■病気 皮膚結核 [病気(ひ)]
結核菌の感染によって起こる皮膚病
皮膚結核とは、結核菌の感染によって起こる皮膚病。自覚症状はありませんが、治っても醜い跡を残します。
病変部に結核菌が確認できる真性皮膚結核と、結核菌が確認できない結核疹(しん)に分かれます。真性皮膚結核には、尋常性狼瘡(ろうそう)、皮膚腺(せん)病、皮膚疣状(ゆうじょう)結核などがあります。結核疹には、壊疽(えそ)性丘疹(きゅうしん)状結核疹、バザン硬結性紅斑(こうはん)などがあります。
皮膚結核の現れ方としては、結核菌が外部から皮膚に感染して、そこに病巣を作る場合と、自分の体内のほかの結核感染巣から連続性に、またはリンパ管や血管を通って皮膚に生じる場合とがあります。
◆尋常性狼瘡
結核菌に対して免疫がある人の皮膚に、結核菌が感染して起こります。肺などに感染した結核菌が血液、リンパ液を介して皮膚に感染する場合と、直接皮膚に感染する場合とがあります。非常にまれな疾患ですが、真性皮膚結核の中では皮膚腺病とともに多い疾患です。
顔、特に鼻や唇に狼瘡小結節という、にきびのようなアワ粒くらいで、黄褐色調のしこりができ、これが次第に融合して赤い局面となって辺縁に広がってゆき、中心は瘢痕(はんこん)、引きつれを起こしてきます。丸い潰瘍(かいよう)ができたり、初めから不規則な塊ができる場合もあります。
◆皮膚腺病
首や腋わきの下などに、皮膚に近いリンパ節、骨、関節、筋肉、あるいは腱(けん)の結核感染巣から、結核菌が皮膚へ連続性に感染して起こります。活動性の肺結核を伴っていることがあります。
通常、首のリンパ節がはれることから始まり、その塊が少しずつ大きくなって皮膚と癒着して膿瘍(のうよう)となり、皮膚が自然に崩れて潰瘍ができます。膿瘍は、皮膚の中で互いにトンネル状に連なって、凹凸の目立つ瘢痕を作ります。
◆皮膚疣状結核
結核菌が外部から皮膚の傷に感染して、発症します。皮膚病変がいぼに似ている皮膚結核で、皮膚に傷を受けやすい四肢や尻(しり)にできることが多く、慢性に経過します。赤茶色のぶつぶつとして始まり、少しずつ広がりながら表面はいぼ状となります。中央は瘢痕を残して治ってきますが、辺縁は堤防状、いぼ状に盛り上がって、弧を描いたように連なってゆきます。
◆壊疽性丘疹状結核疹
比較的若い女性に、多く発症します。結核菌あるいはその代謝産物に対するアレルギーにより、皮膚の浅い部分の血管に炎症が起き、皮膚が小さく壊死して病変ができると考えられています。皮膚病変部には結核菌は見付かりません。
主に四肢の前側に、暗赤色のぶつぶつが多数できて、その中心部はかさぶたとなって取れ、小さい潰瘍となります。自然に治癒しますが、次々と新しいものができ、古いものと新しいものが混在します。
◆バザン硬結性紅斑
主として、若い女性の下腿(かたい)、特に両方のすねにできます。結核菌に免疫がある人の皮膚に、結核菌あるいはその代謝産物などが到達して起こるとされています。初めは、皮膚の下にエンドウ豆くらいのしこりが現れます。やがて、それが次第に大きくなって、ハトの卵くらいの赤い色をした硬いしこりとなり、長時間歩いたり、立った後などに、むくみが生じます。時には、表面がつぶれて、潰瘍(かいよう)になることもあります。
結節性紅斑の一種で、最近は結核性のものはほとんどありません。ほかの臓器に活動性の結核の合併が少ないこと、結核菌が見付けられないことなどから、結核との関連を否定する考え方もあります。
皮膚結核の検査と診断と治療
真性皮膚結核では、病変部から皮膚組織を取って結核菌を培養したり、核酸増幅法という特殊な検査で結核菌を証明します。一方、結核疹では、皮膚病変部には結核菌はいませんが、真性皮膚結核と同様、体のほかの臓器の結核感染巣を積極的に調べる必要があります。
