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■心臓移植受けた95パーセントが生存、32人が社会復帰 脳死移植の102例を検証 [健康ダイジェスト]

 脳死判定や移植が適正だったかどうか事後評価する厚生労働省の検証会議は29日、検証を終えた102例の結果をまとめた報告書を公表しました。1997年の臓器移植法施行後に心臓移植を受けた80人中、95パーセントに当たる76人が昨年末時点で生存、32人は働いているなど、社会復帰の状況が明らかにされました。
 ほかの臓器の移植を受けた人も、生存者の多くは社会復帰しており、検証会議座長の藤原研司横浜労災病院名誉院長は「移植を待つ人の希望になる」と話しました。
 2009年の臓器移植法改正前の85例と、本人の意思表示がなかった改正後の17例が検証されました。
 1997年に成立した臓器移植法では、臓器の摘出には本人の書面による意思表示と遺族の同意が必要とされ、遺言可能年齢を定める民法との関連で、15歳未満の子供の臓器の摘出はできませんでしたが、2009年7月に成立した改正臓器移植法では、脳死を一律に「人の死」と位置付け、臓器提供の年齢制限が撤廃されました。15歳未満の子供からの臓器提供が可能となったほか、本人が生前に拒否表明していなければ家族の同意のみで臓器提供できることになりました。
 心臓移植を受けた80人が移植の希望を登録してから実際に受けるまでの平均待機期間は2年7カ月。生存の76人中、40人は常時働けるのに仕事がないといい、社会の受け入れ環境が整っていない可能性があります。
 肺は79人に移植され、約73パーセントの58人が生存し、半数が完全に社会復帰しました。肝臓は82人に移植され、65人が生存し、42人が完全に社会復帰しました。
 脳死判定では、脳幹反射がないことを確認する際に、耳に冷水を掛けて反応をみるべきなのに、冷風で行った例が1件ありました。判定に必要な脳波記録が検証時になかったり、直腸で測るべき体温をわきの下で測っていた例もあったりしましたが、検証会議は全事例で妥当に行われたと判断しました。
 移植後に臓器がうまく適合しなかった割合は肺が最も高く、79人中23人で29パーセント、肝臓20パーセント、腎臓17パーセント、膵臓27パーセント、小腸12パーセント、最も低い心臓は80人中 4人で5パーセントでした。
 また、医療機関が臓器提供に積極的に関わっている実態も浮かび上がりました。臓器提供の意思を確認する切っ掛けは、臓器移植法改正前は「家族からの申し出」が91パーセントでしたが、法改正後は「医師からの選択肢の提示」が6パーセントから65パーセントに急増していました。
 一方、家族が提供を承諾するまでに、移植コーディネーターと2回以上面談した例は44パーセントあり、面談に要した時間の中央値は1回目が67分、2回目が40分でした。「本人の最期を決めるのは負担」「体が温かいので決められない」など、直前まで提供を迷っていた家族の発言も紹介されました。

 2012年3月31日(土)




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