■用語 NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患) [用語(A〜Z、数字)]
アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲む人に脂肪性肝障害がみられる病態
NAFLD(Non-Alcoholic Fatty Liver Disease)とは、アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲むという人にアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害がみられる病態。 非アルコール性脂肪性肝疾患とも呼ばれます。
肝細胞に中性脂肪が沈着して、肝障害を引き起こす病態を脂肪性肝疾患といいます。そして、肝臓の組織で、脂肪滴を伴う肝細胞が30パーセント以上認められる場合を脂肪肝といいます。現在、検診受診者の20〜30パーセントは脂肪肝であり、頻度は年々増加しています。
この脂肪肝としては、以前は大量のアルコールを摂取する人に多くみられるアルコール性脂肪肝や、脂肪肝に肝炎を伴ったASH(Alcoholic Steato Hepatitis)、すなわちアルコール性脂肪性肝炎が知られていましたが、アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲むという人にも、肥満や糖尿病などの生活習慣病の表現形として、飽食と運動不足による過栄養を基盤とした内臓脂肪の蓄積によってNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)を発症することが多くなりました。
現在、成人の8パーセント程度は、NAFLDであるといわれ、国内に約1000万人の発症者がいると推定されています。
NAFLDは、肝細胞に中性脂肪が沈着するのみの単純性脂肪肝(Simple Fatty Liver)と、肝細胞に脂肪が沈着するとともに炎症を起こし、線維化が進行するNASH(Non-Alcoholic Steato Hepatitis、ナッシュ)、すなわち非アルコール性脂肪性肝炎に大別されます。
後者のNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)は、成人の1パーセント程度にみられ、国内に約100〜200万人の発症者がいると推定されています。NAFLDの重症型と考えられており、自覚症状がないまま、肝硬変に至り、肝臓がんを引き起こす可能性もあります。
単純性脂肪肝からNASHの発症に至る原因はまだはっきりとはわかっていませんが、2つのヒット理論が広く受け入れられています。肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などにより、肝細胞に中性脂肪が蓄積し、脂肪肝になるのが第1のヒット。さらに、炎症を起こす免疫物質や腸内細菌の毒にさらされたり、体内の活性酸素が増える酸化ストレスになったりする第2のヒットの刺激を受けると、NASHに進みます。
NASHは、単純性脂肪肝と同じく自覚できる症状はほとんどありません。しかし、一部の発症者では疲れ、だるさ、または右上腹部の不快感を感じることがあります。
40〜60歳の中年女性に最もしばしばみられ、その多くは肥満、2型糖尿病、または脂質異常症を示しますが、すべての年齢の男女に起こり得ます。
NAFLDそのものでは自覚症状が出ることはほとんどないので、健診でチェックされるか、ほかの疾患で血液検査をした時に肝機能異常があって、発見の契機になることがあります。中には血液検査では肝機能正常のNAFLDもあり、この場合は健診の超音波検査で指摘されることもあります。
NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の検査と診断と治療
消化器内科、消化器科、内科の医師による診断では、単純性脂肪肝の程度が進みNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)が疑われる場合、画像検査や血液検査だけでは判断が付かないため、確定診断には、針を皮膚から肝臓へと突き刺し、肝臓の組織の一部を採取する肝生検を行います。
NASHで最も多くみられる検査所見の異常は、アミノトランスフェラーゼ(アミノ基転移酵素)値の上昇。肝酵素のAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)値とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値の軽度の上昇もみられます。AST/ALT比は通常、1・0以下です。
アルコール性肝障害との鑑別が最も重要で、問診によってアルコール摂取量を把握することと、アルコール性肝障害ではAST/ALT比が1・0以上となることで鑑別します。ウイルス性肝炎B型、ウイルス性肝炎C型、自己免疫性肝炎、薬物性肝障害などとの鑑別も必要です。
消化器内科、消化器科、内科の医師による治療では、ライフスタイルの見直しを行い、低カロリーで栄養バランスのよい食事を心掛け、適度な運動を取り入れます。
肝臓に炎症や線維化がみられる場合は、そのまま放置すると悪化する恐れがあり、原因となる肥満、2型糖尿病、脂質異常症を食事療法、運動療法で改善することが重要です。
ライフスタイルを見直しても肝機能異常が治らない場合は、薬物療法が行われる場合もあります。抗酸化剤のビタミンE、ビタミンC、糖尿病治療薬のチアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、シダグリプチン、脂質異常症治療薬のフィブレート系薬剤、エゼチミブ、EPL、肝庇護(ひご)剤のウルソ、グリチルリチンなどが使用されるほか 、NASHでは過剰な鉄が肝臓に負担を掛けますので、1日の食事中の鉄を6〜7ミリグラム以下に減らします。
