SSブログ

■用語 若年網膜分離症 [用語(さ行)]

[目]網膜中央の黄斑が変性し、時には網膜周辺部の分離を伴う先天性の眼疾
 若年網膜分離症とは、眼球内部の網膜中央にある黄斑(おうはん)に進行性の変性がみられ、時には網膜周辺部の外層と内層への分離を伴う先天性の眼疾。先天網膜分離症、X染色体若年網膜分離症とも呼ばれます。
 黄斑は、光を感じる神経の膜である網膜の中央に位置し、物を見るために最も敏感な部分であるとともに、色を識別する細胞のほとんどが集まっている部分。網膜の中でひときわ黄色く観察されるため、昔から黄斑と呼ばれてきました。この黄斑に変性がみられると、視力に低下を来します。また、黄斑の中心部には中心窩(か)という部分があり、ここに変性がみられると、視力の低下がさらに深刻になります。
 一方、網膜は10層の組織から構成されていて、外側から順に網膜色素上皮層、視細胞層、外境界膜、外顆粒(かりゅう)層、外網状層、内顆粒層、内網状層、神経節細胞層、神経線維(繊維)層、内境界膜となっています。その網膜の層の細胞接着が弱く、内部が神経節細胞層と神経線維層レベル、あるいは外網状層と内顆粒層レベルで2層に分離するのが、網膜分離に相当します。
 若年網膜分離症は典型的なX染色体連鎖性劣性遺伝の疾患で、もっぱら男性が発症します。推定有病率は、5000人から2万5000人に1人。原因遺伝子はX染色体の短腕末端に局在するRS1(XLRS1)遺伝子で、網膜の発生、分化時の細胞接着などに関与すると見なされています
 出生時に基本な病変がほぼ完成している先天奇形で、1~5歳ころに視力低下によって疾患が見付かります。ほとんどの場合に、両眼に発症します。
 黄斑の進行性の変性によって、見ようとする物の中心部分がぼやけたりして視力が徐々に低下してゆき、20歳ころには0・1程度になっているのが一般的で、矯正視力は平均的には0・2~0・4。青壮年以後には、黄斑に緩やかな委縮性変化が加わってきます。
 時に網膜の周辺部が外層と内層に分離した場合には、網膜内部の変化に加えて 、硝子体(しょうしたい)との界面にさまざまな変化をみます。網膜の血管が切れてしまう場合には、硝子体出血が起こることもあります。また、網膜がその下にある脈絡膜からはがれる網膜剥離(はくり)を合併することもあります。
 硝子体出血、網膜剥離、増殖性硝子体網膜症を合併しなければ、視機能が大幅に低下することはありません。進行は緩やかですが、網膜の周辺部が分離した場合には、網膜の内部で神経細胞の連結が断裂したり、神経接続が悪くなっているので、全体的に視機能は落ちて、視野異常、斜視、眼振、夜盲を伴うこともあります。網膜の中心近くまで分離が進むと、まれに失明も認められます。
[目]若年網膜分離症の検査と診断と治療
 眼科の医師による診断では、両眼対称性であること、進行性であること、家族にかかった人がいることなどが重要な手掛かりになります。診断の確定には眼底検査と網膜電図検査も大切で、眼底検査を行うと両眼の黄斑部から周辺部にかけて異常所見を見付けることができます。ほかの疾患と鑑別が困難な場合には、確定診断の目的で遺伝子診断を実施します。
 眼科の医師による治療では、通常、経過観察します。網膜の周辺部が2層に分離した場合には、網膜の内部で神経細胞の連結が断裂していますので、機能の回復は望めません。しかし、機能の回復が望めない反面、網膜剥離などを起こさない限り進行は遅いので、積極的に手術をすることはまずありません。手術によって悪化させる場合があるからです。
 網膜剥離を合併している場合には、手術により網膜とその下にある脈絡膜を連結します。手術によって、多くの網膜剥離は元の位置に戻す網膜復位が可能ですが、一度の手術で網膜が復位しないために、複数回の手術を必要とすることもあります。
 手術後の視力に関しては、網膜剥離が発生から間もない状態であり、はがれている範囲も小さい場合は、手術も比較的簡単で、見え方も元通りに回復する可能性が高いといえます。物を見る中心部分の黄斑がはがれていない場合には、手術前と同程度にまで回復する場合もあります。黄斑がはがれてしまっていた場合には、元通りの視力に戻ることは難しくなります。
 硝子体出血を合併している場合、出血が軽いものなら自然に吸収されることもありますが、出血がひどい場合や硝子体に濁りが起こると、視力障害が起こる場合があります。この場合の治療は、止血剤や血管強化剤などの投与が行われたり、レーザー光での凝固術が行われます。レーザー光凝固術は、出血部の網膜を焼き固めて、網膜の血流をスムーズにし、出血の吸収と再出血を防止させるために有効です。
 それでも出血の吸収傾向がみられない時には、硝子体切除術を行ない、出血で濁った硝子体を取り除いて、視力回復を試みます。硝子体切除術は、まず角膜の周辺から特殊な器具を挿入し、目の奥にたまっている血液や濁った組織、またゼリーのような硝子体も切除、吸引します。硝子体は眼球の丸みを保つために必要な組織ですから、切除すると同時に、代わりの液体やガスを注入します。




