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■2010年度の国民医療費37兆円 1・4兆円増加で過去最高 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は27日、2010年度の国民医療費が前年度比3・9パーセント増の1兆4135億円増えて、37兆4202億円だったと発表しました。国民1人当たりに換算すると前年度比3・5パーセント増の29万2200円となり、いずれも4年連続で過去最高を更新しました。
 高齢化が進んだことに加え、診療報酬が引き上げられたこと、医療技術の高度化を受けて治療費が膨らんでいることが主因。国民医療費の国民所得に対する割合は10・71パーセントと、2年連続で10パーセントを超えました。
 国民医療費は、病気やけがの治療などで全国の医療機関に支払われた医療費の総額で、患者の自己負担を含む、保険が適用される治療にかかった費用の総額に相当します。正常な妊娠・分娩の費用や、健康診断、予防接種の費用は含まれません。
 増加した3・9パーセントの内訳を分析すると、新しい抗がん剤の開発や治療方法の確立、高度な診断機器の普及など、医療技術の高度化が2・1パーセント分を占めました。高齢者が増えたことによる影響は1・6パーセント分で、残り0・2パーセント分は治療の値段となる診療報酬をプラスに改定した影響が出ました。
 年齢別では、65歳以上の医療費が20兆7176億円で、全体の55・4パーセントを占めました。1人当たりでも70万27000円に達し、65歳未満の16万9400円の約4倍となっています。75歳以上の医療費も全体の33・3パーセントを占めました。
 75歳以上の1人当たり医療費は、65歳未満の約5倍でした。高齢者の医療費は現役世代が支援金の形で一部を負担しており、高齢化が進めば、さらに現役の負担が増える可能性があります。
 診療の内容別では、入院が37・7パーセントで最も多く、外来や往診など入院外が35・1パーセント、薬剤費が16・4パーセントでした。
 傷病別では、高血圧症や心筋梗塞といった循環器系の疾患が5兆6601億円で最も多く、次いでがんなどの新生物が3兆4750億円、呼吸器系の疾患が2兆1140億円と続きました。
 医療費を賄う財源では保険料が48・5パーセント、税金が38・1パーセント、患者負担が12・7パーセントでした。税金は前年度から、0・6ポイント上昇しました。医療費は原則3割が患者負担ですが、70歳以上の高齢者は自己負担の割合が低く、高齢者が増えたことで税金への依存度が高まりました。 
 医療費は今後も増え続ける見通しで、厚労省は2025年度に50兆円を超えるとみています。このため価格の低い後発医薬品の利用促進や、入院日数の短縮など医療費抑制策に取り組んでいますが、目立った成果は出ていません。
 例えば、医薬品に占める後発医薬品の割合を2012年度に30パーセントにする目標を立て、直近では25パーセント程度になっています。財務省の試算では、後発医薬品のシェアが20パーセントから30パーセントになれば、年間4800億円の医療費削減につながります。ところが、2010年度の薬局で調剤した薬剤費は、5・5パーセント増の6・1兆円でした。
 薬剤費が増えているのは、病気やけがをしやすく、薬を必要とする高齢者の絶対数が増えているためで、薬の処方が多いがん患者の増加も一因。
 医療費の伸びを抑えるには、さらに後発医薬品を普及させる必要があります。アメリカ、イギリス、ドイツの後発医薬品の割合は、6~7割と高くなっています。原則として後発医薬品の処方を義務付けるなど、大胆な改革が必要になりそうです。
 入院日数の短縮も進んでいますが、2010年度の入院医療費は6・3パーセント増の14兆908億円でした。厚労省の直近の調査では、2011年の入院日数は平均16・26日で0・36日減りました。厚労省は、「1回の入院で高額な治療を受けるケースがあり、医療費の単価が上がっている」とみています。

 2012年9月29日(土)




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