■用語 アレルギー性紫斑病 [用語(あ)]
手や足のいわゆる四肢末梢に紫斑ができる疾患で、4~7歳の小児に好発
アレルギー性紫斑(しはん)病とは、手や足のいわゆる四肢末梢(まっしょう)に、軽く盛り上がった紫斑ができる疾患。血管性紫斑病、アナフィラクトイド紫斑病、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病とも呼ばれます。
このアレルギー性紫斑病は上気道感染後に発症することが多く、ウイルスや細菌に対するアレルギーが原因だといわれていますが、はっきりしたことはまだ解明されていません。アレルギー性紫斑病の障害部位にIgAなどの特異的な免疫物質が沈着しているのが特徴であり、それが皮膚のほか、腸管、関節、腎臓(じんぞう)、時に精巣や脳などに障害を起こします。また、服用中の薬や食べ物との関連性も研究されています。
それほど多くみられる疾患ではなく、発症者は年間10万人当たり10~20人といわれているものの、4~7歳の小児に好発し、女児より男児の発症が若干多い傾向にあります。多くは冬に発症し、人から人への感染はありません。今の段階では予防策がないというのが現状です。
皮膚の紫斑は手足の左右両側対称に、とりわけ関節付近に出現します。体や顔に出る場合もあります。初めはかゆみを伴ったじんましんのような発疹(はっしん)で始まり、次第に紫色に変色していきます。じんましんなどの紅斑は上から押すと赤みが消えるのに対して、紫斑は色が消えません。
紫斑ができるのは、血管が炎症を起こしているからです。紫斑は血管から出てしまった血液が皮膚の奥で滞留した状態なので、上から押しても色が消えることはありません。血小板減少性紫斑病とは違い、わずかに隆起しているのも特徴で、「触れることができる紫斑」と呼ばれています。紫斑の形は点状のものから不整形のものなどさまざまで、新しいものと古いものが混在します。
通常、毛細血管になる前に存在する細静脈を中心に血管が炎症を起こしますが、放置したままにしておくと、大動脈の血管壁が薄くなり、そこから大量に血液成分が漏れ、強いむくみが出現することもあります。
腹痛も半数ほどの発症者に認められます。腸管内の血管透過性の高進によるむくみや、腸管内の血管の炎症が原因で、しばしば血便や便潜血も認められます。
腹痛は嘔吐(おうと)を伴う激しいものであることも少なくなく、紫斑が起こる前に腹痛が起きたケースなどでは、虫垂炎や腸重積、腸閉塞(へいそく)などの内臓疾患が疑われることもあります。腹痛がひどく、日常生活を行えないレベルのものであれば、入院して治療を受けることが必要になります。
関節炎、関節痛もおよそ3分の2の発症者にみられます。足の関節、手の関節に起こることが多く、股(また)や肩の関節には普通起こりません。関節炎を起こすと、その部分ははれ、痛みのため動かすのも苦痛になります。痛みで歩くことができなくなることもしばしば起こり、日常生活が困難になった場合にも、入院して治療を受けることが必要になります。
局所的な大きなむくみも、顔、体、手足、陰嚢(いんのう)などに痛みを伴って現れますが、発赤はみられません。
さらに、尿の異常が半数の発症者に認められ、血尿、蛋白(たんぱく)尿が現れます。紫斑病性腎炎を合併する率が高いため、定期的に尿検査をする必要が生じます。腎炎の多くは軽症ですが、中には急性腎炎症候群や、ネフローゼ症候群を起こしたり、慢性の腎不全に陥るケースもあります。
アレルギー性紫斑病の検査と診断と治療
アレルギー性紫斑病を発症した時にかかる科としては、小児の場合はやはり小児科が適しています。小児科医にとって、この疾患はポピュラーなものであり、症状を見れば容易に判断が付きます。
紫斑病性腎炎が出現し、蛋白尿が悪化した場合には、小児腎臓医に相談するのがよいでしょう。専門の機器、専門の治療方法を持った病院の専門の医師に診てもらうことは、小児が成人した後の将来を見据えた治療につながります。