どのような場合でも、結核菌の接触に対して発症するため、治療は抗結核療法を行うことになります。治療には数カ月ほど必要とされ、入院を行って治療する必要があります。
尋常性狼瘡の診断は、発疹の特徴、皮膚から取った組織の所見、結核菌の証明などから行います。ゴム腫、円板状エリテマトーデス、ハンセン病、サルコイドーシス、スポロトリコーシス、クロモミコーシスなどとの区別が必要です。治療は、抗結核薬のイソニアジドとリファンピシンの2剤やエタンブトールを加えた3剤を一緒に内服する併用療法を行い、半年から1年継続することが必要です。治っても瘢痕を残し、そこに有棘(ゆうきょく)細胞がんが発生するこがあるので、注意が必要です。
皮膚腺病の検査は、病巣からうみを取って結核菌の培養を必ず行います。ツベルクリン反応は陽性となり、赤沈も高進します。病巣部の範囲をCTやMRIで確認し、ほかの臓器に結核病変がないかを調べます。診断は、皮膚病変の特徴などから容易ですが、ゴム腫、悪性リンパ腫、非結核性抗酸菌症などとの区別が必要です。治療は、尋常性狼瘡に準じて抗結核薬を半年から1年間、内服します。
皮膚疣状結核の検査では、ツベルクリン反応は陽性になります。皮膚を取って組織の検査を行い、結核菌も必ず培養して診断の参考にします。尋常性狼瘡、クロモミコーシスなどとの区別が必要です。治療は、尋常性狼瘡に準じて抗結核薬を内服します。
壊疽性丘疹状結核疹では、抗結核薬などが使用されますが、治療に抵抗することが多く、皮膚病変は出たり消えたりします。
バザン硬結性紅斑の検査では、よく似た疾患である結節性紅斑、血栓性静脈炎、ベーチェット病などと区別するために、皮膚組織を取って調べます。治療は、下肢の安静が最も重要で、寝る時に下腿を高くし、長時間の歩行や立ち作業はやめなければなりません。抗結核薬や非ステロイド性消炎薬も用いられます。
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皮膚結核とは、結核菌の感染によって起こる皮膚病。自覚症状はありませんが、治っても醜い跡を残します。
病変部に結核菌が確認できる真性皮膚結核と、結核菌が確認できない結核疹(しん)に分かれます。真性皮膚結核には、尋常性狼瘡(ろうそう)、皮膚腺(せん)病、皮膚疣状(ゆうじょう)結核などがあります。結核疹には、壊疽(えそ)性丘疹(きゅうしん)状結核疹、バザン硬結性紅斑(こうはん)などがあります。
皮膚結核の現れ方としては、結核菌が外部から皮膚に感染して、そこに病巣を作る場合と、自分の体内のほかの結核感染巣から連続性に、またはリンパ管や血管を通って皮膚に生じる場合とがあります。
◆尋常性狼瘡
結核菌に対して免疫がある人の皮膚に、結核菌が感染して起こります。肺などに感染した結核菌が血液、リンパ液を介して皮膚に感染する場合と、直接皮膚に感染する場合とがあります。非常にまれな疾患ですが、真性皮膚結核の中では皮膚腺病とともに多い疾患です。
顔、特に鼻や唇に狼瘡小結節という、にきびのようなアワ粒くらいで、黄褐色調のしこりができ、これが次第に融合して赤い局面となって辺縁に広がってゆき、中心は瘢痕(はんこん)、引きつれを起こしてきます。丸い潰瘍(かいよう)ができたり、初めから不規則な塊ができる場合もあります。
◆皮膚腺病
首や腋わきの下などに、皮膚に近いリンパ節、骨、関節、筋肉、あるいは腱(けん)の結核感染巣から、結核菌が皮膚へ連続性に感染して起こります。活動性の肺結核を伴っていることがあります。
通常、首のリンパ節がはれることから始まり、その塊が少しずつ大きくなって皮膚と癒着して膿瘍(のうよう)となり、皮膚が自然に崩れて潰瘍ができます。膿瘍は、皮膚の中で互いにトンネル状に連なって、凹凸の目立つ瘢痕を作ります。
◆皮膚疣状結核
