■病気 しらくも(頭部白癬) [病気(し)]
水虫などを起こす白癬菌が頭部に感染して起こる皮膚病
しらくもとは、かび(真菌)の一種である白癬(はくせん)菌が頭部の皮膚、毛髪に感染して起こる皮膚病。頭部白癬、頭部浅在性白癬ともいいます。
一群の白癬菌は、皮膚の表面にある角層につき、そこでケラチンという皮膚の蛋白(たんぱく)を栄養源として増殖し、感染を起こします。足の裏、足指の間にできる足白癬、すなわち水虫を始めとして、体のどこにでも白癬ができる可能性があります。
白癬が頭部にできた、しらくもの症状は、感染した部分の毛穴が境界のはっきりした類円形に赤くはれ、白い鱗屑(りんせつ、ふけ)が付着します。軽いかゆみがあり、頭皮がカサカサして髪の毛が抜けやすくなり、円形のまだらな脱毛を起こしたりします。症状が進行すると、発熱を伴ったり、リンパ腺(せん)がはれたりすることもあります
この型のしらくもは、昭和25年ころまでは、小学生を中心にたくさんみられましたが、現在は非常に少なくなっています。 今でも発症するのは10歳以下の小児がほとんどで、高齢者などにみられることもあります。
しかし、近年は飼い猫などの動物の白癬が、人の頭や顔、首などに感染するケースが多くなっています。猫などの白癬菌である犬小胞子菌(ミクロスポルム・カニス菌)が頭についた時は、治療が不適切だと、毛に沿ってどんどん皮膚の深部に菌が入っていき、非常に治りにくいケルスス(ケルズス)禿瘡(とくそう)という深在性白癬になりやすいので注意が必要です。
ケルスス禿瘡では、うみ、しこりを伴うようになって、ズキズキする痛みがあり、耳介後リンパ節がはれることもあります。放置すると、瘢痕(はんこん)を残し、難治性の脱毛を生じます。
加えて、しらくも、ケルスス禿瘡は、最近では柔道、レスリングなど競技者の間でも増加中です。こちらはトンズランス感染症、新型水虫とも呼ばれ、白癬菌の一種であるトリコフィトン・トンズランス菌によるもので、感染力が非常に強いのが特徴です。
このトリコフィトン・トンズランス菌は、犬小胞子菌(ミクロスポルム・カニス菌)と同様に毛の中に侵入しやすい白癬菌で、元来は中南米に生息していたものが、競技者同士が体を密着させ、擦過傷ができやすい柔道、レスリングなどの国際試合を通じて、1960年代に中南米からアメリカに持ち込まれ、続いてヨーロッパ、2000年以降に日本へも持ち込まれたものです。
しらくもの検査と診断と治療
しらくも(頭部白癬)、ケルスス禿瘡の症状が見られる場合、皮膚科で検診すべきです。自然に治癒することは難しく、放置すると治癒にも時間が掛かります。また、犬小胞子菌(ミクロスポルム・カニス菌)やトリコフィトン・トンズランス菌は感染力が強いため、完全に治癒しないと、再発する可能性が高く、他の人や動物への感染源になってしまいます。
犬小胞子菌は、人間から猫などの動物にも感染します。もし柔道、レスリングなどの競技者や、競技者の家族である場合は、検診時に医師にその旨を伝えるのがよいでしょう。
医師によるしらくも(頭部白癬)、ケルスス禿瘡の検査では、ふけや皮膚、毛を水酸化カリウムで溶かし、溶けずに残る白癬菌を顕微鏡で観察する方法が一般的で、皮膚真菌検査と呼ばれます。 時には、培養を行って、原因菌の同定を行うこともあります。
治療としては、経口抗真菌剤を1~3カ月に渡って内服します。悪化する恐れがあるため、外用剤は使用しません。例えばケルスス禿瘡の場合、頭のしらくもをかぶれと間違って副腎(ふくじん)皮質ステロイド外用剤を塗っているうちに、症状が進展して生じる場合も多いといえます。ステロイド外用剤を早急に中止することが必要です。
経口抗真菌剤と併用して、せっけんや、抗真菌剤の入ったシャンプーなどで、よく洗髪します。通常、しらくもが治れば、脱毛した部分の頭髪は生えてきます。
なお、トリコフィトン・トンズランス菌によるものは、接触する機会の多い競技者間で感染する例が非常に多い疾患です。そこで、家族に柔道などの競技者がいる場合、予防のポイントは次のようなことになります。
感染を防止するため、練習や試合後にはできるだけ早く、シャワーで頭や体を洗い流す。柔道着、トレーニングウエア、使ったタオルは、こまめに洗濯する。脱衣所、感染者の部屋は、まめに掃除をする。タオルなどの共用を行わない。
