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■カネボウ化粧品、白斑問題10カ月放置 美白成分の原料物質でも白斑症状 [健康ダイジェスト]

 カネボウ化粧品は11日、美白化粧品で肌がまだらに白くなる白斑(はくはん)被害が起きたとみられる問題で、同社が委託した外部弁護士による調査報告書を公表しました。
 報告書では、苦情相談の担当者らが「白斑は病気で化粧品とは関係ない」と思い込んで、顧客からの苦情を真剣に取り上げなかったことが最大の原因と指摘。この責任を取り、カネボウは同日、夏坂真澄社長ら経営幹部10人が役員報酬を最大5割返上すると発表しましたが、社長自身の引責辞任については否定しました。
 報告書は、カネボウの一連の対応について「まず製品ありきで消費者が後回しになっていた。意図的隠蔽があったとまで評価できないが、都合の悪いことは無視しようという態度が表れていると評価されてもやむを得ない」と厳しく批判。報告書をまとめた中込秀樹弁護士は同日、東京都内で記者会見し、「固定観念と事なかれ主義で(問題が)放置されてきた」と述べました。
 カネボウによると、2011年10月に美白化粧品の購入者から「顔に白抜けの状態が出た」との最初の被害情報が寄せられ、2012年2月には、同社の販売員3人にも白斑の症状が出て、本社に問い合わせがあったものの、カネボウ側は医師に相談するなど適切な対応をとりませんでした。
 その後も被害情報が相次ぎながら、苦情相談や販売現場の担当者は「病気」「判定不能」などと判断。2013年5月に岡山県内の大学病院の医師から「化粧品が原因の可能性がある」と指摘され、夏坂社長に報告されるまで、化粧品自体に問題はないと認識していました。
 今回の報告書は、会社の説明を大筋で認めた上で、2012年9月にも大阪府内の大学病院の医師から「化粧品が引き金となった可能性がある」との診断が出ていたことなどから、「この時点において、対策を取るべき義務が発生していた」と、対応の遅れを批判しました。
 同社が2013年5月に問題を把握してから、7月4日の商品回収発表まで約2カ月かかった点も、「遅きに過ぎた」としました。
 この問題では9月1日時点で、9959人に白斑の症状が確認され、被害者数はさらに増える見込み。
 被害が出ているのは同社が開発した美白成分「ロドデノール」を含む化粧品。「化粧水」「乳液」「ナイトクリーム」「顔に貼るマスク」「日焼け止め」の5種類をシリーズ商品として製造、販売し、併用すればより効果が得られると推奨していて、被害が確認された人の中にも、3種類以上を購入して使っていた人が多数いました。
 なぜ製造、販売を国に認められたのでしょう。医薬部外品の審査は医薬品と同様、動物実験や人での臨床試験で安全性などを調べ、国が承認します。
 カネボウは2006年にロドデノールを申請し、厚生労働省は1年半後に承認しました。白斑については、通常の2倍濃度で手の甲に6カ月間塗る試験をした結果、確認されなかったとされます。今回の報告書では「検査も適正に行われ、承認申請に問題がなかったと判断される」と、開発段階の手続きの妥当性を認めました。
 しかしながら、ロドデノール開発の切っ掛けになった物質が過去に白斑被害を起こし、カネボウも把握していたことが明らかになりました。物質は食品の香料などに使われるラズベリーケトン(キイチゴの香り成分)で、これに水素を結合させるとロドデノールになります。
 山口大学の福田吉治教授(地域医療・公衆衛生学)が、国内の化学薬品メーカーでラズベリーケトンの製造作業をしていた男性従業員3人に1992年ごろ、白斑の症例があったことを1998年の論文で報告。
 カネボウも申請時にこの福田教授の論文を引用したものの、申請書には添付されず、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査や厚生労働省の薬事・食品衛生審議会では参照されることはありませんでした。
 福田教授は別の論文で、色素細胞そのものを破壊してしまう白斑発症のメカニズムも指摘していました。今回のロドデノールでも同様の作用を疑う見方があり、福田教授は「論文がきちんと読まれていれば、開発や承認段階でより突っ込んで検討できたのでは」と話しています。
 一方、厚労省は「審査は、申請のあったロドデノールについてさまざまな試験をして総合的にリスク評価しており、問題はなかった」としています。

 2013年9月12日(木)




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