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■やけどを治すラップ療法でトラブル 日本熱傷学会が注意喚起へ [健康ダイジェスト]

 やけどを食品用ラップなどで覆って治す「ラップ療法」で、傷口が腐って足を切断したり、重い感染症を起こしたりするケースが相次いでいることが、日本熱傷学会の調査で判明しました。
 やけどの治療に不慣れな医師が用いて悪化させているケースもあり、同学会は今後、注意を呼び掛ける声明を出すといいます。
 ラップ療法は、傷口からの体液で湿らせて、傷を早く治す「湿潤療法(閉鎖療法)」の一つ。この療法で使う医療用シートが、認可されています。傷口の細菌感染による化膿には注意が必要ですが、1990年代後半から床擦れの治療に食品用ラップなどが使われ始め、その後、やけどや傷にも効き、治りが早いと、ネットなどで広まりました。
 日本熱傷学会は「ラップ療法対策特別委員会」を設け、今春、やけど治療の実態を会員からの報告や文献で調査。この結果、回復の遅れや症状の悪化などのトラブルが48例、確認されました。このうち10例は傷口で増えた細菌が全身に回り、高熱や意識障害を起こす敗血症になっていました。
 左足の低温やけどで、ラップ療法を受けた糖尿病の60歳代男性は、医師から「絶対に2、3日、交換してはいけない」といわれ、患部が腐って足を切断しました。本来なら皮膚の移植が必要なほど大きなやけどに、医師がラップを張って重症化させたケースもありました。床擦れのラップ療法を参考に、自己治療して感染を生じたケースもありました。
 一方、54例では、やけどが治る効果が確認されました。
 同学会は、食品ラップなどの日用品は基本的に使わないよう求める声明を出します。調査委員会の安田浩・産業医大病院准教授(形成外科)は、「やけどは症状の軽重で、それぞれ適した治療法がある。湿潤療法の効果は確かめられているが、正しい知識を持つ医師が医療用シートでやらないと危険だ」と注意を呼び掛けています。
 安田准教授は、湿潤療法の注意点として、△感染症を起こしている傷には基本的に使わない、△傷口や周りに皮膚がふやけたり、乾いたりし過ぎないよう、適度な湿り気を保つ医療用シートが望ましい、△傷の痛み、うみが出たり、赤くなったりするなど感染の兆候があれば、他の治療法を考える、を挙げています。

 2012年7月9日(月)




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