■用語 熟眠障害 [用語(し)]
熟睡したという満足感がなく、目覚めた時に睡眠不足を感じるタイプの不眠症
熟眠障害とは、眠りが浅くて、目覚めた時に熟睡したという満足感がなく、睡眠不足を感じるタイプの不眠症。不眠症と判断される目安となるのは、この症状が週に2回以上、かつ1カ月以上続いており、本人が苦痛を感じている場合です。
この熟眠障害は、寝付いたにもかかわらず途中で何度も目が覚めてしまう中途覚醒(かくせい)が原因となっている場合があります。しかし、尿意や夢、ちょっとした物音、部屋の寒さや暑さなどを始めとする何らかの原因で眠りが中断されても、その時間が短いと夜中に目覚めたという記憶がないこともあります。それを夜中に何度も繰り返していると、熟眠障害になってしまうのです。
熟眠障害では睡眠の持続性が得られないため、本人にとっては症状はかなりきついといえます。中には、夜、十分な時間寝ているはずなのに朝起きた時に全く寝た感じがしない、疲れが取れていず、昼に眠くて眠くてどうしようもないという人もいます。
そのため、中途覚醒の自覚のあるなしにかかわらず、熟睡した、ぐっすり眠ったという感覚が得られない場合は、熟眠障害を疑ってみる必要があります。熟眠障害だけがあり、中途覚醒がないということはまれです。
実際、眠っている途中に一度起きてしまうと、入眠から浅い眠りのレム睡眠へ、さらに深い眠りのレム睡眠へと続く眠りのリズムを初めからやり直さなければならないために、脳も体もしっかり休息することができません。
熟眠障害は、睡眠環境が原因で起こることもあります。引っ越したばかりで環境に慣れていない、新しい寝具に変えたなどという環境の変化によるものかもしれません。また、特に環境の変化や寝具の変化がないけれど睡眠不足を感じている人は、寝具を見直してみてください。寝具は毎日使うものですから、一生同じ状態を保持するのは難しいもので、弾力性やフィット感が変わって熟眠障害を起こしている可能性もあります。
寝具の見直しをしても改善されない場合は、睡眠時間を見直してみましょう。年齢を重ねるにつれて、体は衰え、疲労感も増していきます。頭では今までの生活に慣れていても、体に疲労がたまっているのかもしれません。
それらで改善につながらない場合は、睡眠中に症状の現れる疾患が関係していることもあります。本人が自覚していない熟眠障害や中途覚醒の原因として近年、注目を浴びているものに睡眠時無呼吸症候群があります。この疾患は、睡眠中に10秒以上に渡って呼吸が止まり、1時間に5回以上みられる場合に診断されます。
すなわち、深い睡眠に入ろうとすると呼吸が止まり、息苦しくなって目が覚めてしまうために、一晩中深い睡眠に入れなくなります。全体として一晩に6~7時間眠ったとしても、常にウトウトしたような浅い睡眠でしかないために、昼間に眠気を催したり集中力が低下してしまいます。
睡眠時無呼吸症候群では、本人が息苦しさを翌日に覚えていないために、自覚的には昼間の眠気だけしかないことが少なくありません。もっとたくさん寝ようと早くからベッドに入る努力をしても、睡眠の質が不良なためにいくら長時間寝ても昼間の眠気や、集中力の低下、活力の喪失は改善されません。
意外と知られていないが決して少なくない熟眠障害の原因として、周期性四肢運動障害という疾患もあります。この病気は睡眠時無呼吸症候群と同様に、深い眠りに入ろうとすると、周期的に反復する瞬間的な手足、特に下肢の運動が現れます。
つまり、まどろみから深い睡眠に移行しようとすると、足がピクンと動いてしまうのです。通常、20~30秒周期で足の動きを繰り返し、悪化すると回数が増え、多い人では1時間に100回以上起こる場合もあります。
足が動いても、多くの場合本人は気付きませんが、足がピクンと動くと、脳は目覚めてしまうので眠りが妨げられます。このために深い睡眠に入れずに、昼間に眠気を催します。
熟眠障害の裏側には他の疾患が隠れていることが多いので、常日ごろから体の状態をチェックしておくとよいでしょう。また、どんな疾患が絡んでいるにせよ、精神的ストレスがたまっている状態だと、熟眠障害が起きやすくなります。精神的ストレスがかかった状態で眠ると、眠っているつもりでも脳はリラックスして休むことができず、浅い睡眠状態で眠ることになります。
