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■用語 ばね指 [用語(は行)]

[手(グー)]手の指に起きる腱鞘炎の一種で、手の指を曲げ伸ばしする際にばね現象が発生
 ばね指とは、手の指に起きる腱鞘(けんしょう)炎の一種。弾発指(だんばつし)とも呼ばれます。
 手の指には、指の関節を曲げたり伸ばしたりする腱というものが備わっています。手を握ったりする強い力を発揮する筋肉は前腕にあり、その力を筋肉と骨を結び付けている腱が伝えます。腱のうち指を曲げる腱を屈筋腱といい、親指には1本あり、人差し指から小指には深指(しんし)屈筋腱と浅指(せんし)屈筋腱の2本がそれぞれあります。
 計9本の屈筋腱の外囲には、筒状に包む腱鞘という組織があります。腱鞘には、指を曲げる時に腱が浮き上がらないようにする硬い靭帯(じんたい)性腱鞘と、靱帯性腱鞘を裏打ちしている滑膜性腱鞘があり、滑液という油のようなものを分泌して、屈筋腱と靱帯性腱鞘が擦れて摩擦が生じにくいようになっています。そのほかの腱の周囲は、パラテノンという軟らかい軟部組織が覆う構造になっています。
 しかし、指の付け根の手のひら側で、機械的刺激によって力が掛かりやすい部位で、屈筋腱と靱帯性腱鞘の間で炎症が起こると腱鞘炎になります。腱の動きがスムーズでなくなり、指の付け根に痛み、はれ、熱感が生じます。朝方に症状が強く、日中は手を使っていると症状が軽減することも少なくありません。
 この腱鞘炎が進行して、指を動かす時の痛みとともに腱の動きが悪くなって、腱が厚く硬くなったり、腱鞘が厚くなると、ばね現象を現すようになります。ばね現象とは、腱鞘炎のために動きの悪くなった指が伸びたままになったり、曲がったままになって、それを無理に伸ばそうとしたり、曲げようとしたりすると抵抗があり、ばね仕掛けのようにピクンと曲がったり、伸びたりする現象です。これをばね指と呼びます。
 指の付け根に腫瘤(しゅりゅう)を触れ、圧痛があります。重症例では、安静時にも痛みがあったり、発赤などの症状があったり、指が動かない状態になることもあります。
 ばね指は手の酷使による機械的刺激で発生しますが、主に妊娠時、産後や更年期の女性に多く発生します。スポーツをする人や、指をよく使う仕事の人にも多いのも特徴です。糖尿病、リウマチ、透析患者にもよく発生します。
 小児にもばね指は発生しますが、親指以外の発生は多くありません。親指に発生するばね母指は先天性で、靭帯性腱鞘の入り口で屈筋腱がこぶのように大きくなって引き起こされると考えられています。親指の関節が曲がったままで、無理に伸ばすとばね現象がみらます。指の付け根に軟骨のような硬い腫瘤を触れますが、痛み、圧痛はありません。
[手(グー)]ばね指の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断は、指の付け根に腫瘤や圧痛があり、ばね現象があれば容易につきます。小児の場合は、握り母指症や先天性母指屈指症との区別が必要です。
 整形外科の医師による治療は、成人のばね指の場合、まず指の過度の使用を避けるよう指導します。また、湿布剤、軟こうなどの使用、非ステロイド性鎮痛消炎剤の投与を行います。時には、副木(ふくぼく)を当てて固定することもあります。
 症状が強い時には、局所麻酔薬入りステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)を発症している腱鞘に直接注射するのが有効です。3回以上の直接注射は、腱の損傷を起こすことがあるので避けます。
 以上の保存療法で効果のない時、慢性化して治りにくい時には、腱鞘を切開する手術が行われる場合があります。手術は局所麻酔を用い、腫瘤が触れる指の付け根に約1cmほどの皮膚切開を入れて、靭帯性腱鞘を縦に切りトンネルを開放し、腱の滑りをよくします。手術後はすぐに、指の曲げ伸ばしを行うことになります。
 幼児のばね母指の場合、全身麻酔を用いた手術で腱鞘切開をすることがありますが、成人になると自然に治るのが普通なので、気長に親指を伸ばしたり、曲げたりする訓練をするのも一つの方法です。
 成人のばね指を予防するには、手の酷使を避けることが一番大切です。




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