■用語 神経血管圧迫症候群 [用語(さ行)]
血管が脳神経を圧迫することにより症状が出る疾患群
神経血管圧迫症候群とは、血管が脳神経を圧迫することにより症状が出る疾患群。
神経血管圧迫症候群には、三叉(さんさ)神経痛、顔面けいれん、舌咽(ぜついん)神経痛などがあります。
三叉神経痛は、顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こる神経痛
三叉神経痛は、顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こる神経痛。
一般には顔面神経痛とも呼ばれますが、正式な呼称ではありません。顔面神経は顔面にある筋肉を動かす運動神経であり、三叉神経が痛さ熱さなどを感じる知覚神経であるため、厳密には、顔面神経痛という疾患は存在しないのが実態です。
三叉神経痛は、中年以後から認められ始め、女性にやや多い傾向があります。
脳から出て顔の左右に広がるのが知覚神経である三叉神経で、顔面の感覚を脳に伝えるほか、物をかむ際に使う筋肉をコントロールしています。名前のとおり、三本の枝に分かれていて、第一枝の眼神経は前頭部から目、第二枝の上顎(じょうがく)神経は頬(ほお)から上顎(あご)、第三枝の下顎(かがく)神経は下顎にかけて分布しています。
この分布に沿って、ズキンとする激しい痛みが、あくび、会話、歯磨き、咀嚼(そしゃく)、洗面などの刺激で起こり、時には冷たい風に当たるだけで起こります。
普通は頬と顎に痛みがよく起こり、顔の片側全部に痛みが及ぶケースもあります。一回の痛みは数秒から数分と瞬間的ながら、痛みの発作が短い時は数時間、長い場合には数週から数カ月も繰り返し起こるのが特徴。痛みの発作のない間欠期には、神経症状は全くみられず無症状です。
原因がよくわからず、特発性三叉神経痛といわれるものが大部分ですが、近年の研究においては、動脈硬化などで蛇行した血管が三叉神経を圧迫して、痛みを誘発していると考えられています。
また、症候性三叉神経痛といわれるものもあり、こちらは頭部の腫瘍(しゅよう)や動脈瘤(りゅう)、三叉神経の近くにある歯や耳、目、鼻などの疾患、多発性硬化症や帯状疱疹(たいじょうほうしん)などによって引き起こされますが、強い発作性の痛みはないのが特徴です。
三叉神経痛による悩み、不安を感じている場合、神経内科、脳外科、麻酔科(ペインクリニック)を受診することが勧められます。
顔面けいれんは、自分の意思とは関係なく、まぶたや口角などの顔面の筋肉がけいれんする疾患
顔面けいれんは、まぶたや口角などの顔面の筋肉がピクピクとけいれんする疾患。
ほとんどの場合は片側の顔面だけにみられ、まれに両側の顔面にみられることがあります。どの年齢層でも発症しますが、比較的女性に多く、40歳代から50歳代に多く発症します。
人前での緊張、ストレス、疲れ、強い閉眼などの顔面筋(表情筋)の運動などで誘発されやすくなります。
典型的な顔面けいれんは、自分の意思とは関係なく、目の周囲がピクピクとけいれんする症状から始まります。徐々に、けいれんは口元にまで広がり、さらに進行すると、頬、額、耳、顎、首筋にまで広がることがあります。まれに、口元がけいれんする症状から始まり、徐々に、顔全体にけいれんが広がることもあります。
初めは人前で緊張した時など時々だけけいれんが起こり、あまり気にならない程度でも、けいれんしている時間が長くなっていき、持続的にけいれんが起こることもあります。
重症になると、目の周囲や口元のけいれんが同時に起こり、一日中、時には寝ていても起こるようになることもあります。長期間、けいれんが続いていると、けいれんのない時には顔面まひがみられ、顔がゆがむこともあります。
例えば、営業職や会社の受付をしている人などにとっては、顔面がピクピクとけいれんしていると、まともに相手と目を合わせて話すことができず、仕事に支障を来すことになります。
顔面けいれんが起こる主な原因は、顔面にある筋肉を動かす運動神経である顔面神経が、脳幹という脳の中心の部分から出てきている部分で、頭蓋(ずがい)内の動脈または静脈が接触して顔面神経を圧迫していることです。血管の拍動とともに顔面神経が刺激されることで、顔面の筋肉が不随意に収縮して、顔面のけいれんを起こしているのです。
そのため、高血圧や糖尿病、喫煙などで動脈硬化になりやすい人は、顔面けいれんが起こりやすくなります。
