしばしばあります。食べ物のつかえを感じる人は少なく、熱い飲み物、アルコール類、あるいは酢の物、ミカン類などの刺激物が食道を通過する際に、しみるのを感じることが多いようです。
進行したがんでは、食べ物を飲み込む際に途中でつかえる感じ、胸の辺りの異物感などがあり、固形物が飲み込みにくくなる嚥下(えんか)困難を生じ、飲み込む際に痛みが生じることもあります。
さらに進行してくると、腫瘍(しゅよう)によって食道が狭くなり、水分を取ることもできなくなります。食道に隣接する臓器に、がんが浸潤してくると、食道の症状以外の、いろいろな症状も出てきます。体重減少、吐血、嘔吐(おうと)、せき、声がれ、胸部痛、背部痛などです。
手術を主に放射線治療、化学治療も
進行した食道がんは隣接する他の臓器やリンパ節を侵し、末期には肝転移もみられるため、早期発見、早期治療が何より大切となります。比較的周囲に浸潤しやすい理由としては、食道が他の消化器臓器と異なり、外膜である漿(しょう)膜を有していないことが挙げられます。
医師が早期治療するには、粘膜がんの状態で発見することが必要ですが、この段階では、ほとんどの人に症状の自覚はみられません。粘膜がんの状態で治療されるような人は、上部消化管内視鏡検査を含めたスクリーニング検査で発見されています。人間ドックや検診で、胃の異常を指摘され、内視鏡検査を受けた際に、食道に発赤粘膜やわずかな凹凸病変などを指摘された人です。
ほかの消化管がんでも同じですが、今日では粘膜がんであれば内視鏡で治療できるようになっています。
進行がんになれば、外科的な手術療法が最も一般的な治療法となります。食道周囲のリンパ節を取り除き、顕微鏡検査でがんがあるかどうかを調べます。一部の食道が腫瘍により閉塞(へいそく)されている場合、食道を拡張させておくために金属チューブ(ステント)を留置することもあります。
食道切除術と呼ばれる手術で、食道の一部を摘出することもあります。飲食物を飲み込むことができるように、残っている食道の健常な部分を胃につなぎます。プラスチックチューブや腸の一部を利用して、食道をつなぐこともあります。
放射線療法では、高エネルギーX線やその他の種類の放射線を用いて、がん細胞を殺します。この放射線療法には、体外照射と体内照射という2つのタイプがあります。体外照射では、体外の機械を用いてがんに放射線を照射します。体内照射では、放射性物質を密封した針、シーズ、ワイヤ、カテーテルをがんの内部またはその近くに直接留置して、がんに放射線を照射します。放射線療法の方法は、がんの種類や病期によって異なります。
化学療法では、抗がん薬を用いてがん細胞を殺すか、細胞分裂を停止させることで、がん細胞の増殖を停止させます。口から服用したり、筋肉や静脈内に薬剤を注入する全身化学療法では、血流を通って全身のがん細胞に影響します。脊柱(せきちゅう)、臓器、腹部などの体腔(たいくう)に薬剤を直接注入する局所化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中にあるがん細胞に影響します。化学療法の方法も、がんの種類や病期によって異なります。
レーザー療法では、強い光の細い光線であるレーザー光線を用いてがん細胞を殺します。 電気凝固療法では、電流を用いてがん細胞を殺します。
このほかに温熱療法、免疫療法も行われますが、これらの治療法は通常単独で行われることはなく、いくつかの治療法を適切に組み合わせて行われます。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
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