■用語 ミクリッツ病 [用語(み)]
耳下腺などの唾液腺と涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患
ミクリッツ病とは、両側または片側の唾液腺(だえきせん)と涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患。自己免疫疾患であるIgG4関連疾患の一種と見なされます。
唾液腺の耳下(じか)腺にはれが好発し、時に唾液腺の顎下(がくか)腺、舌下(ぜっか)腺、涙腺にもはれが発生し、まれには複数の腺に同時にはれが発生することがあります。
はれが増すにつれ、唾液が出にくくなり、口やのどの渇きなどが発生して耳下腺炎を起こし、涙が出にくくなって結膜炎を起こし、視力障害が出ることがあります。口内や目の乾燥感は強くありませんが、顔全体が熱っぽい感じになり、不快になります。
唾液腺や涙腺にリンパ球が浸潤することで、慢性の炎症に類似した症状が現れます。リンパ球の浸潤の原因は、不明です。性別では、男女で症状の現れ方や、症状の現れる頻度に差はありません。
従来、このミクリッツ病は、目と口が乾燥する自己免疫疾患であるシェーグレン症候群の亜型または同一の病態として認識されてきました。しかし、21世紀に入り、ミクリッツ病を発症すると、血中に免疫蛋白(たんぱく)IgG4が多くなり、唾液腺、リンパ節、膵臓(すいぞう)や胆管などにIgG4を分泌する細胞が多数集まっていることがわかったことから、IgG4関連疾患の一種と考えられるようになりました。
Ig(免疫グロブリン)のG型は4つありますが、このうちIgG4はIgG全体の2パーセント程度しかなく、機能もよくわかっていません。
ミクリッツ病として症状が表に現れた場合、IgG4関連疾患をしばしば合併し、時間経過を経て、膵臓、腎臓(じんぞう)、肺臓、後腹膜など全身のさまざまな臓器にこぶやはれが見付かることも多くなります。
IgG4関連疾患は、全身性の慢性炎症性疾患であり、ミクリッツ病や自己免疫性膵炎、自己免疫性下垂体炎、リーデル甲状腺炎、間質性肺炎、間質性腎炎(じんえん)、後腹膜線維症などがあり、悪性腫瘍(しゅよう)が潜在していることもあります。
長い期間、耳の前や顎(あご)の下がはれているようであればミクリッツ病の可能性もあり、耳鼻咽喉(いんこう)科か歯科口腔(こうくう)外科、上まぶたがはれているのであれば眼科を受診することが勧められます。
ミクリッツ病の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)検査や超音波検査を始めとするさまざまな検査で、腫脹(しゅちょう)がある部位と全身的な広がりを確認します。
悪性リンパ腫を始めとする悪性腫瘍、白血病などの除外を慎重に行い、IgG4関連疾患の合併を念頭に置き、確定診断には、血液検査と、腫脹した組織の一部を切り取って顕微鏡検査を行う細胞診を行います。
従来、シェーグレン症候群と診断されていた中に、ミクリッツ病がみられる場合もあります。シェーグレン症候群とは異なり、血液検査で高IgG4血症を認め、唾液腺と涙腺組織の細胞診で明らかなIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めます。
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による治療では、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)による薬物治療を行います。ステロイド剤に対する治療反応性は良好で、唾液腺と涙腺機能の回復がみられます。しかし、ステロイド剤を減量すると再燃することが多くみられます。
複数の臓器障害を伴う場合は、ステロイド剤を増量します。
ミクリッツ病から悪性リンパ腫を始めとする悪性腫瘍に変化する可能性があるので、厳重な経過観察と定期的な検査が必要です。
ミクリッツ病とは、両側または片側の唾液腺(だえきせん)と涙腺に、慢性の痛みのないはれができる疾患。自己免疫疾患であるIgG4関連疾患の一種と見なされます。
唾液腺の耳下(じか)腺にはれが好発し、時に唾液腺の顎下(がくか)腺、舌下(ぜっか)腺、涙腺にもはれが発生し、まれには複数の腺に同時にはれが発生することがあります。
はれが増すにつれ、唾液が出にくくなり、口やのどの渇きなどが発生して耳下腺炎を起こし、涙が出にくくなって結膜炎を起こし、視力障害が出ることがあります。口内や目の乾燥感は強くありませんが、顔全体が熱っぽい感じになり、不快になります。
唾液腺や涙腺にリンパ球が浸潤することで、慢性の炎症に類似した症状が現れます。リンパ球の浸潤の原因は、不明です。性別では、男女で症状の現れ方や、症状の現れる頻度に差はありません。
従来、このミクリッツ病は、目と口が乾燥する自己免疫疾患であるシェーグレン症候群の亜型または同一の病態として認識されてきました。しかし、21世紀に入り、ミクリッツ病を発症すると、血中に免疫蛋白(たんぱく)IgG4が多くなり、唾液腺、リンパ節、膵臓(すいぞう)や胆管などにIgG4を分泌する細胞が多数集まっていることがわかったことから、IgG4関連疾患の一種と考えられるようになりました。
Ig(免疫グロブリン)のG型は4つありますが、このうちIgG4はIgG全体の2パーセント程度しかなく、機能もよくわかっていません。
ミクリッツ病として症状が表に現れた場合、IgG4関連疾患をしばしば合併し、時間経過を経て、膵臓、腎臓(じんぞう)、肺臓、後腹膜など全身のさまざまな臓器にこぶやはれが見付かることも多くなります。
IgG4関連疾患は、全身性の慢性炎症性疾患であり、ミクリッツ病や自己免疫性膵炎、自己免疫性下垂体炎、リーデル甲状腺炎、間質性肺炎、間質性腎炎(じんえん)、後腹膜線維症などがあり、悪性腫瘍(しゅよう)が潜在していることもあります。
長い期間、耳の前や顎(あご)の下がはれているようであればミクリッツ病の可能性もあり、耳鼻咽喉(いんこう)科か歯科口腔(こうくう)外科、上まぶたがはれているのであれば眼科を受診することが勧められます。
ミクリッツ病の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)検査や超音波検査を始めとするさまざまな検査で、腫脹(しゅちょう)がある部位と全身的な広がりを確認します。
悪性リンパ腫を始めとする悪性腫瘍、白血病などの除外を慎重に行い、IgG4関連疾患の合併を念頭に置き、確定診断には、血液検査と、腫脹した組織の一部を切り取って顕微鏡検査を行う細胞診を行います。
従来、シェーグレン症候群と診断されていた中に、ミクリッツ病がみられる場合もあります。シェーグレン症候群とは異なり、血液検査で高IgG4血症を認め、唾液腺と涙腺組織の細胞診で明らかなIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めます。
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科の医師による治療では、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)による薬物治療を行います。ステロイド剤に対する治療反応性は良好で、唾液腺と涙腺機能の回復がみられます。しかし、ステロイド剤を減量すると再燃することが多くみられます。
複数の臓器障害を伴う場合は、ステロイド剤を増量します。
ミクリッツ病から悪性リンパ腫を始めとする悪性腫瘍に変化する可能性があるので、厳重な経過観察と定期的な検査が必要です。
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