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■B型肝炎の4タイプを判定する検査薬、厚労省が初承認  [健康ダイジェスト]

 国内の患者・感染者が100万人を超えるとされるB型肝炎で、ウイルスの遺伝子タイプを判定する検査薬が初めて、厚生労働省の製造販売の承認を受けました。年内にも医療関係機関向けの販売が始まります。
 B型肝炎はタイプごとに症状や治療効果に違いがありますが、国が承認する検査薬はありませんでした。患者に最適の治療法選びに役立つと期待されます。
 メーカーは特殊免疫研究所(本社・東京)。この検査薬では、患者の血液からB型肝炎の4つのタイプを判定できます。4タイプは、がんになりやすい年齢や治療方法、治療薬の効果にも違いがあります。
 これまで検査薬は研究用しかなく、医師の診断用には使えませんでした。一方、厚労省研究班の治療指針では「タイプを測定して治療法を決定することが望ましい」とされ、ちぐはぐな状態でした。診療現場では検査薬が使えないため、一般的な治療を重ねるしかありませんでした。
 今後、公的医療保険の適用を申請する予定。国立国際医療研究センター国府台病院の溝上雅史肝炎・免疫研究センター長は、「承認は専門家の間で待ち望まれていた」といいます。
 B型肝炎ウイルスは、遺伝子配列の違いにより、A〜Jまで10のタイプがあります。今回承認された検査薬を診断に使えば、A〜Dの4つのタイプが判定できます。日本国内の感染の大半は、この4タイプが占めています。
 まず患者に役立つとされているのは、急性肝炎の治療。近年、B型急性肝炎でタイプAの患者の割合が急増しており、全国の国立病院の共同研究によると、1990年代前半にはタイプAは数パーセントでしたが、2007年に52パーセント、08年に55パーセントに。日本では少なかったタイプAが海外から持ち込まれ、性感染症になっているとみられます。
 日本に多いタイプBやCは、成人が感染しても一過性で慢性化しません。しかし、タイプAに感染すると一部は慢性化して持続感染者になり、他の人にも感染を広げる可能性があります。
 ただし、抗ウイルス薬で適切に治療すれば慢性化を防ぐことができます。専門家はタイプAの感染の広がりを警戒しており、検査は慢性化防止や感染実態の把握につながります。
 B型慢性肝炎の患者にとっても、治療の改善につながります。タイプAとBは治療薬のインターフェロンの効果が比較的高く、タイプに応じて効きやすい治療を選ぶことができます。
 日本でB型慢性肝炎の8割はタイプCですが、東北地方と沖縄県はタイプBも目立ちます。タイプCは、40〜50歳代から肝がんが起きる傾向があります。タイプBはタイプCに比べて肝がんが起きにくく、起きても60〜70歳代と高年齢者に多くみられます。肝がんを早期発見して治療するためにも、タイプの診断が役立ちます。

 2010年10月29日(金)




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