■用語 ランナー膝 [用語(ら行)]
ランニングなどによって膝関節周辺の腸脛靭帯が炎症を起こす状態
ランナー膝(ひざ)とは、不整地や下り坂でのランニングなどにより、膝関節周辺の腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)に炎症が生じる状態。腸脛靭帯炎とも呼ばれます。
腸脛靱帯は、股(こ)関節の外側から膝の外側に通って脛骨外側に付着している長い靱帯であり、股関節を外転したり、太腿(ふともも)を持ち上げたり、下腿(かたい)を外旋する働きを持っています。膝の屈伸運動を繰り返すことによって、この腸脛靱帯が大腿骨外顆(がいか)と接触して、摩擦を繰り返すために炎症を起こし、疼痛(とうつう)が発生するのが、ランナー膝です。
特にマラソンなどの長距離ランナーに好発するほかに、バスケットボール、水泳、自転車、スキー、エアロビクス、バレエなどを行う人にも起こります。
一般には、オーバーユース(使いすぎ)が主な原因となって発生するといわれています。そのほか、過剰なランニング時間と距離、ランニング中の急激なスピードの変化、ウォームアップ不足による柔軟性不足、筋力低下、内反膝(O脚)や回内足による腸脛靭帯の緊張、クッションの悪いシューズや擦り減ったシューズの使用、不整地、硬い路面、下り坂でのランニングなど、さまざまな要因が加味されて発生します。
症状としては、膝の外側に緊張、違和感を感じ、その症状が徐々に灼熱(しゃくねつ)感に変わり、大腿骨外顆周辺に限って疼痛が生じます。腸脛靱帯は明らかに緊張が増し、時に靱帯に沿って疼痛が放散します。初期はランニング後に疼痛が発生し、休むと消失します。しかし、ランニングを続けていると次第に疼痛は増強して、簡単に消失しなくなってきます。
ひどくなると歩く際にも疼痛が生じ、特に階段を下りる時に増します。重症な場合、痛み部分の摩擦を軽減するために、膝を伸ばしたままで歩行するようになります。
2週間以内に症状の改善がみられない場合は、整形外科、スポーツ整形外科の医師、またはスポーツトレーナーに相談して下さい。
ランナー膝の検査と診断と治療
整形外科、スポーツ整形外科の医師による診断では、症状や問診でランナー膝(腸脛靭帯炎)と確定できます。疼痛が誘発されるグラスピングテストも有用で、膝を90度屈曲して大腿骨外顆部で腸脛靱帯を押さえてから膝を伸展していくと、痛くなります。外側半月板損傷との鑑別が必要となり、MRI検査を行うこともあります。
整形外科、スポーツ整形外科の医師による治療は、手術をしない保存療法が原則です。第1に患部の安静、つまり、ランニングの休止が大切です。次に、患部のアイシング(冷却)を徹底します。さらに、消炎鎮痛剤の内服や、貼付(ちょうふ)剤の使用、超音波・低周波・マイクロ波などの電気刺激療法、針治療、マッサージを行うこともあります。
難治な症例では、手術をすることもありますが、一般的ではありません。
いったん症状が出現すると、簡単には疼痛が消失しないので、初期の適切な安静、休養はとりわけ大切となります。痛みを無理に抑えて練習を続けるよりも、完全に休養して患部の安静を図って炎症の回復を待つほうが、痛みが少なくなる期間が短縮される可能性が高くなります。
マラソン本番が近く、どうしても出場したい場合には、患部に局所麻酔剤を注射して痛みを和らげる方法もありますが、決して勧めることができるものではありません。
予防法としては、ランニング前後に股関節外側部を主としたストレッチ、アイシングを念入りにすることが大切です。ストレッチでは、腸脛靱帯の付着部のみではなく、臀部(でんぶ)や太腿、下腿の筋肉までゆっくりと伸ばすことです。
シューズのかかとの減り具合をチェックし、極端に内側や外側が減っている場合には、足底板などのインソールやテーピングも必要です。再発を繰り返す場合や内反膝(O脚)の強い場合は、腸脛靭帯に負担がかからないように、足底板をインソールしてシューズの外側を高くします。シューズは、クッションのよいものを選びます。
ランニングフォームを矯正して、ランニング中の着地時につま先が内側を向かないようにすることも大切です。ランニングコースの検討も必要で、硬い路面の走行をなるべく避け、傾斜のある路面の走りすぎも避けることです。
その点で、側道を決まった方向(側)で走行しないことも必要で、側道は水はけのため道路中央よりも低くなっているため、道路端の腸脛靱帯に負担がかかるためです。また、トラック競技場を決まった方向(側)で走行しないことも必要で、トラック競技場は反時計回りのため、右足外側に遠心力がかかり腸脛靱帯が引っ張られるためです。同一側の膝の負担を軽くする目的で、たまには普段と反対回りのトラック走行なども取り入れて下さい。
スポーツ整形外科の医師に治療を含めたアドバイスを受けたり、スポーツトレーナーにランニングメニュー作成やストレッチなどの相談をしたり、シューズアドバイザーにウオーミングアップ用や本番に使用するシューズ選びを相談したりするのも有用です。