精神的ストレスからくるイライラや緊張を鎮めるためにには、リラックスできる音楽や読書、入浴や食事など生活面での工夫をしてみることも必要です。眠りやすい環境を作ることも心掛け、騒音や温度調整、明るさの調整をするのもよいでしょう。
昼間の眠気や、集中力の低下、活力の喪失など日中の生活に支障が出るような場合には、午前中など早い時間に10~20分の仮眠を取ることも効果的です。仮眠を取る場合には、夜眠れなくなるほど長時間寝てしまうと意味がありません。夕方など遅めの時間に仮眠を取るのも、夜の睡眠に支障が出ることがあるので、遅くても昼の休憩くらいまでの間に仮眠するようにしましょう。
生活面での工夫をしても熟眠障害が続くようであれば、不眠症専門の外来や、神経科、心療内科を受診することが勧められます。
医師による熟眠障害などの不眠症治療では、精神的な療法を行ったり、薬による治療を行うことになります。一般的には睡眠薬による治療ですが、人それぞれ原因も違ってきますから、睡眠薬の服用については医師に相談しながら治療を進めていくことが大切です。
最近の睡眠薬は、安全性が高くなりました。以前はバルビツール酸系の薬が主に用いられていましたが、依存しやすいという問題などから最近は比較的安全なベンゾジアゼピン系が多く使われています。ただし、疾患を併せ持つ人が他の薬と併用する場合は副作用などの恐れもあるため、使用には医師の診断が必要で、症状に合った薬を処方によって服用します。
すべての薬にあるように、睡眠薬にも副作用はあります。最大の特徴は、薬が効いている間に布団から起きてしまうと、効果がすべて眠気、ふらつき、頭重感などの副作用に変わってしまうこと。
従って、服用したらすぐ布団に入ること、増強作用のあるアルコールと一緒に服用しないこと、用量用法は医師の指示を守ること、突然、服用を中止すると症状が悪化する場合もあるので、医師と相談しながら漸減することなどが必要となります。
熟眠障害とは、眠りが浅くて、目覚めた時に熟睡したという満足感がなく、睡眠不足を感じるタイプの不眠症。不眠症と判断される目安となるのは、この症状が週に2回以上、かつ1カ月以上続いており、本人が苦痛を感じている場合です。
この熟眠障害は、寝付いたにもかかわらず途中で何度も目が覚めてしまう中途覚醒(かくせい)が原因となっている場合があります。しかし、尿意や夢、ちょっとした物音、部屋の寒さや暑さなどを始めとする何らかの原因で眠りが中断されても、その時間が短いと夜中に目覚めたという記憶がないこともあります。それを夜中に何度も繰り返していると、熟眠障害になってしまうのです。
熟眠障害では睡眠の持続性が得られないため、本人にとっては症状はかなりきついといえます。中には、夜、十分な時間寝ているはずなのに朝起きた時に全く寝た感じがしない、疲れが取れていず、昼に眠くて眠くてどうしようもないという人もいます。
そのため、中途覚醒の自覚のあるなしにかかわらず、熟睡した、ぐっすり眠ったという感覚が得られない場合は、熟眠障害を疑ってみる必要があります。熟眠障害だけがあり、中途覚醒がないということはまれです。
実際、眠っている途中に一度起きてしまうと、入眠から浅い眠りのレム睡眠へ、さらに深い眠りのレム睡眠へと続く眠りのリズムを初めからやり直さなければならないために、脳も体もしっかり休息することができません。
熟眠障害は、睡眠環境が原因で起こることもあります。引っ越したばかりで環境に慣れていない、新しい寝具に変えたなどという環境の変化によるものかもしれません。また、特に環境の変化や寝具の変化がないけれど睡眠不足を感じている人は、寝具を見直してみてください。寝具は毎日使うものですから、一生同じ状態を保持するのは難しいもので、弾力性やフィット感が変わって熟眠障害を起こしている可能性もあります。
寝具の見直しをしても改善されない場合は、睡眠時間を見直してみましょう。年齢を重ねるにつれて、体は衰え、疲労感も増していきます。頭では今までの生活に慣れていても、体に疲労がたまっているのかもしれません。
