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■用語 柑皮症 [用語(か)]

[手(パー)]柑橘類などに多く含まれるカロチンの過剰摂取により、皮膚が黄色くなる状態
 柑皮(かんぴ)症とは、血中のカロチン(カロテン)濃度が高くなり、手のひらや足の裏などが黄色くなる状態。
 ミカンなどの柑橘(かんきつ)類、ニンジン、トマト、ホウレンソウ、カボチャ、オクラ、ブロッコリー、シソの葉、アンズ、パセリ、マンゴー、とうもろこし、スイカ、うに、焼きのりなど、カロチンを多く含む食品を大量摂取した時に、血中のカロチン濃度が高くなり、その黄色色素が皮膚に沈着して黄色くなります。
 昔はミカンをたくさん食べる冬季に多くみられましたが、近年は健康ブームでさまざまな野菜ジュースやサプリメントが発売されており、柑皮症も季節を問わずみられるようになりました。ビタミンAの前駆物質であるカロチンは体内でビタミンAに変化し、夜盲症や皮膚乾燥症、動脈硬化を防ぐこともわかっているものの、過剰に摂取すると柑皮症になることもあります。
 カロチンは皮膚の角質層や表皮、皮下脂肪組織に沈着しやすいため、厚い角質層のある手のひら、足の裏が特に黄色くなり、手指、顔の鼻翼なども黄色くなることがあります。全身が黄色くなるのはまれながら、症状が強いと全身の色合いが黄色くなります。かゆみなどの自覚的な不快感も、体への特別の害もありません。
 柑皮症は、子供やダイエットに取り組む人、菜食主義者に多くみられます。ほかに、カロチンは脂溶性で脂に溶けやすい性質があるので、高脂血症があると血中のカロチン濃度が上昇しやすくなり、柑皮症を生じることもあります。カロチンからビタミンAへの転換が肝臓でうまく行われない場合も、血中のカロチン濃度が上昇して、柑皮症を生じることもあります。
 皮膚が黄色くなる点で、肝臓から出る消化液である胆汁が血液に入る黄疸(おうだん)と、柑皮症は共通しています。しかし、黄疸でみられる眼球結膜、いわゆる白目の部分が黄色くなることは柑皮症ではなく、正常色を保っているので、区別することができます。
 柑皮症を生じた際は、カロチンを多く含む食品の摂取を中止、あるいは減量することが大切です。多くの場合は、摂取を減量するだけで自然によくなります。
 通常は医師の診察を受ける必要はありませんが、黄疸で皮膚が黄色くなる際は肝機能障害が疑われるので、注意が必要です。高脂血症の人は柑皮症になりやすいといえますので、柑皮症を疑われた時は、高脂血症のチェックや黄疸との鑑別を兼ねて、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科で採血検査を受けることが勧められます。
[手(パー)]柑皮症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、柑皮症に関しては特別な検査は必要ありません。高脂血症が疑われた場合は、12時間以上食事をとらずに採血し、血中の総コレステロール、悪玉コレステロール(LDL)、中性脂肪、善玉コレステロール(HDL)を測定し、それぞれの血清脂質の値によって病状の判断を行います。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、柑皮症に関しては特別な治療を行わなくても、カロチンの摂取量を減らせば、数カ月で徐々に皮膚の色合いは正常に戻ってきます。
 内分泌異常や代謝異常によって二次的に生じた柑皮症に関しては、原因となる疾患の治療を優先します。原疾患が治まれば、柑皮症も軽快します。
 予防のために気を付けたいことは、栄養バランスのとれた食事を心掛けることです。近年はメタボリック・シンドロームが注目され、ダイエットに取り組む人も多くなっていますが、低カロリーで、カロチンを多く含む緑黄色野菜ばかりを偏食し、過剰に摂取すると、柑皮症になることもあります。




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