結核菌が外部から皮膚の傷に感染して、発症します。皮膚病変がいぼに似ている皮膚結核で、皮膚に傷を受けやすい四肢や尻(しり)にできることが多く、慢性に経過します。赤茶色のぶつぶつとして始まり、少しずつ広がりながら表面はいぼ状となります。中央は瘢痕を残して治ってきますが、辺縁は堤防状、いぼ状に盛り上がって、弧を描いたように連なってゆきます。
◆壊疽性丘疹状結核疹
比較的若い女性に、多く発症します。結核菌あるいはその代謝産物に対するアレルギーにより、皮膚の浅い部分の血管に炎症が起き、皮膚が小さく壊死して病変ができると考えられています。皮膚病変部には結核菌は見付かりません。
主に四肢の前側に、暗赤色のぶつぶつが多数できて、その中心部はかさぶたとなって取れ、小さい潰瘍となります。自然に治癒しますが、次々と新しいものができ、古いものと新しいものが混在します。
◆バザン硬結性紅斑
主として、若い女性の下腿(かたい)、特に両方のすねにできます。結核菌に免疫がある人の皮膚に、結核菌あるいはその代謝産物などが到達して起こるとされています。初めは、皮膚の下にエンドウ豆くらいのしこりが現れます。やがて、それが次第に大きくなって、ハトの卵くらいの赤い色をした硬いしこりとなり、長時間歩いたり、立った後などに、むくみが生じます。時には、表面がつぶれて、潰瘍(かいよう)になることもあります。
結節性紅斑の一種で、最近は結核性のものはほとんどありません。ほかの臓器に活動性の結核の合併が少ないこと、結核菌が見付けられないことなどから、結核との関連を否定する考え方もあります。
皮膚結核の検査と診断と治療
真性皮膚結核では、病変部から皮膚組織を取って結核菌を培養したり、核酸増幅法という特殊な検査で結核菌を証明します。一方、結核疹では、皮膚病変部には結核菌はいませんが、真性皮膚結核と同様、体のほかの臓器の結核感染巣を積極的に調べる必要があります。
どのような場合でも、結核菌の接触に対して発症するため、治療は抗結核療法を行うことになります。治療には数カ月ほど必要とされ、入院を行って治療する必要があります。
尋常性狼瘡の診断は、発疹の特徴、皮膚から取った組織の所見、結核菌の証明などから行います。ゴム腫、円板状エリテマトーデス、ハンセン病、サルコイドーシス、スポロトリコーシス、クロモミコーシスなどとの区別が必要です。治療は、抗結核薬のイソニアジドとリファンピシンの2剤やエタンブトールを加えた3剤を一緒に内服する併用療法を行い、半年から1年継続することが必要です。治っても瘢痕を残し、そこに有棘(ゆうきょく)細胞がんが発生するこがあるので、注意が必要です。
皮膚腺病の検査は、病巣からうみを取って結核菌の培養を必ず行います。ツベルクリン反応は陽性となり、赤沈も高進します。病巣部の範囲をCTやMRIで確認し、ほかの臓器に結核病変がないかを調べます。診断は、皮膚病変の特徴などから容易ですが、ゴム腫、悪性リンパ腫、非結核性抗酸菌症などとの区別が必要です。治療は、尋常性狼瘡に準じて抗結核薬を半年から1年間、内服します。
皮膚疣状結核の検査では、ツベルクリン反応は陽性になります。皮膚を取って組織の検査を行い、結核菌も必ず培養して診断の参考にします。尋常性狼瘡、クロモミコーシスなどとの区別が必要です。治療は、尋常性狼瘡に準じて抗結核薬を内服します。
壊疽性丘疹状結核疹では、抗結核薬などが使用されますが、治療に抵抗することが多く、皮膚病変は出たり消えたりします。
バザン硬結性紅斑の検査では、よく似た疾患である結節性紅斑、血栓性静脈炎、ベーチェット病などと区別するために、皮膚組織を取って調べます。治療は、下肢の安静が最も重要で、寝る時に下腿を高くし、長時間の歩行や立ち作業はやめなければなりません。抗結核薬や非ステロイド性消炎薬も用いられます。
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