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■用語 腹直筋皮弁法 [用語(は行)]

[病院]腹直筋皮弁法(ふくちょくきんひべんほう)とは、乳がん手術で失った乳房を形成外科の手術で取り戻す乳房再建術の一つ。
 自分の腹の筋肉の一部を使って乳房の膨らみを形成する方法で、腹直筋は胸の下から縦に腹を覆う左右一対の筋肉、皮弁は皮膚の一部を付けたまま切り離した筋肉と脂肪のことをいいます。
 腹直筋皮弁法は、残っている皮膚や筋肉が足りないため人工乳房では再建できない場合、放射線の照射で皮膚が硬くなって伸びない場合、人工物を入れるのに抵抗がある場合などに行われます。
 腹直筋の一部と腹部の皮膚および脂肪を一緒に切り離し、その中を通る血管や神経はつないだまま、皮膚の下をトンネル状にくぐらせて胸に移植します。 腹部は縦に切る場合と横に切る場合がありますが、最近では傷が下着に隠れるため、横軸型が主流です。
 主に脂肪で膨らみができるため、柔らかく自然に近い乳房ができますが、健康な部位に傷を付けることになります。傷そのものは一生消えませんが、下着に隠れるような位置に傷を作り、形成外科的な特殊な縫い方などで目立たないようにすることは、可能です。
 乳房再建術の中では最も負担が大きい手術なので、本人の強い希望がなければ行いません。入院は最低でも2週間、普通の生活に戻るのに1~3カ月かかります。腹直筋を切除しても半年経てば日常生活にほとんど支障はありませんが、これから出産を希望する人は避けたほうがよい方法です。
 また、手術後の血流が不安定で壊死(えし)が起こりやすい、腹部に盲腸や帝王切開などの傷跡があると適応できない、腹筋力が低下する場合もあるといった欠点があります。
 これらの欠点の一部を補うために、血管をいったん切り離して移植する遊離皮弁法という方法もあります。
 遊離皮弁法では、マイクロ・サージャリーという顕微鏡下の手術で、わきの下の血管を移植した腹直筋につなぎ合わせて、安定した血流を確保します。壊死が起こりにくく、腹部に傷跡がある人にも適応できます。
 しかし、手術でつないだ血管が安定するまでの安静時間が必要になり、手術後の5日~7日のベッド上安静期間を含め、入院期間は長くなります。手術時間も通常の腹直筋皮弁法に比べて、2時間ほど長くなります。

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