そのほかにも、顔面神経の周囲に腫瘍があり、腫瘍が顔面神経を圧迫することにより刺激が伝わり、顔面のけいれんを起こしていることもあります。また、明らかな原因が見付からない場合に、顔面けいれんが起こることもあり得ます。
顔面けいれんは明らかな症状でわかりやすいので、顔が無意識に収縮するような症状がある場合は、神経内科、脳神経外科を受診することが勧められます。治療可能だと知らないで、誰にも相談できずに一人で悩み、様子をみてしまっているケースも見受けられます。
舌咽神経痛は、喉の奥や舌の後ろに激痛発作が繰り返し起こる疾患
舌咽神経痛は、喉(のど)、扁桃(へんとう)、舌に通っている舌咽神経(第9脳神経)の機能不全により、扁桃に近い喉の奥や舌の後ろに発作的な激しい痛みが繰り返し起こる疾患。
顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こる三叉神経痛(顔面神経痛)に比べてまれな疾患であり、通常は40歳を過ぎてから発症し、男性に多く起こります。
舌咽神経痛の症状は、三叉神経痛と同様に、発作の時間は短く間欠的ですが、耐えがたい痛みが起こります。舌咽神経が知覚神経、運動神経のほかに舌の後方の3分の1の味覚を支配しているという特性上、飲食物をかむ、飲み込む、せき、くしゃみ、会話などの特定の動作が切っ掛けになって、発作が誘発されることが多くみられます。
痛みは、喉の奥や舌の後ろから始まって、耳にまで広がることがあります。数秒から数分間、痛みが続き、通常は喉と舌の片側だけに起きて、耳へ放散されます。耳に痛みが起こるのは、外耳や中耳にも舌咽神経の枝が分布しているためで、これを投射性耳痛ともいいます。
三叉神経痛を合併すると、顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こります。迷走神経症状を合併すると、脈拍の低下を引き起こす結果、めまい、ふらつき、失神を起こすこともあります。
舌咽神経痛の原因はあまり特定されていないのが実際ですが、特定された中で多いのは血管による舌咽神経の圧迫です。舌咽神経が分布している部位の血管がもろくなったり、はれたりすることで隣にある舌咽神経を圧迫し、圧迫を受けた神経が激痛発作を起こしたり、慢性的な違和感を起こしたりします。血管のはれを起こす要因としては、顎関節症や歯性病巣感染などが考えられます。
舌咽神経が分布している部位に顎骨腫瘍などの腫瘍などができた場合も、激痛発作を起こします。頭蓋骨や頸椎(けいつい)、筋肉に問題がある場合も、激痛発作を起こすことがあります。
例えば、舌咽神経が分布している先の一つに、頭蓋骨の頸静脈孔と呼ばれる関節の透き間があり、その透き間がかみ合わせや外傷によってずれることが要因となって、舌咽神経が圧迫されて激痛発作が起こることもあります。
また、舌咽神経痛には脳梗塞(こうそく)、脳腫瘍、脳動脈瘤、脳血管疾患が潜んでいることもあります。
舌咽神経痛の症状に気付いたら、神経内科、内科、脳神経外科を受診し、神経痛の原因になっている炎症や腫瘍、血管の異常、感染の有無などをよく調べることが必要です。
神経血管圧迫症候群の検査と診断と治療
三叉神経痛の検査と診断と治療
神経内科、脳外科、麻酔科(ペインクリニック)の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)検査を行って三叉神経のそばに血管を確認できれば、通常、その血管が神経を圧迫していると判断します。
神経内科、脳外科、麻酔科の医師による治療では、薬物療法、神経ブロック、手術、ガンマナイフなどを行います。
薬物療法においては、痛みの発作を予防する働きを持っている抗てんかん剤(抗けいれん剤)のテグレトールと呼ばれる薬の内服が有効です。痛みがきれいになくなるという大変有効な薬ですが、注意が必要な面もあります。量が多いとふらつきなどの副作用が出たり、まれに白血球が減る副作用も確認されています。
薬物療法を行っても、期待される効果がみられない場合、神経ブロックを行うこともあります。痛みのある部分に麻酔薬を注射したり、電気凝固して痛みを緩和する方法ですが、原因を治しているわけではないので、根本治療ではありません。仮に症状が軽くなっても、完全に治るわけではないのです。
根本から治すには、手術療法を行います。手術では、三叉神経を直接圧迫している血管を見付け出し、三叉神経と血管の間に筋肉片あるいは綿などを入れて、神経に対する圧迫を除きます。
ガンマナイフは、三叉神経根の部分に放射線を集中照射することで、痛みを緩和するものです。しかし、2013年時点で、保険適応外治療となるので、実費の負担が必要です。