ランナー膝(ひざ)とは、不整地や下り坂でのランニングなどにより、膝関節周辺の腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)に炎症が生じる状態。腸脛靭帯炎とも呼ばれます。
腸脛靱帯は、股(こ)関節の外側から膝の外側に通って脛骨外側に付着している長い靱帯であり、股関節を外転したり、太腿(ふともも)を持ち上げたり、下腿(かたい)を外旋する働きを持っています。膝の屈伸運動を繰り返すことによって、この腸脛靱帯が大腿骨外顆(がいか)と接触して、摩擦を繰り返すために炎症を起こし、疼痛(とうつう)が発生するのが、ランナー膝です。
特にマラソンなどの長距離ランナーに好発するほかに、バスケットボール、水泳、自転車、スキー、エアロビクス、バレエなどを行う人にも起こります。
一般には、オーバーユース(使いすぎ)が主な原因となって発生するといわれています。そのほか、過剰なランニング時間と距離、ランニング中の急激なスピードの変化、ウォームアップ不足による柔軟性不足、筋力低下、内反膝(O脚)や回内足による腸脛靭帯の緊張、クッションの悪いシューズや擦り減ったシューズの使用、不整地、硬い路面、下り坂でのランニングなど、さまざまな要因が加味されて発生します。
症状としては、膝の外側に緊張、違和感を感じ、その症状が徐々に灼熱(しゃくねつ)感に変わり、大腿骨外顆周辺に限って疼痛が生じます。腸脛靱帯は明らかに緊張が増し、時に靱帯に沿って疼痛が放散します。初期はランニング後に疼痛が発生し、休むと消失します。しかし、ランニングを続けていると次第に疼痛は増強して、簡単に消失しなくなってきます。
ひどくなると歩く際にも疼痛が生じ、特に階段を下りる時に増します。重症な場合、痛み部分の摩擦を軽減するために、膝を伸ばしたままで歩行するようになります。
2週間以内に症状の改善がみられない場合は、整形外科、スポーツ整形外科の医師、またはスポーツトレーナーに相談して下さい。
ランナー膝の検査と診断と治療
整形外科、スポーツ整形外科の医師による診断では、症状や問診でランナー膝(腸脛靭帯炎)と確定できます。疼痛が誘発されるグラスピングテストも有用で、膝を90度屈曲して大腿骨外顆部で腸脛靱帯を押さえてから膝を伸展していくと、痛くなります。外側半月板損傷との鑑別が必要となり、MRI検査を行うこともあります。
整形外科、スポーツ整形外科の医師による治療は、手術をしない保存療法が原則です。第1に患部の安静、つまり、ランニングの休止が大切です。次に、患部のアイシング(冷却)を徹底します。さらに、消炎鎮痛剤の内服や、貼付(ちょうふ)剤の使用、超音波・低周波・マイクロ波などの電気刺激療法、針治療、マッサージを行うこともあります。
難治な症例では、手術をすることもありますが、一般的ではありません。
いったん症状が出現すると、簡単には疼痛が消失しないので、初期の適切な安静、休養はとりわけ大切となります。痛みを無理に抑えて練習を続けるよりも、完全に休養して患部の安静を図って炎症の回復を待つほうが、痛みが少なくなる期間が短縮される可能性が高くなります。
マラソン本番が近く、どうしても出場したい場合には、患部に局所麻酔剤を注射して痛みを和らげる方法もありますが、決して勧めることができるものではありません。
予防法としては、ランニング前後に股関節外側部を主としたストレッチ、アイシングを念入りにすることが大切です。ストレッチでは、腸脛靱帯の付着部のみではなく、臀部(でんぶ)や太腿、下腿の筋肉までゆっくりと伸ばすことです。
シューズのかかとの減り具合をチェックし、極端に内側や外側が減っている場合には、足底板などのインソールやテーピングも必要です。再発を繰り返す場合や内反膝(O脚)の強い場合は、腸脛靭帯に負担がかからないように、足底板をインソールしてシューズの外側を高くします。シューズは、クッションのよいものを選びます。
ランニングフォームを矯正して、ランニング中の着地時につま先が内側を向かないようにすることも大切です。ランニングコースの検討も必要で、硬い路面の走行をなるべく避け、傾斜のある路面の走りすぎも避けることです。
その点で、側道を決まった方向(側)で走行しないことも必要で、側道は水はけのため道路中央よりも低くなっているため、道路端の腸脛靱帯に負担がかかるためです。また、トラック競技場を決まった方向(側)で走行しないことも必要で、トラック競技場は反時計回りのため、右足外側に遠心力がかかり腸脛靱帯が引っ張られるためです。同一側の膝の負担を軽くする目的で、たまには普段と反対回りのトラック走行なども取り入れて下さい。
スポーツ整形外科の医師に治療を含めたアドバイスを受けたり、スポーツトレーナーにランニングメニュー作成やストレッチなどの相談をしたり、シューズアドバイザーにウオーミングアップ用や本番に使用するシューズ選びを相談したりするのも有用です。
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