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■O157に猛毒型が存在 千葉大チーム、識別検査法も開発 [健康ダイジェスト]

 病原性大腸菌O(オー)157の中に、健康な人でも死に至るほどの重い症状を引き起こす「猛毒型」があることを、千葉大学の野田公俊教授(病原分子制御学)の研究チームが発見しました。
 これまでは、人によって症状の重さに差が出る理由がわかっていませんでしたが、その識別方法も開発。今後、治療方法の開発に役立つ可能性があるといいます。
 研究内容は、英国の専門誌「モレキュラーマイクロバイオロジー」の電子版に発表されました。
 O157は溶血性尿毒症症候群や脳症など非常に重い症状になる場合がありますが、その確率は日本では1・4パーセントとされます。これまで、同じ菌なのに症状が大きく違う理由は不明で、「患者の体調による」などさまざまな説がありました。
 野田教授は清水健准教授らと研究。体内に細菌が入ると、マクロファージ(細菌を食べる細胞)が殺菌物質の一酸化窒素(NO)を出して攻撃しますが、そのNOを破壊する特殊な酵素を持った猛毒型のO157が存在することを発見しました。NOが減少すると、O157が出す毒素が通常の2倍から3倍に増えることも確認できたといいます。
 去年、ヨーロッパで39人の死者が出た病原性大腸菌O104でも、同じ酵素が働いていることを確認したとしています。
 猛毒型かどうかを遺伝子から識別する検査法も考案。1〜2時間で判定できるといいます。
 野田教授は、「O157に感染したらまず遺伝子を調べ、重症化の恐れがある猛毒型とわかれば、症状が悪化する前に適切な治療を行えるようになる。早急に検査法の実用化を目指したい」と話しています。
 O157は腸管出血性大腸菌の一つで、少量でも食中毒の原因になります。赤痢と同じ毒素を作り、出血を伴う腸炎を発症させます。1982年、アメリカでハンバーガーによる集団食中毒が世界で初めて発生し、その後、世界各地で報告されました。
 日本では1990年、埼玉県浦和市(当時)の幼稚園で、井戸水汚染により2人が死亡したのが最初。1996年には全国で爆発的発生がみられ、特に堺市では小学校給食がO157に汚染したため、9000人以上が発症し、3人が死亡しました。
 厚生労働省の統計によると、2010年までの10年間で2599人が発症し、10人が死亡しました。今年7月から牛の生レバーの提供が禁止される原因にもなりました。

 2012年6月28日(木)




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