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■酸性の飲食物で歯が溶ける酸蝕歯に要注意 習慣の見直しを [健康ダイジェスト]

 飲食物などに含まれる酸から歯の表面が溶ける酸蝕歯に、成人の約6人に1人がかかっているといわれています。進行すると、冷たい飲食物が歯にしみる知覚過敏や、虫歯のような痛みを引き起こします。
 原因となる酸性の飲食物は、炭酸飲料やかんきつ類など食生活に深く根付いた身近なものばかり。予防には、食生活の習慣を見直して、過剰摂取や不適切な飲み方、食べ方を改めることが大切です。
 下の奥歯に痛みを訴えて、東京医科歯科大病院を受診した62歳の男性は、奥歯表面のエナメル質が溶けてクレーターのような穴がいくつも開き、象牙質が露出していました。問診の結果、毎朝のジョギング後、1年半に渡って黒酢を飲み続けてきたことが判明。口の奥にためながら飲む癖も、酸蝕歯を発症する要因になったと診断されました。
 下の犬歯と奥歯の激痛で受診した64歳の女性は、手の甲のしみを薄くしようと、ビタミンCの豊富なグレープフルーツを3カ月以上に渡り毎日2個ずつ食べていました。かみ合わせの影響でもともと摩耗が進んでいたところに強い酸が加わり、象牙質ばかりか、その下の神経までもが露出して炎症が起きていました。
 「虫歯や歯周病と異なり、酸蝕歯の患者さんには比較的まじめで健康意識の高い人が多い。体によいと思った習慣をきちんと続けたことが、かえって歯に悪影響を与えてしまうケースが目立つ」と、同病院の北迫勇一助教(う蝕制御学)は話しています。
 酸性の飲食物を摂取すれば、当然のことながら口の中は酸性に傾きます。通常は唾液が酸を中和して口内をpH7・0の中性に戻すとともに、唾液に含まれるカルシウムなどが溶けたエナメル質を再石灰化して修復するため、歯の健康は維持されます。
 ところが、酸に触れる時間が長い場合や頻度が高い場合、口内が乾いて唾液が少ない場合には、修復が間に合わずに酸蝕が進行。エナメル質が薄くなって歯が欠け、象牙質が露出して歯が黄ばみ、知覚過敏や痛みなどの症状も現れます。
 「エナメル質はpH値が5・5を下回る酸に触れると溶け始める。象牙質はそれより酸性度が低いpH6・4でも溶けてしまう。象牙質が露出すると症状は急速に悪化しやすい」、と北迫助教は解説しています。
 北迫助教らが市販の飲料120種のpH値を測定したところ、73パーセントの製品がpH5・5を下回りました。調味料やかんきつ類の調査でも、多くがエナメル質を溶かし得るpH値を示しました。
 例えば、アルコール依存や過食症で嘔吐を繰り返すと、pH1・0~2・0の強酸性の胃液が原因で酸蝕歯になることがありますが、コーラ飲料のpHは胃液の値にかなり近い2・2でした。栄養ドリンクもpH2・5と高い酸性度で、黒酢飲料はpH3・1、スポーツドリンクはpH3・5でした。
 酸蝕歯の治療には、薬剤で歯の再石灰化を促す方法や、合成樹脂を詰めて欠損部を修復する方法が取られます。しかし、何より大切なのは予防だといいます。
 「炭酸飲料を頻繁に飲むなど、歯が酸にさらされやすい習慣は改めるべきだ。赤ワインをちびちび飲んだり、乳幼児にジュースを哺乳瓶で与え、そのまま寝かしたりするのもリスクを高める」と、北迫助教は指摘しています。
 対策としては、酸性飲食物の摂取後は水やお茶で口をすすぐ、軟化した歯が削れるのを防ぐため摂取後30分は歯磨きを控える、デンタルガムやフッ素入りの歯磨き剤で歯質を強化する、軟らかめの歯ブラシを使うようにしてゴシゴシ磨くのを避ける、口が渇いている時は酸性の飲み物を避けて水やお茶で潤す、健康のためにビタミンCドリンクや黒酢など飲んでいる人はサプリメントに変えるなどが勧められます。

 2011年2月14日(月)

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