■用語 血管拡張性環状紫斑 [用語(け)]
下肢に環状の紫斑ができ、慢性化して褐色調の色素沈着をみる皮膚疾患
血管拡張性環状紫斑(しはん)とは、主に下肢の両側に紫色の点状斑が多発して環状に配列し、慢性化するうち、次第に褐色調の色素沈着をみるようになる皮膚疾患。マヨッキー紫斑、マヨッキー血管拡張性環状紫斑とも呼ばれます。
この血管拡張性環状紫斑は、慢性(特発性)色素性紫斑という疾患群の一つに分類されています。その慢性色素性紫斑には、血管拡張性環状紫斑のほかに、不規則な斑(まだら)ができるシャンバーグ病、丘疹(きゅうしん)状の皮疹をみる色素性紫斑性苔癬(たいせん)様皮膚炎(グージュロー・ブルム病)、かゆみの強い瘙痒(そうよう)性紫斑など、いくつかの型があります。
血管拡張性環状紫斑は比較的まれな皮膚疾患ですが、中年以降の人に好発し、やや女性に多くみられます。時に小児、若年者にもみられます。
真の原因は不明ながら、静脈性の微小循環障害と毛細血管壁の弱さが関係するものと考えられています。また、何らかの遅延型過敏反応であるという説もあり、衣類の接触、扁桃(へんとう)炎などからの病巣感染、ある種の薬剤の関与などを指摘する報告などがあります。
紫色の点状斑の多発で始まり、毛細血管が拡張し、次第に進行して環状に配列する紫斑となります。この環状の紫斑が主体で、通常、かゆみなどの自覚症状はありません。紫斑は赤血球を主とする血液が皮膚の表面近くの微小な毛細血管壁から漏れた状態で、皮膚に出血がみられますが、血液学的に異常はなく、内臓などの全身臓器からの出血はありません。内臓疾患、他の全身症状を伴うことはなく、予後も心配ありません。
基本的に下肢、特に下腿(かたい)の裏側が好発部位で、おおかたは両脚に発症します。紫色の環状斑が大腿、腰臀(ようでん)部へと拡大することもあり、ひどいと手や上半身にも出ることもあります。色はやがて薄れてゆきますが、しばしば新生を繰り返して慢性化し、数年に渡ることもあります。
慢性化すると、褐色調の色素沈着を来します。沈着する色素は、メラニンだけでなく主にヘモジデリン。ヘモジデリンは、赤血球の中にあるヘモグロビンに由来する褐色調の顆粒状あるいは結晶様の色素であり、鉄を含んでいます。
血液の疾患や血管の疾患で、血管拡張性環状紫斑と似たような症状が出ることもあります。血管拡張性環状紫斑に気付いたら、疾患を正しく把握するためにも、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師に相談してみることが勧められます。
血管拡張性環状紫斑の検査と診断と治療
皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による診断では、出血傾向の一般検査を行い、血液学的に異常をみないことを確認します。組織を病理検査すると、慢性的な出血性の炎症がみられ、真皮上層の血管周囲にリンパ球浸潤、血管拡張および出血を認めます。病変部は明らかな色素の沈着を残すので、診断は比較的容易です。うっ滞性紫斑との鑑別が必要です。
積極的な治療の必要はありません。症状の程度によって、ビタミンCなどの血管強化剤、止血剤、抗プラスミン剤、抗炎症剤などが使用されます。病因を絶つ根本治療ではなく、対症的治療にとどまります。
適当な強さの副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の外用が有効なことがあります。慢性かつ進行性で一進一退を繰り返し難治性ですが、自然軽快もあり得ます。
対症的治療にとどまるため、症状が悪化しないように下肢の安静や、足先を少し高くして休むようにする挙上を心掛けることが重要です。弾性ストッキングの着用が有効な場合もあります。
衣類の接触とともに、使用中の薬剤などが疾患を悪化させているかどうかを観察し、日常生活の中で関係していると思われるものがあれば、それを避けるようにします。下肢の血液の循環に負担をかけないように心掛けることが大切で、長時間の歩行、立ち仕事などは避けるようにします。
