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■マダニが媒介する感染症、元患者が初証言 山口県の60歳代女性 [健康ダイジェスト]

 マダニが媒介するウイルスによる感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」にかかり、一時は意識不明の重体となった山口県内の女性が元患者として初めて、マスコミの取材に応じました。
 女性は「病院に運ばれた前後2週間ほどの記憶がない。自宅周辺の草取りをしていてマダニにかまれたと思うが、かまれた自覚はなく怖い」と、気付かないうちに感染した怖さなどについて話しています。
 マダニが媒介するSFTSは、今年1月に国内で初めて感染患者が報告され、厚生労働省が逆上って調査した結果、2005年からこれまでに、九州、中国、四国の10県で21人の感染が確認され、このうち9人が死亡しています。
 今年4月山口県岩国市の病院に入院し、このSFTSと診断された同県内に住む60歳代の女性は、症状について「体のだるさと39度を超える高熱が1週間ほど続いた。携帯電話に出ないことを心配した夫から連絡を受けた近所の人が、自宅のソファーで倒れているのを見付けてくれ、救急車で病院に運ばれたが、その前後、2週間ほどの記憶がない」と説明しました。
 入院直後、担当の医師は原因がわからなかったものの、入院3日目に女性の容体は急変し、意識不明になったため、医師が体を調べたところ、右腕に3ミリほどのマダニが食い込んでいるのを見付けたということです。
 女性の容体はその後も悪化し、唇から出血したり、心不全を起こしたりしたため、集中治療室で治療を受け、一命を取りとめました。
 女性はマダニが媒介する感染症にかかったことについて、「感染症のことは知っていたが、こんなふうに自分がなるとは思っておらず、後からゾッとした。半ズボンをはいて自宅周辺の草取りをした際、服についたマダニにかまれたと思う。毛虫や蜂に刺されればわかるが、マダニにかまれた自覚はなく、だからこそ怖い」と話しています。
 SFTSウイルスに感染すると、発熱やせき、嘔吐や下痢など風邪のような症状が現れ、重症の場合は、血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、腎臓の機能が低下したりして死亡することもあります。感染してから発症するまでの潜伏期は6日から2週間とされ、血液などを介して人から人に感染することもあるとみられています。
 今のところ有効なワクチンや薬はなく、対症療法が中心になります。
 SFTSを媒介するマダニは体長三~四ミリで、衣類や寝具など家庭内に生息するイエダニとは別種類。アジアやオセアニアに分布し、国内でも青森県以南の山野に生息しています。
 感染予防のポイントは、レジャーや作業などで、草むらややぶなどマダニが多く生息する場所に入る時は、肌をできるだけ出さないように、長袖、長ズボン、手袋、足を完全に覆う靴などを着用することです。また、肌が出る部分には、人用の防虫スプレーを噴霧し、地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりしないように、敷物を敷きます。帰宅後は衣類を家の外で脱ぎ、すぐに入浴し体をよく洗って、新しい服に着替えます。
 マダニにかまれた時は、つぶしたり無理に引き抜こうとせず、できるだけ病院で処理してもらうことです。マダニにかまれることでかかる感染症には、SFTSのほかにも、日本紅斑熱やつつが虫病などがありますので、山野などに出掛けた後、発熱などの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診することが必要です。
 厚生労働省は研究班を設置して、今後3年をかけてSFTSの実態解明を進める方針で、研究班では、各地でマダニを採取してウイルスの分布を調べているほか、予防策や治療方法の開発を進めています。

 2013年6月8日(土)




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