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■心構えから脳を活性化する2 [頭を鍛える]

[トイレ]興味を引く目的が頭を鍛える
 さて、人間にとっては、六十歳をすぎても頭脳を明晰に維持するための心構えや、気構えも大切である。
 今、人生は八十年といわれる時代である。一般のサラリーマンであれば、定年後もう一度人生があるようなものである。老後も知性を保ちながら、いかに心身とも充実したものにするかということは、これからますます重要になる。
 人間とは、目的なしには生きられないものである。趣味もなく、定年まで仕事一筋できたような人は、往々にして老け込みやすい。定年後、ボケるのを待つばかりの生活では、人生はつまらないものになってしまう。
 幸いなことに、現代社会は人それぞれ、さまざまな楽しみ方ができる。自分が一生かかわることのできる目的を、一つでも持つことができれば、その人の人生は有意義で、張りのあるものになる。芸は身も、心も助けてくれるのである。
 人生の目的は、何よりも自分の好きなもの、興味のあるものでなければならない。興味が湧かないことに時間を費やすのは、時間の浪費であろう。逆に、他人からはつまらないことのようにいわれることでも、興味のあることになら徹底的に首を突っ込み、考え抜くべきだ。
 人間は誰もが、嫌いな仕事や勉強をしている時は、時間がたつばかりで、なかなか集中などできないものであるが、面白く、楽しいと思うことには、何の苦もなく集中できるものである。だから、興味を引く問題に関する情報は、大した努力もなくおのずと頭に入るだろう。
 それは、頭を鍛える上で大変効果的である。誰でも興味のあるものに引かれるという、ありがたい性癖を神から与えられているのだから、頭を鍛えるためにも大いにそれを利用するべきであろう。
 この点、余暇時間を利用して、定年までの期間コツコツと知識を深め、技術を磨くことができれば、その人の老後は最高のものになる。一見つまらないものでも、その道を極めれば専門家、達人になれるというものだ。例えば、現役のサラリーマン当時から英検や不動産鑑定士、税理士、中小企業診断士など何か特殊資格を取っておくことが、定年後の人生に役立つ場合が相当多いようだ。
 一方、人生の目的もなく、興味を引く趣味や仕事もなく、じっとしていては頭のほうもボケてくる。古い細胞だから、刺激を与えて、年を取らないようにしなければならない。 細胞の中では、脳細胞を一番大事にせねばならないのである。なぜならば、これを悪くしてしまうと、生命に関するほどの危なさもあって始末が悪いからだ。
 若い時の脳細胞の状態というものは、割合に新鮮で健康であるけれども、中年から老年となってくると、脳細胞のあり方というものは非常に重要なものになる。老人になればボケる、物忘れをする、頭脳が強く働かないというようなことも大いにあるから、頭脳の鍛錬が必要なのである。
 この脳細胞は意識的な影響を受けて、非常に変化をする。脳細胞は非常に精密、巧妙であるけれども、これがいろいろなことによって、能力を低下させることがあるのだ。
 例えば、睡眠不足の日は全くボケて役目を果たさないということもあったり、精神とか心とか意識とかいうものによって、頭脳が大変な変化をしたり影響を受けたりして、全く用をなさないようなことさえある。そうして、著しく変化すると思うと、元に戻るということもあって、実に変化が早い。この脳細胞を維持する自然の作用、これは肉体全体の自然の作用とも、少し違うものである。
[レストラン]楽しさという推進力を活用しよう
 では、どうすればよいか。それには、眠ることが一番である。そうすると五官的にスッキリ、ハッキリとして頭脳は新鮮になるから、物事がハッキリと処理できる。子供と老人は、よく寝ることが肝要。
 また、脳細胞を健全に保つには、気を使わないことである。つまらないことを気にしない、苦にしない、心配しない。のんきに楽しく生きて、余計なことに頭を使わない。いらざる思いや考えをしないで、自然の仕組みに任せること、常に頭脳を休ませておくことも肝心である。