血管拡張性環状紫斑(しはん)とは、主に下肢の両側に紫色の点状斑が多発して環状に配列し、慢性化するうち、次第に褐色調の色素沈着をみるようになる皮膚疾患。マヨッキー紫斑、マヨッキー血管拡張性環状紫斑とも呼ばれます。
この血管拡張性環状紫斑は、慢性(特発性)色素性紫斑という疾患群の一つに分類されています。その慢性色素性紫斑には、血管拡張性環状紫斑のほかに、不規則な斑(まだら)ができるシャンバーグ病、丘疹(きゅうしん)状の皮疹をみる色素性紫斑性苔癬(たいせん)様皮膚炎(グージュロー・ブルム病)、かゆみの強い瘙痒(そうよう)性紫斑など、いくつかの型があります。
血管拡張性環状紫斑は比較的まれな皮膚疾患ですが、中年以降の人に好発し、やや女性に多くみられます。時に小児、若年者にもみられます。
真の原因は不明ながら、静脈性の微小循環障害と毛細血管壁の弱さが関係するものと考えられています。また、何らかの遅延型過敏反応であるという説もあり、衣類の接触、扁桃(へんとう)炎などからの病巣感染、ある種の薬剤の関与などを指摘する報告などがあります。
紫色の点状斑の多発で始まり、毛細血管が拡張し、次第に進行して環状に配列する紫斑となります。この環状の紫斑が主体で、通常、かゆみなどの自覚症状はありません。紫斑は赤血球を主とする血液が皮膚の表面近くの微小な毛細血管壁から漏れた状態で、皮膚に出血がみられますが、血液学的に異常はなく、内臓などの全身臓器からの出血はありません。内臓疾患、他の全身症状を伴うことはなく、予後も心配ありません。
基本的に下肢、特に下腿(かたい)の裏側が好発部位で、おおかたは両脚に発症します。紫色の環状斑が大腿、腰臀(ようでん)部へと拡大することもあり、ひどいと手や上半身にも出ることもあります。色はやがて薄れてゆきますが、しばしば新生を繰り返して慢性化し、数年に渡ることもあります。
慢性化すると、褐色調の色素沈着を来します。沈着する色素は、メラニンだけでなく主にヘモジデリン。ヘモジデリンは、赤血球の中にあるヘモグロビンに由来する褐色調の顆粒状あるいは結晶様の色素であり、鉄を含んでいます。
血液の疾患や血管の疾患で、血管拡張性環状紫斑と似たような症状が出ることもあります。血管拡張性環状紫斑に気付いたら、疾患を正しく把握するためにも、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師に相談してみることが勧められます。
血管拡張性環状紫斑の検査と診断と治療
皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による診断では、出血傾向の一般検査を行い、血液学的に異常をみないことを確認します。組織を病理検査すると、慢性的な出血性の炎症がみられ、真皮上層の血管周囲にリンパ球浸潤、血管拡張および出血を認めます。病変部は明らかな色素の沈着を残すので、診断は比較的容易です。うっ滞性紫斑との鑑別が必要です。
積極的な治療の必要はありません。症状の程度によって、ビタミンCなどの血管強化剤、止血剤、抗プラスミン剤、抗炎症剤などが使用されます。病因を絶つ根本治療ではなく、対症的治療にとどまります。
適当な強さの副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の外用が有効なことがあります。慢性かつ進行性で一進一退を繰り返し難治性ですが、自然軽快もあり得ます。
対症的治療にとどまるため、症状が悪化しないように下肢の安静や、足先を少し高くして休むようにする挙上を心掛けることが重要です。弾性ストッキングの着用が有効な場合もあります。
衣類の接触とともに、使用中の薬剤などが疾患を悪化させているかどうかを観察し、日常生活の中で関係していると思われるものがあれば、それを避けるようにします。下肢の血液の循環に負担をかけないように心掛けることが大切で、長時間の歩行、立ち仕事などは避けるようにします。
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