■用語 腰椎圧迫骨折 [用語(よ)]
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腰椎(ようつい)圧迫骨折とは、必要以上に強い衝撃を受けることによって、胸椎と腰椎の移行部の椎体が圧迫され、押しつぶされるように変形する疾患。
骨粗鬆(こつそしょう)症がある高齢者によくみられ、多くは第11胸椎、第12胸椎、第1腰椎、第2腰椎などの胸腰椎移行部に症状が現れます。骨が正常である成人男子にはまれな疾患で、高い所からの転落事故や交通事故、スポーツ中の事故などで、大きな力が脊椎(せきつい)の軸方向に加わった場合にしか起こりません。こうした事故の場合、胸腰椎移行部の椎体の圧迫骨折だけでなく、骨盤骨折や下肢骨骨折、臓器の損傷を伴うこともまれではありません。
しかし、骨粗鬆症がある高齢者では骨がもろくなっている状態のため、比較的軽い衝撃が加わっただけで、椎体の圧迫骨折が起こることがあります。多くが転倒によって生じますが、しりもちでも起こります。
症状としては、圧迫骨折が起こった部分の腰や背中に、痛みを覚えます。急性期には、寝返りや前かがみさえもできないほどの強い痛みを覚えます。これらの痛みは、体を動かした際、骨折部分に負担が掛かるために生じるものです。そのほかにも、押しつぶされた椎体の影響で後方にある脊髄神経が圧迫されると、下肢の痛みやしびれを伴うことがあります。
本来、折れた骨はくっついて固まるので痛くなくなりますが、骨粗鬆症が進んでいると、折れた部分が固まらない場合があります。この場合は痛みが残ったりして、安静にしている時には痛みは和らいでも、動こうとすると強く痛み、特に起床時などには痛みが激しく歩行が困難になり、次第に起き上がることすらも難しくなります。
また、症状が一度消失しても、骨折後数カ月が経過してから、腰や背中の痛み、下肢のしびれ、動きにくさなどの症状が出てくることがあります。
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整形外科の医師による診断では、単純X線撮影を行っても特に変形を認められないこともあり、確定診断にはMRI検査が必要になります。MRI検査による画像では、圧迫骨折した胸腰椎移行部の椎体は出血により、ほかの椎体と違う濃度で描出されるため判別が可能となり、圧迫骨折の程度もわかります。また、脊髄神経に接している椎体後壁の骨折の有無で、脊髄神経への圧迫の有無がわかります。
整形外科の医師による治療では、下肢のしびれなどの神経症状がなければ、安静による保存療法が基本となります。脊髄神経に接している椎体後壁が折れていれば、陥没して骨片が脊髄神経に刺さったり、圧迫したりして、下肢のしびれやまひを起こすこともあるため、手術が必要になることもあります。
安静による保存療法では、1カ月以上入院してベッド上で臥床(がしょう)して、腰に垂直方向の力をかけないようにし、椎体の骨を癒合させていきます。入院初期の段階では、腰椎圧迫骨折による痛みがあることも多く、鎮痛剤の投与や、体幹ギプス、腰椎軟性コルセットの使用などで治療を行います。
また、長期臥床が原因で、運動不足になったり睡眠が不規則になったりするため、背中や肩の凝りや痛みを伴う場合もあります。
高齢者が長期間ベッドで安静にしていると、呼吸器や尿路系の感染を起こしたり、認知症を発症したり、急速に下肢の筋力が低下し、起立、歩行できるようになるまで、さらに長期間を要することもあります。
リハビリが開始されると、貧血に注意しながら、徐々に起立訓練や歩行訓練を行っていきます。この時期では、運動量増加に伴う疲労性の筋肉痛と、腰部周囲筋を中心に背筋群の筋肉が硬くなるスパズムの軽減のために、骨に影響がない程度の軽いマッサージを行うことで痛みの軽減が図れます。
近年では、腰椎圧迫骨折の急性期や、時間が経っても骨折部分が十分に治らず強い痛みが続く場合などに、骨セメントを椎体内に注入することにより骨折部を安定させて、手早く痛みを取るバルーン・カイフォプラスティ(バルーン椎体形成術、経皮的後湾矯正術)が行われるようになっています。
X線で確認しながら、圧迫骨折した胸腰椎移行部の椎体で風船(バルーン)を膨らませ、つぶれた骨をできる限り復元した後、風船によって作られた空洞に骨セメントを詰めます。極めて負担は軽く、かつ速やかに痛みが取れるため、1990年代にアメリカで開発されて以来、欧米では広く行われてきた手術方法で、日本でも2011年1月から保険診療として特定の施設で行うことが認められました。
治療後の長期安静は不要で、早ければ手術の翌日に退院できます。
腰椎圧迫骨折を防ぐために最も大切なことは、転倒したりしないことです。そのためには、日ごろからできるだけ散歩などの運動をすること、外に出てさまざまな刺激を受け、はつらつとした気分を保つことです。室内に閉じこもってばかりいると、年を取るにつれて、運動能力や反射神経が減退するばかりでなく、骨粗鬆症も進行します。
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