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しらくもとは、かび(真菌)の一種である白癬(はくせん)菌が頭部の皮膚、毛髪に感染して起こる皮膚病。頭部白癬、頭部浅在性白癬ともいいます。
一群の白癬菌は、皮膚の表面にある角層につき、そこでケラチンという皮膚の蛋白(たんぱく)を栄養源として増殖し、感染を起こします。足の裏、足指の間にできる足白癬、すなわち水虫を始めとして、体のどこにでも白癬ができる可能性があります。
白癬が頭部にできた、しらくもの症状は、感染した部分の毛穴が境界のはっきりした類円形に赤くはれ、白い鱗屑(りんせつ、ふけ)が付着します。軽いかゆみがあり、頭皮がカサカサして髪の毛が抜けやすくなり、円形のまだらな脱毛を起こしたりします。症状が進行すると、発熱を伴ったり、リンパ腺(せん)がはれたりすることもあります
この型のしらくもは、昭和25年ころまでは、小学生を中心にたくさんみられましたが、現在は非常に少なくなっています。 今でも発症するのは10歳以下の小児がほとんどで、高齢者などにみられることもあります。
しかし、近年は飼い猫などの動物の白癬が、人の頭や顔、首などに感染するケースが多くなっています。猫などの白癬菌である犬小胞子菌(ミクロスポルム・カニス菌)が頭についた時は、治療が不適切だと、毛に沿ってどんどん皮膚の深部に菌が入っていき、非常に治りにくいケルスス(ケルズス)禿瘡(とくそう)という深在性白癬になりやすいので注意が必要です。
ケルスス禿瘡では、うみ、しこりを伴うようになって、ズキズキする痛みがあり、耳介後リンパ節がはれることもあります。放置すると、瘢痕(はんこん)を残し、難治性の脱毛を生じます。
加えて、しらくも、ケルスス禿瘡は、最近では柔道、レスリングなど競技者の間でも増加中です。こちらはトンズランス感染症、新型水虫とも呼ばれ、白癬菌の一種であるトリコフィトン・トンズランス菌によるもので、感染力が非常に強いのが特徴です。
このトリコフィトン・トンズランス菌は、犬小胞子菌(ミクロスポルム・カニス菌)と同様に毛の中に侵入しやすい白癬菌で、元来は中南米に生息していたものが、競技者同士が体を密着させ、擦過傷ができやすい柔道、レスリングなどの国際試合を通じて、1960年代に中南米からアメリカに持ち込まれ、続いてヨーロッパ、2000年以降に日本へも持ち込まれたものです。
しらくもの検査と診断と治療
しらくも(頭部白癬)、ケルスス禿瘡の症状が見られる場合、皮膚科で検診すべきです。自然に治癒することは難しく、放置すると治癒にも時間が掛かります。また、犬小胞子菌(ミクロスポルム・カニス菌)やトリコフィトン・トンズランス菌は感染力が強いため、完全に治癒しないと、再発する可能性が高く、他の人や動物への感染源になってしまいます。
犬小胞子菌は、人間から猫などの動物にも感染します。もし柔道、レスリングなどの競技者や、競技者の家族である場合は、検診時に医師にその旨を伝えるのがよいでしょう。
医師によるしらくも(頭部白癬)、ケルスス禿瘡の検査では、ふけや皮膚、毛を水酸化カリウムで溶かし、溶けずに残る白癬菌を顕微鏡で観察する方法が一般的で、皮膚真菌検査と呼ばれます。 時には、培養を行って、原因菌の同定を行うこともあります。
治療としては、経口抗真菌剤を1~3カ月に渡って内服します。悪化する恐れがあるため、外用剤は使用しません。例えばケルスス禿瘡の場合、頭のしらくもをかぶれと間違って副腎(ふくじん)皮質ステロイド外用剤を塗っているうちに、症状が進展して生じる場合も多いといえます。ステロイド外用剤を早急に中止することが必要です。
経口抗真菌剤と併用して、せっけんや、抗真菌剤の入ったシャンプーなどで、よく洗髪します。通常、しらくもが治れば、脱毛した部分の頭髪は生えてきます。
なお、トリコフィトン・トンズランス菌によるものは、接触する機会の多い競技者間で感染する例が非常に多い疾患です。そこで、家族に柔道などの競技者がいる場合、予防のポイントは次のようなことになります。
感染を防止するため、練習や試合後にはできるだけ早く、シャワーで頭や体を洗い流す。柔道着、トレーニングウエア、使ったタオルは、こまめに洗濯する。脱衣所、感染者の部屋は、まめに掃除をする。タオルなどの共用を行わない。
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