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■石綿救済、全死者調査の方針 厚労省 [健康ダイジェスト]

 石綿健康被害救済法(石綿救済法)で定めた特別遺族給付金制度が終了する来年3月を前に、厚生労働省は全国の法務局に保管されている死亡診断書を閲覧し、対象者を掘り起こす方針を固めました。
 救済漏れを最小限にするため。東日本大震災の被災3県を除く1995~2005年の死者約1000万人について、石綿関連がんの中皮腫が死因と疑われるケースの調査を年内を目標に終え、遺族へ郵送で通知する予定。ただ、患者団体などは「5疾病ある救済対象のうち中皮腫だけでは不十分」などとし、制度延長を求めています。
 石綿による健康被害は、05年にクボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)を巡る被害が明るみに出るまで広く知られていませんでした。遺族が被害に気付いても労災申請の時効(死後5年)を過ぎ、労災補償が受けられない例が続発したため、国は石綿健康被害救済法(06年3月施行)に基づく救済制度を導入しました。
 対象は中皮腫や肺がんなど5疾病で、請求に基づき遺族年金などが支給されます。法施行後に迎えた時効の救済は、今年3月で終了。法施行前に時効になった事例も来年3月27日が請求期限で、今回の調査で対象を掘り起こします。
 調査対象期間は、人口動態調査の死因に中皮腫が加えられた95年から、同法施行直前の05年まで。全国の労働局が作業を担います。ただ、東日本大震災の被害が甚大な岩手、宮城、福島の3県では作業が難しく、実施しません。
 厚労省によると、95~09年の中皮腫による死者は1万2368ですが、個人の特定はできていません。中皮腫での制度の適用は10年度末現在728件で、このほかにも労災補償を受けるなどすでに救済されているケースも多いとみられますが、同省補償課は「一人でも多く救済漏れを防ぎたい」としています。
 被害者支援に取り組む「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京都江東区)の永倉冬史事務局長は、「掘り起こしは重要だが、肺がんなどが抜け落ちるなら問題だ。透き間のない救済が実現する条件が整うまで、時効救済は続けるべきだ」と指摘しています。

 2011年7月31日(日)




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