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■重症肺炎の新治療法 日本の生存率はイギリスの半分程度 [健康ダイジェスト]

 2010年から2011年にかけて、当時の新型インフルエンザで重い肺炎になり、肺の機能を一時的に代行する装置で治療を受けた患者の生存率は、イギリスなどの半分程度にとどまったことが専門の学会の調査でわかりました。
 インフルエンザで肺炎が重症化すると、人工呼吸器が役に立たなくなるため、肺の機能を一時的に代行する体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)という装置で血液に直接酸素を供給する治療法が普及し始めています。
 日本集中治療医学会と日本呼吸療法医学会は、2010年から2011年にかけて、当時の新型インフルエンザで重い肺炎になり、体外式膜型人工肺(ECMO)を使った21歳から63歳の患者14人の経過を詳しく調査しました。その結果、回復したのは5人で、生存率は35・7パーセントにとどまったことがわかりました。
 入院前に持病のあった患者はいなかったものの、13人に肺以外からの出血や血管が詰まる合併症が起きていたということです。
 体外式膜型人工肺(ECMO)による治療の生存率は、スウェーデンで92パーセント、イギリスで73パーセント、オーストラリアとニュージーランドで71パーセントと報告されていて、日本は半分程度となっています。
 調査を行った日本医科大学の竹田晋浩准教授は、「全身状態の管理など、治療法に対する理解が不十分だ。毒性の強い新型インフルエンザなどに備え、治療技術の向上に早急に取り組むべきだ」と指摘しています。
 体外式膜型人工肺(ECMO)は、保存的療法に反応しない重症呼吸循環不全例に対して体外循環を用いて行われる救命手段であり、呼吸補助、循環補助、肺の安静化などの目的で導入されています。
 患者から体外循環ポンプで脱血し、人工肺で血液の酸素化と二酸化炭素の排出を行い、熱交換器で加温して患者へ返血するシステムで、静脈系から脱血して人工肺を通り動脈系に返血する方式と、静脈系から脱血して人工肺を通り静脈系に返血する方式があります。体外式膜型人工肺(ECMO)自体は生命補助装置であって、原疾患を直接的に改善させるわけではありません。
 日本呼吸療法医学会では、急性呼吸不全症例に対する体外式膜型人工肺(ECMO)による治療成績を向上させることを目的として、ECMOプロジェクトを開始しており、参加する施設を募集中です。

 2012年6月11日(月)




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