■用語 続発性自然気胸 [用語(そ)]
肺にある疾患が原因となって肺に穴が開き、肺がつぶれてしまう疾患
続発性自然気胸とは、肺にある広範囲の疾患が原因となって肺に穴が開き、空気が胸腔(きょうくう)内に漏れて、肺の一部または全体がつぶれる疾患。
肺の疾患を持っている人が二次的に続発性自然気胸を起こしますから、比較的高齢者に多くみられます。原因となる疾患で最も多いのは肺気腫(きしゅ)で、肺の表面のややもろくなった部分で、ブラやブレブと呼ばれる肺胞内嚢胞(のうほう)が破裂するために起こります。
そのほかの原因となる疾患には、肺結核、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、ぜんそく、肺化膿(かのう)症、肺炎、肺サルコイドーシス 、塵肺(じんぱい)、女性の子宮内膜症などがあります。
気胸の主な症状は、胸痛、呼吸困難、せきです。多くの場合、鋭い胸の痛みや息切れ、時には乾いた空せきが突然始まります。気胸を起こした肺はしぼみ切っており、機能不全状態になっているため酸素の供給量が著しく低下し、息切れを感じやすくなるのです。また、気胸で開いた穴から胸腔に空気が流れ込み、気圧が高まって肺を圧迫するため、痛みを感じやすくなるのです。肩、首、腹部に痛みを感じることもあります。
問題なのは、穴がふさがらず、肺内の空気が漏れ続ける時。胸腔に流れ込む空気の量が多くなると、緊張性気胸となります。緊張性気胸では、突然発症し、進行性の胸痛と呼吸困難が生じ、血圧が低下します。疾患のある側の肺は空気で置き換えられて完全につぶれており、気胸の起こっていない肺も次第につぶされていきます。大量の空気が心臓を圧迫して、心停止させてしまうこともあり、非常に危険です。
肺に原因疾患があるため、続発性自然気胸の症状および経過は一般的によくありません。しばしば再発も起こします。
続発性自然気胸の検査と診断と治療
内科、ないし外科の医師による診断では、まず聴診器で気胸を起こした側の肺の呼吸音の減弱、打診では横隔膜の低下を確認できます。胸部X線写真で肺の紋様がない領域が胸腔内に確認されれば、ほとんどの症例で気胸と確定されます。判断に迷う時は、息を吐いた時と吸った時の写真を比較します。
軽度の続発性自然気胸では、重い呼吸障害は起こらず、たまった空気は数日間で吸収されますので、治療は行いません。無理な呼吸や姿勢、運動をせずに自宅で安静し、外来通院で経過をみて、穴が開いた部位が閉鎖し自然に治癒するのを待ちます。
中等度以上の続発性自然気胸では、空気が完全に吸収されるのに2〜4週間かかりますが、入院して胸腔ドレナージを行えば、より早く空気を除去できます。胸腔ドレナージでは、胸部の脇の部分を数ミリ切開して挿入したチューブで、たまっている空気や新たに漏れた空気を持続的に体外に排出します。チューブからの空気漏れがなくなったら、チューブを抜去し、 肺に開いた穴が自然にふさがって肺の膨らみが良好なら退院です。
自然治癒を見込めないほど気胸の範囲が大きい場合、胸腔ドレナージを行って空気の漏れが止まらない場合、気胸が再発した場合、左右両側の肺が気胸の場合などでは、全身麻酔による胸腔鏡下手術で、ブラやブレブと呼ばれる肺胞内嚢胞の切除を行います。
従来の開胸手術においては、初回の気胸について手術をすることはありませんでしたが、胸腔鏡下手術は入院期間も1週間程度ですむため、初回から手術して今後起こり得る病変まで切除してしまうこともあります。
ただし、胸腔鏡下手術には、切除した周囲の組織が気胸を起こしやすくなるというデメリットがあります。そのため、セルロース製のメッシュシートを被せるカバーリング法が、新たに注目を浴びています。セルロース製のメッシュシートは、肺組織に吸収されて厚みを増すため、気胸の再発防止に効果を発揮します。
また、続発性自然気胸の場合は、肺に原因疾患があるため、手術は危険な場合があります。手術が行えない際は、胸腔から空気を抜き取ったチューブを通して薬を入れて、肺を周囲と癒着させ気胸を起こさないようにします。
この薬を使って気胸を起こした組織をやけどさせた状態にしてふさぐという治療法は、手術と比較して効果が不確実です。肺がつぶれなくなるため根本治療となり得ますが、癒着が不十分だと再発の可能性が残ります。
再発した時は、癒着しなかった部分のみがつぶれるため軽度の気胸にとどまるものの、治療に際してチューブが挿入できなくなることがあります。また、手術を行う時は癒着をはがす必要があるために、癒着のない場合より困難を来し、多くは開胸を要します。
緊張性気胸を起こした場合は、迅速な治療が求められます。緊張性気胸では、血圧が低下しショックを起こすので、直ちに治療をしないと数分間で死に至ります。大きな注射器をつけた針を胸部内に挿入し、すぐに空気を抜き取ります。その後、継続的に空気を抜くために別のチューブを挿入します。
続発性自然気胸の治療後も、しばらくは安静を要します。気道内への大きな圧力変化をもたら飛行機への搭乗、鉄道や自動車、バスでの峠越え、管楽器の演奏、スキューバダイビングなどは、事前に医師の許可を得ることが望まれます。
もちろん、喫煙は厳禁ですし、せきはできるだけ我慢して、早めにせき止めを服用する必要があります。1カ月程度安定状態が続けば、運動も再開できるようになります。
続発性自然気胸とは、肺にある広範囲の疾患が原因となって肺に穴が開き、空気が胸腔(きょうくう)内に漏れて、肺の一部または全体がつぶれる疾患。
