■用語 薬剤起因性腸炎 [用語(や行)]
抗生剤などの薬剤の副作用で発生する急性腸炎
薬剤起因性腸炎とは、疾患の治療のために投与された薬剤の副作用で発生する急性腸炎。薬剤性腸炎とも呼ばれます。
原因となる薬剤は、一般に抗生剤(抗生物質)が多く、非ステロイド性消炎鎮痛剤、抗がん剤などでも起こります。抗生剤によるものは抗生剤起因性腸炎とも呼ばれ、それらはさらに偽膜性腸炎と急性出血性腸炎に大別されています。非ステロイド性消炎鎮痛剤では胃潰瘍(かいよう)がよく起きますが、まれに大腸炎が起きます。
偽膜性腸炎は、何らかの疾患のために抗生剤を投与されている人に現れる急性腸炎。偽膜とは、大腸粘膜に発生するうみの塊です。
基礎疾患のある高齢者に多くみられ、抗生剤を投与された5〜10日後に、水のような便が出る下痢に見舞われます。大量の粘液を含んだ便が出たり、その中に血液が混じっていることもあります。腹鳴、下腹の鈍痛、腹部膨満感、中等度の発熱も伴います。ひどい場合には、複数の症状を起こし、ショック状態になることもあります。
偽膜性腸炎を起こす薬剤としては抗生剤が最も多く、そのほか非ステロイド性消炎鎮痛剤、抗がん剤、免疫抑制剤、重金属製剤、経口避妊剤などの薬剤も誘因となることがあります。
原因としては、疾患に対する治療を目的に投与された抗生剤、特にセフェム系やリンコマイシン系の抗生剤がその目的に反する副作用として、腸内細菌のバランスの乱れを引き起こし、ディフィシル菌が異常増殖し、それが作る毒素が大腸粘膜の循環障害を引き起こすとされています。
抗生剤は微生物を原料にして作られた薬剤で、副作用は少ないのですが、人によってはアレルギー反応が起きたり、発疹(はっしん)、のどの渇き、めまいなどの症状が現れることもあります。
一方、急性出血性腸炎も、偽膜性腸炎と同じく、何らかの疾患のために抗生剤を投与されている人に現れます。急性出血性大腸炎とも呼ばれます。
高齢者よりも若年者から中年者に多くみられ、風邪などの治療のためにペニシリン系抗生剤を投与された3~4日後に突然、激しい腹痛と血性下痢に見舞われます。血液の混じった下痢が頻回に渡って現れ、ちょうどトマトジュースのように見える便が出ます。
ただ、大腸のびらんの程度が低い場合では、下痢ないし軟便で下血を伴わないこともあり、腹痛も軽微なことがあります。
合成ペニシリンが主な起因薬剤とされていますが、セフェム系や他の抗生剤も誘因となり得ます。抗生剤のほか、非ステロイド性消炎鎮痛剤、抗がん剤、免疫抑制剤、重金属製剤、経口避妊剤などの薬剤も誘因となることがあります。
急性出血性腸炎のメカニズムは、いまだに解明されていません。疾患に対する治療を目的に投与されたペニシリン系抗生剤が、副作用として何らかのアレルギー反応を引き起こし、大腸の血流を障害してびらんや潰瘍などの炎症を引き起こし、腹痛、下痢、下血を起こすと見なされています。
何か薬剤を服用している期間中に、思い当たる原因もなく腹痛や下痢、発熱が続くような症状が現れたら、内科、消化器科、胃腸科の医師に相談します。
薬剤起因性腸炎の検査と診断と治療
医師による偽膜性腸炎の診断では、まず、抗生剤の投与歴を確認します。あれば、抗生剤の内容も確認します。次いで、便中のディフィシル菌毒素の検出や便の培養検査を行います。
大腸内視鏡検査を行うと、大腸粘膜に、黄白色で半球状に隆起したうみの固まりである偽膜が多発しています。偽膜が互いに融合して、地図のような形になっているものもあります。この変化は直腸下端から始まることが多いので、前処置なしに検査できる直腸鏡でも診断することができます。ひどい場合には、偽膜が全大腸に及んでいることもあります。
