SSブログ

■体外受精培養液から高濃度の化学物質を検出 胎児への影響懸念 [健康ダイジェスト]

 プラスチックを加工しやすくする化学物質「フタル酸エステル類」が人の体外受精で必要となる培養液に高い濃度で含まれていることが、厚生労働省研究班の調査で判明しました。
 妊婦の血液から検出される濃度の最大で約100倍に相当します。動物の胎児の生殖機能に影響を与える濃度の1000分の1ほどですが、マウスの細胞の遺伝子には異常が起きるレベルで、受精卵や胎児への影響が懸念されます。
 日本では体外受精で毎年2万人以上の赤ちゃんが生まれており、主任研究者で有隣厚生会東部病院(静岡県御殿場市)の牧野恒久院長は「生命発生の重要な時期にこのような培養液を使って大丈夫なのか、詳しく調べる必要がある」と説明、培養液に高濃度の化学物質が含まれるとの研究結果は世界初といいます。
 フタル酸エステル類は身近な工業製品に幅広く使われ、人の血液や尿からも検出されています。空気や食品などを通じて取り込んでいると見なされます。培養液は人の血清などを含んでおり、それを通じて混入したとみられます。
 厚労省研究班が調べたのは、精子を選別したり、受精卵を数日間育てたりするための培養液24製品と、培養液に栄養源として添加する人の血清6製品。国内の臨床現場で使われているほとんどの製品を分析対象にしたといいます。
 培養液からは、フタル酸エステル類のDEHP(フタル酸ジ-2-エチレンヘキシル)が1ミリリットル当たり約10〜110ナノグラム(ナノは10億分の1)、DEHPが体内で代謝されてできるMEHP(フタル酸モノ-2-エチルヘキシル)は約2〜250ナノグラム検出されました。いずれも、人の血清が含まれる製品で濃度が高い傾向がありました。一方、妊婦の血液からはDEHPは約10ナノグラム、MEHPは約2ナノグラム検出されました。
 培養液への添加用の血清では、DEHPが最大約980ナノグラム、MEHPが1840ナノグラムとさらに高濃度で、海外などで提供された血液が汚染されていた可能性があるといいます。
 フタル酸エステル類は、プラスチックを軟らかくしたり、加工しやすくしたりするための可塑剤として、樹脂や塗料、化粧品などに幅広く使われています。子供が口にすると成分が溶け出す恐れがあり、健康に有害だとして、欧米ではフタル酸エステル類を使ったおもちゃを使用禁止にしています。日本でも2002年、一部の種類でおもちゃや食品用のラップ、手袋などへの使用禁止を決めました。内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の疑いも指摘されていますが、結論は出ていません。

 2012年1月2日(月)




nice!(9)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 9

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0