また、NASHから肝硬変、肝臓がんへと進むことがあるため、肝機能を検査して常に確認しておくことが大切になります。
NAFLD(Non-Alcoholic Fatty Liver Disease)とは、アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲むという人にアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害がみられる病態。 非アルコール性脂肪性肝疾患とも呼ばれます。
肝細胞に中性脂肪が沈着して、肝障害を引き起こす病態を脂肪性肝疾患といいます。そして、肝臓の組織で、脂肪滴を伴う肝細胞が30パーセント以上認められる場合を脂肪肝といいます。現在、検診受診者の20〜30パーセントは脂肪肝であり、頻度は年々増加しています。
この脂肪肝としては、以前は大量のアルコールを摂取する人に多くみられるアルコール性脂肪肝や、脂肪肝に肝炎を伴ったASH(Alcoholic Steato Hepatitis)、すなわちアルコール性脂肪性肝炎が知られていましたが、アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲むという人にも、肥満や糖尿病などの生活習慣病の表現形として、飽食と運動不足による過栄養を基盤とした内臓脂肪の蓄積によってNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)を発症することが多くなりました。
現在、成人の8パーセント程度は、NAFLDであるといわれ、国内に約1000万人の発症者がいると推定されています。
NAFLDは、肝細胞に中性脂肪が沈着するのみの単純性脂肪肝(Simple Fatty Liver)と、肝細胞に脂肪が沈着するとともに炎症を起こし、線維化が進行するNASH(Non-Alcoholic Steato Hepatitis、ナッシュ)、すなわち非アルコール性脂肪性肝炎に大別されます。
後者のNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)は、成人の1パーセント程度にみられ、国内に約100〜200万人の発症者がいると推定されています。NAFLDの重症型と考えられており、自覚症状がないまま、肝硬変に至り、肝臓がんを引き起こす可能性もあります。
単純性脂肪肝からNASHの発症に至る原因はまだはっきりとはわかっていませんが、2つのヒット理論が広く受け入れられています。肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などにより、肝細胞に中性脂肪が蓄積し、脂肪肝になるのが第1のヒット。さらに、炎症を起こす免疫物質や腸内細菌の毒にさらされたり、体内の活性酸素が増える酸化ストレスになったりする第2のヒットの刺激を受けると、NASHに進みます。
NASHは、単純性脂肪肝と同じく自覚できる症状はほとんどありません。しかし、一部の発症者では疲れ、だるさ、または右上腹部の不快感を感じることがあります。
40〜60歳の中年女性に最もしばしばみられ、その多くは肥満、2型糖尿病、または脂質異常症を示しますが、すべての年齢の男女に起こり得ます。
NAFLDそのものでは自覚症状が出ることはほとんどないので、健診でチェックされるか、ほかの疾患で血液検査をした時に肝機能異常があって、発見の契機になることがあります。中には血液検査では肝機能正常のNAFLDもあり、この場合は健診の超音波検査で指摘されることもあります。
NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の検査と診断と治療
消化器内科、消化器科、内科の医師による診断では、単純性脂肪肝の程度が進みNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)が疑われる場合、画像検査や血液検査だけでは判断が付かないため、確定診断には、針を皮膚から肝臓へと突き刺し、肝臓の組織の一部を採取する肝生検を行います。
NASHで最も多くみられる検査所見の異常は、アミノトランスフェラーゼ(アミノ基転移酵素)値の上昇。肝酵素のAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)値とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値の軽度の上昇もみられます。AST/ALT比は通常、1・0以下です。
アルコール性肝障害との鑑別が最も重要で、問診によってアルコール摂取量を把握することと、アルコール性肝障害ではAST/ALT比が1・0以上となることで鑑別します。ウイルス性肝炎B型、ウイルス性肝炎C型、自己免疫性肝炎、薬物性肝障害などとの鑑別も必要です。
消化器内科、消化器科、内科の医師による治療では、ライフスタイルの見直しを行い、低カロリーで栄養バランスのよい食事を心掛け、適度な運動を取り入れます。
肝臓に炎症や線維化がみられる場合は、そのまま放置すると悪化する恐れがあり、原因となる肥満、2型糖尿病、脂質異常症を食事療法、運動療法で改善することが重要です。
ライフスタイルを見直しても肝機能異常が治らない場合は、薬物療法が行われる場合もあります。抗酸化剤のビタミンE、ビタミンC、糖尿病治療薬のチアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、シダグリプチン、脂質異常症治療薬のフィブレート系薬剤、エゼチミブ、EPL、肝庇護(ひご)剤のウルソ、グリチルリチンなどが使用されるほか 、NASHでは過剰な鉄が肝臓に負担を掛けますので、1日の食事中の鉄を6〜7ミリグラム以下に減らします。
また、NASHから肝硬変、肝臓がんへと進むことがあるため、肝機能を検査して常に確認しておくことが大切になります。
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