治療はまず、投与中の抗生物質をすぐに中止すること。次いで、ディフィシル菌に著しい効果を示すバンコマイシンや、メトロニダゾール(フラジール)という抗生剤1〜2グラムを5日間投与しますが、1〜2週間で病状は改善します。
時には、内視鏡検査を行うだけで、改善するケースもあります。これは検査によって大腸へ空気が注入されることが、細菌の増殖に何らかの影響を与えるためではないかと考えられています。
医師による急性出血性腸炎の診断では、偽膜性腸炎と同じく、まず抗生剤の投与歴を確認します。あれば、抗生剤の内容も確認します。偽膜性大腸炎と違い、抗生剤の服用後2、3日と早い段階で起きやすく、投与経路では経口投与の場合が多いようです。
次いで、大腸内視鏡検査を行うと、横行結腸を中心にS状結腸から結腸の粘膜に発赤、びらんが認められ、潰瘍が認められることもあります。血液検査では、白血球の増加などを認めるものの特徴的ではありません。糞便(ふんべん)検査では、クレブシエラ・オキシトカ菌が高率に検出されます。この菌の毒素産生は認められませんが、何らかの関与が考えられています。
抗生剤が原因となった急性出血性腸炎は、その抗生剤を中止することが第一の治療法です。脱水を認めれば、輸液を行います。下痢がひどい場合も、腸の安静を保つために、点滴による栄養の補給を行います。
そのほか、症状に応じて、腸の動きを抑えて痛みを和らげる作用のある鎮痙(ちんけい)剤、腸内細菌のバランスを整える整腸剤などの投与を行います。これらの対症療法だけで急速に症状が改善し、2〜4週間ぐらいで治癒します。
ただし、薬剤が原因であると考えられる場合でも、自分だけの判断で服用を中止せず、担当の医師の指示に従うことが大切です。原因となる薬剤は、一般にペニシリン系抗生剤が多いもの、ほかの抗生剤や非ステロイド性消炎鎮痛剤などでも起こることがあるからです。
薬剤起因性腸炎とは、疾患の治療のために投与された薬剤の副作用で発生する急性腸炎。薬剤性腸炎とも呼ばれます。
原因となる薬剤は、一般に抗生剤(抗生物質)が多く、非ステロイド性消炎鎮痛剤、抗がん剤などでも起こります。抗生剤によるものは抗生剤起因性腸炎とも呼ばれ、それらはさらに偽膜性腸炎と急性出血性腸炎に大別されています。非ステロイド性消炎鎮痛剤では胃潰瘍(かいよう)がよく起きますが、まれに大腸炎が起きます。
偽膜性腸炎は、何らかの疾患のために抗生剤を投与されている人に現れる急性腸炎。偽膜とは、大腸粘膜に発生するうみの塊です。
基礎疾患のある高齢者に多くみられ、抗生剤を投与された5〜10日後に、水のような便が出る下痢に見舞われます。大量の粘液を含んだ便が出たり、その中に血液が混じっていることもあります。腹鳴、下腹の鈍痛、腹部膨満感、中等度の発熱も伴います。ひどい場合には、複数の症状を起こし、ショック状態になることもあります。
偽膜性腸炎を起こす薬剤としては抗生剤が最も多く、そのほか非ステロイド性消炎鎮痛剤、抗がん剤、免疫抑制剤、重金属製剤、経口避妊剤などの薬剤も誘因となることがあります。
原因としては、疾患に対する治療を目的に投与された抗生剤、特にセフェム系やリンコマイシン系の抗生剤がその目的に反する副作用として、腸内細菌のバランスの乱れを引き起こし、ディフィシル菌が異常増殖し、それが作る毒素が大腸粘膜の循環障害を引き起こすとされています。
抗生剤は微生物を原料にして作られた薬剤で、副作用は少ないのですが、人によってはアレルギー反応が起きたり、発疹(はっしん)、のどの渇き、めまいなどの症状が現れることもあります。
一方、急性出血性腸炎も、偽膜性腸炎と同じく、何らかの疾患のために抗生剤を投与されている人に現れます。急性出血性大腸炎とも呼ばれます。