成人が行く診療科としては、皮膚科、内科のほか、皮膚泌尿器科も適しています。皮膚泌尿器科とは、本来別々であった皮膚科と泌尿器科が一緒になったもので、性感染症などが両科にまたがることから標榜されるようになったようです。アレルギー性紫斑病は皮膚症状のほかに、泌尿器科の分野である腎炎の症状もしばしば伴うので、長期に渡って経過を観察しなければならないことも考慮して、皮膚泌尿器科で診てもらうのもよいかもしれません。
アレルギー性紫斑病を根本的に治療する薬剤や方法は、現状ではありません。急性期は安静を保つことが大切で、症状に見合った対症療法が中心となります。
紫斑は動きの激しい部分にできやすいので、軽い運動制限をすることもあります。腹痛が強い場合は、入院治療をすることが多くなります。腹痛の急性期には、副腎(ふくじん)皮質ステロイドが有効で、消化管からの吸収は期待できないので、静脈内に投与し、症状の改善を図ります。
また、関節炎、関節痛で歩行困難を来した場合も、入院治療が必要となります。関節の炎症や痛みには、経皮鎮痛消炎剤や、作用の穏やかな解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンを投与し、症状の改善を図ります。
紫斑病性腎炎で血尿が出たり、蛋白尿が出たりということは珍しくなく、多くは治療しなくても、徐々にその症状も消失していきます。ただ、急性腎炎症候群や、ネフローゼ症候群を起こしている重症の場合は、ステロイドパルス治療などを行います。
また、急激に症状が悪化しなくても、数カ月~数年経ってから慢性の腎不全を起こすこともあるので、定期的な検査が必要となってきます。アレルギー性紫斑病は腎臓の機能の経過を見るという点でも、完治までに時間のかかる疾患だといえます。
アレルギー性紫斑病の薬物治療を長期に渡って行うことになった場合、小児慢性特定疾患という医療費の補助を受けることもできます。補助を受けられる診断基準などを地域の保健所に問い合わせてみるとよいでしょう。
アレルギー性紫斑(しはん)病とは、手や足のいわゆる四肢末梢(まっしょう)に、軽く盛り上がった紫斑ができる疾患。血管性紫斑病、アナフィラクトイド紫斑病、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病とも呼ばれます。
このアレルギー性紫斑病は上気道感染後に発症することが多く、ウイルスや細菌に対するアレルギーが原因だといわれていますが、はっきりしたことはまだ解明されていません。アレルギー性紫斑病の障害部位にIgAなどの特異的な免疫物質が沈着しているのが特徴であり、それが皮膚のほか、腸管、関節、腎臓(じんぞう)、時に精巣や脳などに障害を起こします。また、服用中の薬や食べ物との関連性も研究されています。
それほど多くみられる疾患ではなく、発症者は年間10万人当たり10~20人といわれているものの、4~7歳の小児に好発し、女児より男児の発症が若干多い傾向にあります。多くは冬に発症し、人から人への感染はありません。今の段階では予防策がないというのが現状です。
皮膚の紫斑は手足の左右両側対称に、とりわけ関節付近に出現します。体や顔に出る場合もあります。初めはかゆみを伴ったじんましんのような発疹(はっしん)で始まり、次第に紫色に変色していきます。じんましんなどの紅斑は上から押すと赤みが消えるのに対して、紫斑は色が消えません。
紫斑ができるのは、血管が炎症を起こしているからです。紫斑は血管から出てしまった血液が皮膚の奥で滞留した状態なので、上から押しても色が消えることはありません。血小板減少性紫斑病とは違い、わずかに隆起しているのも特徴で、「触れることができる紫斑」と呼ばれています。紫斑の形は点状のものから不整形のものなどさまざまで、新しいものと古いものが混在します。
通常、毛細血管になる前に存在する細静脈を中心に血管が炎症を起こしますが、放置したままにしておくと、大動脈の血管壁が薄くなり、そこから大量に血液成分が漏れ、強いむくみが出現することもあります。