 人間の頭の健康度は、集中力に比例する。頭の老化、すなわちボケは、集中力の低下によって現れる。つまらないことを気にして、イライラ、クヨクヨすることは、頭の正常な働きを妨げる。
 物忘れをしたり、やる気が起きなかったり、ちょっとしたことでもすぐ気になったりといった自覚がある場合は、注意したほうがよい。気になることは、ストレス状態になる前に取り除くこと、それが集中力低下、頭の老化防止のための前提条件なのである。
 こうして集中力があり、心にゆとりがあり、体に落ち着きがある老人は、喜怒哀楽を上手に表現し、セーブすることができる。感情は、人間の体や性格に微妙に影響を与えるものだ。プラスの感情とマイナスの感情をコントロールすることが、幸せにつながる。
 気分がいい、楽しい、やる気が出るというプラスの状態は、感情の問題であると同時に、ホルモン分泌がかかわっている。大脳基底核、大脳新皮質の前頭葉、側頭葉、大脳辺縁系に分布するドーパミンが、前向きな快感をもたらすのである。ドーパミンが分泌することで、意欲的な精神状態を作り、プラスの方向に作用するのである。
 人間は通常、ホルモンをコントロールすることはできない。だが、精神の力で感情をコントロールすることは可能である。ドーパミンがプラスのホルモンであれば、当然マイナスのホルモンも存在する。恐怖のホルモンといわれるアドレナリン、怒りのホルモンといわれるノルアドレナリンである。逃避や不満の感情が高まった時は、必ずこれらのホルモンが分泌されている。
 怒りをほほ笑みに変え、マイナスのホルモンを分泌させないことが、幸せな人生を過ごすための秘訣である。生きていることを喜び、楽しく感じ、そう努めることが、人生をより充実させるのである。
 こういう楽しさという推進力を、人間はもっと活用すべきなのである。人間が生きるに当たって、その大きな推進力となるものは、この楽しさである。
 遊びなどという面白いことのためには、ずいぶん元気も勇気も出るし、熱心になれるということは、遊びの中には楽しさという推進力があるからである。だから、仕事も、勉強も楽しくやれば、自然に運びがつくし、気も入るものである。
 楽しさを素直に楽しまない、楽しめないような人は、どうしても幸福とは縁が遠くなる。
 物事をなるべく楽しく見る、楽しく考える、そういう見方、考え方を身につけよう。毎日を、できるだけ明るい動作や態度で送るように気をつければ、それだけで、その人の生活はずっと楽しいものになる。
[喫茶店]高齢者が頭の老化を防ぐコツ
 そして、老後の自分の肉体を守るためには、やはり新陳代謝を活発にすることが必要になってくる。一日中こたつに座ってじっとしているのでは、長生きはできない。よく働き、よく体を動かし、よく歩く。あるいは体操をするとか、摂生を守るということによって、自分の健康は保てる。
 だが、足などを鍛えるのは心臓の鍛えにはなるが、それのみで頭の老化は防げない。原稿を書いたり、社会のために働いている人はボケずに、気楽にテレビの前で過ごしていたような人は案外ボケている。
 だから、ボケないためには、いろいろな本を読むとか、勉強するとか、書くとかする。先に触れたようにいろいろな趣味を持ってそれを楽しみ、絶えず頭を働かすということも大切である。
 短歌などは、頭を刺激し、安らぎも得られ、エンジョイできるということで、老後の趣味としてはいいだろう。
 一日規律のある生活をすること。早起き、体操、乾布摩擦、散歩、さらに体をこまめに動かすために庭の草木の世話も勧めたい。疲れた時は休む。熟睡するとともに、ストレスをなくすには、やはり十分休むということが必要である。
 それから、バランスのとれた食事、特に蛋白(たんぱく)質を十分とり、ミネラル、カルシウム、ビタミンというようなもの、新鮮な野菜をよくとることである。
 最近では、音楽を聞くのもよいといわれ始めている。五官を通じて大脳に刺激を与え、活性化を促す音楽健康法が近年広まっており、クラシック音楽が老人の神経の安定に役立つという音楽療法の臨床実験が注目を集めている。脳機能を活性化させて、ボケを防ぐ効果もあるそうだ。