肺の疾患を持っている人が二次的に続発性自然気胸を起こしますから、比較的高齢者に多くみられます。原因となる疾患で最も多いのは肺気腫(きしゅ)で、肺の表面のややもろくなった部分で、ブラやブレブと呼ばれる肺胞内嚢胞(のうほう)が破裂するために起こります。
そのほかの原因となる疾患には、肺結核、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、ぜんそく、肺化膿(かのう)症、肺炎、肺サルコイドーシス 、塵肺(じんぱい)、女性の子宮内膜症などがあります。
気胸の主な症状は、胸痛、呼吸困難、せきです。多くの場合、鋭い胸の痛みや息切れ、時には乾いた空せきが突然始まります。気胸を起こした肺はしぼみ切っており、機能不全状態になっているため酸素の供給量が著しく低下し、息切れを感じやすくなるのです。また、気胸で開いた穴から胸腔に空気が流れ込み、気圧が高まって肺を圧迫するため、痛みを感じやすくなるのです。肩、首、腹部に痛みを感じることもあります。
問題なのは、穴がふさがらず、肺内の空気が漏れ続ける時。胸腔に流れ込む空気の量が多くなると、緊張性気胸となります。緊張性気胸では、突然発症し、進行性の胸痛と呼吸困難が生じ、血圧が低下します。疾患のある側の肺は空気で置き換えられて完全につぶれており、気胸の起こっていない肺も次第につぶされていきます。大量の空気が心臓を圧迫して、心停止させてしまうこともあり、非常に危険です。
肺に原因疾患があるため、続発性自然気胸の症状および経過は一般的によくありません。しばしば再発も起こします。
続発性自然気胸の検査と診断と治療
内科、ないし外科の医師による診断では、まず聴診器で気胸を起こした側の肺の呼吸音の減弱、打診では横隔膜の低下を確認できます。胸部X線写真で肺の紋様がない領域が胸腔内に確認されれば、ほとんどの症例で気胸と確定されます。判断に迷う時は、息を吐いた時と吸った時の写真を比較します。
軽度の続発性自然気胸では、重い呼吸障害は起こらず、たまった空気は数日間で吸収されますので、治療は行いません。無理な呼吸や姿勢、運動をせずに自宅で安静し、外来通院で経過をみて、穴が開いた部位が閉鎖し自然に治癒するのを待ちます。
中等度以上の続発性自然気胸では、空気が完全に吸収されるのに2〜4週間かかりますが、入院して胸腔ドレナージを行えば、より早く空気を除去できます。胸腔ドレナージでは、胸部の脇の部分を数ミリ切開して挿入したチューブで、たまっている空気や新たに漏れた空気を持続的に体外に排出します。チューブからの空気漏れがなくなったら、チューブを抜去し、 肺に開いた穴が自然にふさがって肺の膨らみが良好なら退院です。
自然治癒を見込めないほど気胸の範囲が大きい場合、胸腔ドレナージを行って空気の漏れが止まらない場合、気胸が再発した場合、左右両側の肺が気胸の場合などでは、全身麻酔による胸腔鏡下手術で、ブラやブレブと呼ばれる肺胞内嚢胞の切除を行います。
従来の開胸手術においては、初回の気胸について手術をすることはありませんでしたが、胸腔鏡下手術は入院期間も1週間程度ですむため、初回から手術して今後起こり得る病変まで切除してしまうこともあります。
ただし、胸腔鏡下手術には、切除した周囲の組織が気胸を起こしやすくなるというデメリットがあります。そのため、セルロース製のメッシュシートを被せるカバーリング法が、新たに注目を浴びています。セルロース製のメッシュシートは、肺組織に吸収されて厚みを増すため、気胸の再発防止に効果を発揮します。
また、続発性自然気胸の場合は、肺に原因疾患があるため、手術は危険な場合があります。手術が行えない際は、胸腔から空気を抜き取ったチューブを通して薬を入れて、肺を周囲と癒着させ気胸を起こさないようにします。
この薬を使って気胸を起こした組織をやけどさせた状態にしてふさぐという治療法は、手術と比較して効果が不確実です。肺がつぶれなくなるため根本治療となり得ますが、癒着が不十分だと再発の可能性が残ります。
再発した時は、癒着しなかった部分のみがつぶれるため軽度の気胸にとどまるものの、治療に際してチューブが挿入できなくなることがあります。また、手術を行う時は癒着をはがす必要があるために、癒着のない場合より困難を来し、多くは開胸を要します。
緊張性気胸を起こした場合は、迅速な治療が求められます。緊張性気胸では、血圧が低下しショックを起こすので、直ちに治療をしないと数分間で死に至ります。大きな注射器をつけた針を胸部内に挿入し、すぐに空気を抜き取ります。その後、継続的に空気を抜くために別のチューブを挿入します。
続発性自然気胸の治療後も、しばらくは安静を要します。気道内への大きな圧力変化をもたら飛行機への搭乗、鉄道や自動車、バスでの峠越え、管楽器の演奏、スキューバダイビングなどは、事前に医師の許可を得ることが望まれます。
もちろん、喫煙は厳禁ですし、せきはできるだけ我慢して、早めにせき止めを服用する必要があります。1カ月程度安定状態が続けば、運動も再開できるようになります。
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2011-07-24 14:01
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