腹痛も半数ほどの発症者に認められます。腸管内の血管透過性の高進によるむくみや、腸管内の血管の炎症が原因で、しばしば血便や便潜血も認められます。
腹痛は嘔吐(おうと)を伴う激しいものであることも少なくなく、紫斑が起こる前に腹痛が起きたケースなどでは、虫垂炎や腸重積、腸閉塞(へいそく)などの内臓疾患が疑われることもあります。腹痛がひどく、日常生活を行えないレベルのものであれば、入院して治療を受けることが必要になります。
関節炎、関節痛もおよそ3分の2の発症者にみられます。足の関節、手の関節に起こることが多く、股(また)や肩の関節には普通起こりません。関節炎を起こすと、その部分ははれ、痛みのため動かすのも苦痛になります。痛みで歩くことができなくなることもしばしば起こり、日常生活が困難になった場合にも、入院して治療を受けることが必要になります。
局所的な大きなむくみも、顔、体、手足、陰嚢(いんのう)などに痛みを伴って現れますが、発赤はみられません。
さらに、尿の異常が半数の発症者に認められ、血尿、蛋白(たんぱく)尿が現れます。紫斑病性腎炎を合併する率が高いため、定期的に尿検査をする必要が生じます。腎炎の多くは軽症ですが、中には急性腎炎症候群や、ネフローゼ症候群を起こしたり、慢性の腎不全に陥るケースもあります。
アレルギー性紫斑病の検査と診断と治療
アレルギー性紫斑病を発症した時にかかる科としては、小児の場合はやはり小児科が適しています。小児科医にとって、この疾患はポピュラーなものであり、症状を見れば容易に判断が付きます。
紫斑病性腎炎が出現し、蛋白尿が悪化した場合には、小児腎臓医に相談するのがよいでしょう。専門の機器、専門の治療方法を持った病院の専門の医師に診てもらうことは、小児が成人した後の将来を見据えた治療につながります。
成人が行く診療科としては、皮膚科、内科のほか、皮膚泌尿器科も適しています。皮膚泌尿器科とは、本来別々であった皮膚科と泌尿器科が一緒になったもので、性感染症などが両科にまたがることから標榜されるようになったようです。アレルギー性紫斑病は皮膚症状のほかに、泌尿器科の分野である腎炎の症状もしばしば伴うので、長期に渡って経過を観察しなければならないことも考慮して、皮膚泌尿器科で診てもらうのもよいかもしれません。
アレルギー性紫斑病を根本的に治療する薬剤や方法は、現状ではありません。急性期は安静を保つことが大切で、症状に見合った対症療法が中心となります。
紫斑は動きの激しい部分にできやすいので、軽い運動制限をすることもあります。腹痛が強い場合は、入院治療をすることが多くなります。腹痛の急性期には、副腎(ふくじん)皮質ステロイドが有効で、消化管からの吸収は期待できないので、静脈内に投与し、症状の改善を図ります。
また、関節炎、関節痛で歩行困難を来した場合も、入院治療が必要となります。関節の炎症や痛みには、経皮鎮痛消炎剤や、作用の穏やかな解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンを投与し、症状の改善を図ります。
紫斑病性腎炎で血尿が出たり、蛋白尿が出たりということは珍しくなく、多くは治療しなくても、徐々にその症状も消失していきます。ただ、急性腎炎症候群や、ネフローゼ症候群を起こしている重症の場合は、ステロイドパルス治療などを行います。
また、急激に症状が悪化しなくても、数カ月~数年経ってから慢性の腎不全を起こすこともあるので、定期的な検査が必要となってきます。アレルギー性紫斑病は腎臓の機能の経過を見るという点でも、完治までに時間のかかる疾患だといえます。
アレルギー性紫斑病の薬物治療を長期に渡って行うことになった場合、小児慢性特定疾患という医療費の補助を受けることもできます。補助を受けられる診断基準などを地域の保健所に問い合わせてみるとよいでしょう。
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