 しかしながら、感情が鈍くなっていては、いい音楽を聞いても、美しい絵を見ても、感動など湧こうはずもない。こういう人は腹の立つこともない代わりに、頭を鍛えることもないから、ボケるのを待つのみだ。
 頭脳を明晰に保つためには、常に感動する若々しい気持ちや、他人を理解しようという素直な態度を持ち続けていかなければならないということである。そのためには、テレビや報道写真をよく見ることが効果的だろう。
[バー]新たなことに挑戦する気概を
 今まで述べてきた中で最もよいのは、若い頃だけでなく、老後でも生涯現役として、打ち込める仕事を持つことである。健康で、元気な限りは何かできるはずだ。
 老人になっても、楽しみながら毎日の仕事をしていると、人間も向上するし、自分の生命そのものにも張りが出て、常に若々しく新しい道を求めてゆくことができる。若者のように、新しい芽を吹かせることもできるのである。
 現役で会社を経営したり、勤めている人は、バリバリやればいい。新しく商売を始めるシルバー企業家を目指すのもいい。かつての豊かな経験や一芸を生かせる人は、技術コンサルタント、経営コンサルタント、趣味教室の講師などを務めてはどうだろうか。
 私がいかに勧めても、「年を取って、もう力も出ない、何に対しても興味が湧かない」という人は、とにかく何か変わったことをやってみることだ。
 子供たちというものは、新しい字を覚えたり、新しい遊びを考え出したり、日々新鮮な学習意欲に満ちているものである。人間は義務感のみを感じて何かをやるような場合には、それを楽しむことができない。しかし、積極的に熱意を持ってやった場合は、その疲労感は普通の場合の五分の一、十分の一にもなる。
 年を取るごとに、この熱意が減退してゆくとしたら寂しいことである。老人になっても、子供の頃の気持ちを忘れてはいけない。仕事はもちろん、余暇の時間に関しても、常に新しいことに挑戦する気概を持ちたい。
 新しいことへの挑戦が、生きる上に楽しく、さらなる意欲を生み出すために役立つはずである。それによって、生きようという心や気力を盛んならしめるだけでも、大したものではないか。
 今から、ゴルフやテニスや山登りなどのスポーツで、体を鍛え直すのもいいだろう。改めて万巻の読書に取り組むのもいい。語学を勉強して、年に一回は世界を見て歩くのも結構だ。墨絵、粘土細工、男の料理などの稽古事、釣り、囲碁将棋、古典や植物の研究、何でもよい。学習することも立派な労働である。カルチャーセンターや教養講座は、今や社会に定着した感があるから、ここで学習意欲を燃やすのもいいだろう。
 知識は、商品のように金で買うことはできない。だからこそ、学びの日々、自己啓発の日々の中に人間の価値、喜び、楽しさ、幸福というものが実現されてくるのである。物事を知るということは楽しい。勉強は面白いものである。
 今日覚えたことは、今日の楽しさとなる。明日もまた、何かを覚えよう。明後日もまた、新しい知識を得、能力を進めて楽しく生きよう。
 あるいは、自然に触れて、自然の芸術を大いに味わうこともよい。盆栽いじりや、美術品、骨董品を味わって暮らすのもよいであろう。ボランティア活動で、体に蓄積された体験、経験をもって、世の中にお返しをするのもよい。
 積極的に社会の中へ出て、寝たきり老人の話し相手のボランティア活動など、何かの社会活動に参加する意欲と行動が、自らの病気さえ吹き飛ばすものではないか。
 老化しないためには、こうした場をどんどん利用して、積極的に生きることである。つまり、何かに挑戦するとか、新しい人と接するとか、前向きに考えることが大切になるのである。しかも、自分のやっていることが、人のためになっているという実感があるほど若々しくなる。だから、持てる生命力を、人のためにフルに使えるようなものをつかむことが、高齢化社会を生き抜く秘訣ではないだろうか。
 また、老齢になっても社会生活に参加していれば、知的発達があり、進歩するもので、隠居などすると脳の退化が早い。老人は進んで社会生活に参加せよ。頭を働かせろ。




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