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■がん治療の光線力学療法で、ケイ素が有効 群馬大が発見 [健康ダイジェスト]

 早期がんを治療する光線力学療法で、治療薬にケイ素を組み込むことでがん細胞の殺傷能力が格段に高まることを、群馬大の研究チームが突き止めました。マウスを使った実験では、治療から6日間でがん細胞がほぼすべて消えたといいます。
 光線力学療法は、治療薬である光感受性薬剤を静脈注射し、患部に集中したところで弱いレーザー赤色光を照射して、活性酸素を発生させる療法。この活性酸素が、がん細胞を攻撃するという仕組みで、副作用が少なく、手術や抗がん剤などの化学療法と比べて患者への負担が少ないとされます。
 国内では光感受性薬剤として、「フォトフリン」や「レザフィリン」、「ビスダイン」が承認されています。
 実験では、がん細胞を移植したマウスに、ケイ素を組み込んだ光感受性薬剤を静脈注射し、約4時間後に可視光を照射しました。がん組織の大きさは2日後に約50パーセントに、3日後に約25パーセンにまで減り、6日後にほぼ消失。がん組織はかさぶたのように黒くなったといいます。
 これに対し、同じ条件で「レザフィリン」を用いた場合、がん組織の大きさは6日後、注射前とほぼ変わりませんでした。
 光感受性薬剤には、光を吸収しやすい性質がある物質が使われています。この物質にケイ素を結合することで、光感受性薬剤ががん細胞に集まる効率がレザフィリンに比べ約1・2倍に高まったといいます。
 研究チームの代表である堀内宏明助教は、「この療法がうまくいけば、体への負担が小さい、がんの治療法が完成するかもしれない」と話しています。研究チームは光感受性薬剤を改良し、実用化を目指しています。
 ただ、光線力学療法では、深部に赤色光が届かないため、治療できるのは初期の肺がんや胃がんなどに限られています。また、光感受性薬剤はがん細胞以外の細胞にも入るため、すぐに明るい場所に出ると正常な細胞も傷付ける恐れがあるといいます。
 日本光線力学学会会長で新座志木中央総合病院(埼玉県)の加藤治文・名誉院長は、「現在の光線力学療法では表面にできた1センチ大のがんであれば完全に治せる。今回の発見によりさらに大きいがんに効果があると期待できる」としています。

 2011年5月27日(金)




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