タグ:若年網膜分離症 用語(さ行) 用語 健康創造塾 結膜結石 先天性黄斑変性症 オカルト黄斑ジストロフィー 眼瞼縁炎(ただれ目) 正常眼圧緑内障 網膜硝子体出血(眼底出血) 家族性角膜変性 角膜ジストロフィー 網膜色素変性症 杆体錐体ジストロフィー 疲れ目 角膜変性 視力障害 眼精疲労 白内障 飛蚊症 一過性黒内障 加齢黄斑変性 家族性ドルーゼン 優性遺伝性ドルーゼン 中心性網膜症 黄斑変性症 結膜弛緩症 ドライアイ 巨大乳頭結膜炎 慢性結膜炎 単性緑内障 先天性緑内障(牛眼) 老眼(老視) 硝子体混濁 近目 近視 偽近視 調節緊張性近視 眼瞼外反症 シェーグレン症候群 霰粒腫 スタルガルト病 斑状網膜症候群 黄色斑眼底 黄斑ジストロフィー やぶにらみ 眼瞼下垂 遠視 弱視 斜視 乱視 色盲、色弱(色覚異常) 視神経症 網膜前膜 水疱性角膜症 滲出性網膜炎 コーツ病 レーベル先天性黒内障 光誘発角膜炎 先天性進行性夜盲 腎性網膜症 水晶体嚢性緑内障 続発性緑内障 雪眼炎(雪目) 雪目(雪眼炎) 虹彩炎(虹彩毛様体炎) 急性結膜炎 糖尿病性網膜症 ビタミン欠乏症 ビタミンB2欠乏症 眼部帯状疱疹 閉塞隅角緑内障 緑内障発作囲(急性閉塞隅角緑内障) 網膜芽細胞腫 急性閉塞隅角緑内障(緑内障発作) 慢性閉塞隅角緑内障 開放隅角緑内障 視神経委縮 網膜静脈閉塞症 ぶどう膜炎 緑内障 アレルギー性結膜炎 円錐角膜 先天性停止性夜盲 X染色体若年網膜分離症 先天網膜分離症 小口病 夜盲症 原田病 ただれ目(眼瞼縁炎) 春季カタル 眼底出血 細菌性角膜炎 角膜潰瘍 角膜びらん 蜂巣炎(眼窩蜂窩織炎) 突き目(匐行性角膜潰瘍) 翼状片 圧迫性視神経症 アポロ病 外傷性視神経症 角膜ヘルペス 仮性近視 眼瞼内反症 急性出血性結膜炎 強膜炎、上強膜炎 桐沢型ぶどう膜炎 急性網膜壊死 交感性眼炎 ヘルペス性角膜炎 レーベル病 虚血性視神経症 腫瘍性視神経症 遺伝性視神経症 優性遺伝性若年性視神経委縮症 網膜動脈硬化症 高血圧性網膜症 逆さまつげ 睫毛乱生症 光視症 網膜剥離 黄斑前膜 うっ血乳頭 トラコーマ(トラホーム) 顆粒性結膜炎 視神経炎 特発性視神経炎 結膜下出血 角膜炎 結膜炎 封入体結膜炎 フリクテン性結膜炎 クラミジア結膜炎 はやり目 流行性角結膜炎 涙道狭窄、閉鎖 スティーブンス・ジョンソン症候群
nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0