それらで改善につながらない場合は、睡眠中に症状の現れる疾患が関係していることもあります。本人が自覚していない熟眠障害や中途覚醒の原因として近年、注目を浴びているものに睡眠時無呼吸症候群があります。この疾患は、睡眠中に10秒以上に渡って呼吸が止まり、1時間に5回以上みられる場合に診断されます。
すなわち、深い睡眠に入ろうとすると呼吸が止まり、息苦しくなって目が覚めてしまうために、一晩中深い睡眠に入れなくなります。全体として一晩に6~7時間眠ったとしても、常にウトウトしたような浅い睡眠でしかないために、昼間に眠気を催したり集中力が低下してしまいます。
睡眠時無呼吸症候群では、本人が息苦しさを翌日に覚えていないために、自覚的には昼間の眠気だけしかないことが少なくありません。もっとたくさん寝ようと早くからベッドに入る努力をしても、睡眠の質が不良なためにいくら長時間寝ても昼間の眠気や、集中力の低下、活力の喪失は改善されません。
意外と知られていないが決して少なくない熟眠障害の原因として、周期性四肢運動障害という疾患もあります。この病気は睡眠時無呼吸症候群と同様に、深い眠りに入ろうとすると、周期的に反復する瞬間的な手足、特に下肢の運動が現れます。
つまり、まどろみから深い睡眠に移行しようとすると、足がピクンと動いてしまうのです。通常、20~30秒周期で足の動きを繰り返し、悪化すると回数が増え、多い人では1時間に100回以上起こる場合もあります。
足が動いても、多くの場合本人は気付きませんが、足がピクンと動くと、脳は目覚めてしまうので眠りが妨げられます。このために深い睡眠に入れずに、昼間に眠気を催します。
熟眠障害の裏側には他の疾患が隠れていることが多いので、常日ごろから体の状態をチェックしておくとよいでしょう。また、どんな疾患が絡んでいるにせよ、精神的ストレスがたまっている状態だと、熟眠障害が起きやすくなります。精神的ストレスがかかった状態で眠ると、眠っているつもりでも脳はリラックスして休むことができず、浅い睡眠状態で眠ることになります。
精神的ストレスからくるイライラや緊張を鎮めるためにには、リラックスできる音楽や読書、入浴や食事など生活面での工夫をしてみることも必要です。眠りやすい環境を作ることも心掛け、騒音や温度調整、明るさの調整をするのもよいでしょう。
昼間の眠気や、集中力の低下、活力の喪失など日中の生活に支障が出るような場合には、午前中など早い時間に10~20分の仮眠を取ることも効果的です。仮眠を取る場合には、夜眠れなくなるほど長時間寝てしまうと意味がありません。夕方など遅めの時間に仮眠を取るのも、夜の睡眠に支障が出ることがあるので、遅くても昼の休憩くらいまでの間に仮眠するようにしましょう。
生活面での工夫をしても熟眠障害が続くようであれば、不眠症専門の外来や、神経科、心療内科を受診することが勧められます。
医師による熟眠障害などの不眠症治療では、精神的な療法を行ったり、薬による治療を行うことになります。一般的には睡眠薬による治療ですが、人それぞれ原因も違ってきますから、睡眠薬の服用については医師に相談しながら治療を進めていくことが大切です。
最近の睡眠薬は、安全性が高くなりました。以前はバルビツール酸系の薬が主に用いられていましたが、依存しやすいという問題などから最近は比較的安全なベンゾジアゼピン系が多く使われています。ただし、疾患を併せ持つ人が他の薬と併用する場合は副作用などの恐れもあるため、使用には医師の診断が必要で、症状に合った薬を処方によって服用します。
すべての薬にあるように、睡眠薬にも副作用はあります。最大の特徴は、薬が効いている間に布団から起きてしまうと、効果がすべて眠気、ふらつき、頭重感などの副作用に変わってしまうこと。
従って、服用したらすぐ布団に入ること、増強作用のあるアルコールと一緒に服用しないこと、用量用法は医師の指示を守ること、突然、服用を中止すると症状が悪化する場合もあるので、医師と相談しながら漸減することなどが必要となります。
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