高齢者よりも若年者から中年者に多くみられ、風邪などの治療のためにペニシリン系抗生剤を投与された3~4日後に突然、激しい腹痛と血性下痢に見舞われます。血液の混じった下痢が頻回に渡って現れ、ちょうどトマトジュースのように見える便が出ます。
ただ、大腸のびらんの程度が低い場合では、下痢ないし軟便で下血を伴わないこともあり、腹痛も軽微なことがあります。
合成ペニシリンが主な起因薬剤とされていますが、セフェム系や他の抗生剤も誘因となり得ます。抗生剤のほか、非ステロイド性消炎鎮痛剤、抗がん剤、免疫抑制剤、重金属製剤、経口避妊剤などの薬剤も誘因となることがあります。
急性出血性腸炎のメカニズムは、いまだに解明されていません。疾患に対する治療を目的に投与されたペニシリン系抗生剤が、副作用として何らかのアレルギー反応を引き起こし、大腸の血流を障害してびらんや潰瘍などの炎症を引き起こし、腹痛、下痢、下血を起こすと見なされています。
何か薬剤を服用している期間中に、思い当たる原因もなく腹痛や下痢、発熱が続くような症状が現れたら、内科、消化器科、胃腸科の医師に相談します。
薬剤起因性腸炎の検査と診断と治療
医師による偽膜性腸炎の診断では、まず、抗生剤の投与歴を確認します。あれば、抗生剤の内容も確認します。次いで、便中のディフィシル菌毒素の検出や便の培養検査を行います。
大腸内視鏡検査を行うと、大腸粘膜に、黄白色で半球状に隆起したうみの固まりである偽膜が多発しています。偽膜が互いに融合して、地図のような形になっているものもあります。この変化は直腸下端から始まることが多いので、前処置なしに検査できる直腸鏡でも診断することができます。ひどい場合には、偽膜が全大腸に及んでいることもあります。
治療はまず、投与中の抗生物質をすぐに中止すること。次いで、ディフィシル菌に著しい効果を示すバンコマイシンや、メトロニダゾール(フラジール)という抗生剤1〜2グラムを5日間投与しますが、1〜2週間で病状は改善します。
時には、内視鏡検査を行うだけで、改善するケースもあります。これは検査によって大腸へ空気が注入されることが、細菌の増殖に何らかの影響を与えるためではないかと考えられています。
医師による急性出血性腸炎の診断では、偽膜性腸炎と同じく、まず抗生剤の投与歴を確認します。あれば、抗生剤の内容も確認します。偽膜性大腸炎と違い、抗生剤の服用後2、3日と早い段階で起きやすく、投与経路では経口投与の場合が多いようです。
次いで、大腸内視鏡検査を行うと、横行結腸を中心にS状結腸から結腸の粘膜に発赤、びらんが認められ、潰瘍が認められることもあります。血液検査では、白血球の増加などを認めるものの特徴的ではありません。糞便(ふんべん)検査では、クレブシエラ・オキシトカ菌が高率に検出されます。この菌の毒素産生は認められませんが、何らかの関与が考えられています。
抗生剤が原因となった急性出血性腸炎は、その抗生剤を中止することが第一の治療法です。脱水を認めれば、輸液を行います。下痢がひどい場合も、腸の安静を保つために、点滴による栄養の補給を行います。
そのほか、症状に応じて、腸の動きを抑えて痛みを和らげる作用のある鎮痙(ちんけい)剤、腸内細菌のバランスを整える整腸剤などの投与を行います。これらの対症療法だけで急速に症状が改善し、2〜4週間ぐらいで治癒します。
ただし、薬剤が原因であると考えられる場合でも、自分だけの判断で服用を中止せず、担当の医師の指示に従うことが大切です。原因となる薬剤は、一般にペニシリン系抗生剤が多いもの、ほかの抗生剤や非ステロイド性消炎鎮痛剤などでも起こることがあるからです。
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