SSブログ

■子宮頸がんワクチン、積極勧奨の中止で波紋広がる [健康ダイジェスト]

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に長期的な痛みやしびれを訴えるケースが相次いでいることから、厚生労働省が積極的に接種を呼び掛けるのを一時、中止することを決めたことを受けて、医療機関には保護者が相談に訪れ接種を取りやめるなど波紋が広がっています。
 子宮頸がんワクチンは、今年4月に法律に基づく定期接種に追加され、小学6年生から高校1年生までの女子を対象にほとんどの自治体で無料で接種が行われています。
 しかし、14日に開かれた厚生労働省の専門家会議で、接種後に体中の痛みやしびれを訴えるケースが相次いでいることが報告され、「接種との因果関係も否定できない」などとして自治体が対象者に積極的に接種を呼び掛けるのを一時、中止することになりました。
 これを受けて、東京都府中市にある診療所では、今週、ワクチンの接種を受ける予定だった中学2年生の母親が相談に訪れました。この中で、医師は「接種した後、全身の痛みが続くケースが報告されていて、安心して受けてもらうためにもその頻度などが明らかになるまでは、接種を待ってはどうか」と説明し、母親は接種を見送ることを決めました。
 母親は「国の対応はわかりづらく、親としては受けさせていいか迷う。ワクチンでがんを予防できるなら受けさせたいが、短期間、接種を控えても病気のリスクが高まるわけではないということなので、しばらく控えたい」と話していました。
 診療所の日野佳昭医師は、「予防接種を中止するという指示ではないので、保護者に納得してもらうのは難しい。安心して接種を受けてもらうことが大事なので、しばらく待つよう説明していて、実態としては接種中止ということだ。検証を進めてなるべく早く再開してもらいたい」と話していました。
 ワクチン接種を担当している厚生労働省結核感染症課の正林督章課長は、積極的な呼び掛けを中止した理由について、「ワクチンに重大な危険性があるというわけではなく、接種するかどうか国民が判断する時にリスクについてのデータが不十分なためだ。厚労省としてもできるだけ早く、痛みを伴う副反応がどれくらいの頻度で起こるのかなどの国内外のデータを集めて専門家による評価を行って公表するつもりだ。それまでの間、どうしても不安がある場合は、一時的に接種を待つことも選択肢に判断してもらいたい」と話しています。
 また、ワクチンの接種後、痛みを訴えるケースが相次いだことについては、「子宮頸がんワクチンは3年前に基金を作って費用の一部を助成し、接種を続けてきた。その間、定期的に専門家に評価してもらっていたが、4月に定期接種になるまでは大きな懸念はなく、痛みの副反応が問題になったのは定期接種になるころからだ」と説明しました。
 子宮頸がんの予防を呼び掛けるグループの代表の野田起一郎近畿大学前学長は、今回のワクチンは、欧米など海外で高い安全性と効果が認められたものだとした上で、「予防接種を差し控える人が増え、子宮頸がんの予防が進まなくなるのではないか懸念している。医療現場や接種を受ける側が、今後、混乱しないよう、副反応が予防接種によるものなのか、厳密に調査し、できるだけ早く公表してほしい」と話しています。
 子宮頸がんは、子宮の出口に当たる頸部に発生するがん。ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因で、日本では年間約1万5000人が発症し、約3500人が亡くなっています。性交渉を経験する前の11~14歳を中心とした女性へのワクチン接種で予防が期待できますが、ワクチンは半年の間に3回接種する必要があります。

 2013年6月17日(月)




nice!(14)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 14

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0