日常生活では、体の過労と精神的ストレスを避けて、規則正しい生活をすることが大切。痛みが始まったら、部屋をやや暗くして刺激を避けるようにします。
顔面けいれんの検査と診断と治療
神経内科、脳神経外科の医師による診断では、顔面けいれん症状と特徴的なけいれんを視診することによって、ほとんどの場合は容易に確定できます。
けいれんの原因を突き止めるためにMRI(磁気共鳴画像)検査やCT(コンピューター断層撮影)検査などの画像診断や、神経伝導検査、筋電図などの検査を行うこともあります。
脳の血管が脳幹の部分で顔面神経を圧迫していることを最もはっきり確認できるのは、血管造影と呼ばれる検査で、血管にカテーテルを入れて造影剤を流し、血管の走行を調べます。しかし、血管造影は脳梗塞などの危険を伴うことがあるので、MRI検査と同時に、体に負担をかけずに血管の走行がわかるMRA(磁気共鳴血管撮影)検査という画像診断で診断することもあります。
神経内科、脳神経外科の医師による治療では、抗コリン剤、抗てんかん剤(抗けいれん剤)のテグレトールなどを内服で使用します。効果は比較的弱く、短期間で再発することがあります。
ボツリヌス毒素(ボトックス)をけいれんする筋肉に局所注射し、筋肉を弱めるボツリヌス療法を行うこともあります。ボツリヌス毒素は細菌兵器として使われることが危ぶまれているボツリヌス菌からの毒素と同じものですが、治療に使われる量は致死量よりはるかに少量なので、命にかかわることはありません。ボツリヌス療法は外来でできますが、効果は約3カ月なので繰り返し注射する必要があります。
脳の血管が脳幹の部分で顔面神経を圧迫している場合には、手術が根本的な治療法になります。圧迫している血管と、圧迫を受けている顔面神経の間に、ウレタン樹脂などのクッションを設けて、再び血管が顔面神経を圧迫しないように固定します。
舌咽神経痛の検査と診断と治療
神経内科、内科、脳神経外科の医師による診断では、舌咽神経に炎症や圧迫などがみられるかどうかを調べるため、CT(コンピューター断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査など画像検査を行います。舌咽神経の電気的診断のため、筋電図検査も行います。
神経内科、内科、脳神経外科の医師による治療では、発作を予防する働きを持っている抗てんかん剤(抗けいれん剤)のテグレトールの服用や、舌咽神経へのアルコール注射による神経ブロックが有効です。時には、舌咽神経の切断を行わないと、痛みが消えないこともあります。
血管が原因の場合は、圧迫している動脈を移動させ舌咽神経に当たらないようにします。舌咽神経を圧迫している腫瘍が見付かった場合には、直ちに腫瘍に対する処置治療を行います。
頭蓋内血管の圧迫が主要因と考えられる場合には、その圧迫部分を排除して神経を開放する脳外科手術も行われます。頭蓋骨の頸静脈孔のずれが要因と考えられる場合には、頭蓋骨の処置治療を行って調整すると、痛みが引くことがあります。
神経血管圧迫症候群とは、血管が脳神経を圧迫することにより症状が出る疾患群。
神経血管圧迫症候群には、三叉(さんさ)神経痛、顔面けいれん、舌咽(ぜついん)神経痛などがあります。
三叉神経痛は、顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こる神経痛
三叉神経痛は、顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こる神経痛。
一般には顔面神経痛とも呼ばれますが、正式な呼称ではありません。顔面神経は顔面にある筋肉を動かす運動神経であり、三叉神経が痛さ熱さなどを感じる知覚神経であるため、厳密には、顔面神経痛という疾患は存在しないのが実態です。
三叉神経痛は、中年以後から認められ始め、女性にやや多い傾向があります。
脳から出て顔の左右に広がるのが知覚神経である三叉神経で、顔面の感覚を脳に伝えるほか、物をかむ際に使う筋肉をコントロールしています。名前のとおり、三本の枝に分かれていて、第一枝の眼神経は前頭部から目、第二枝の上顎(じょうがく)神経は頬(ほお)から上顎(あご)、第三枝の下顎(かがく)神経は下顎にかけて分布しています。
この分布に沿って、ズキンとする激しい痛みが、あくび、会話、歯磨き、咀嚼(そしゃく)、洗面などの刺激で起こり、時には冷たい風に当たるだけで起こります。
普通は頬と顎に痛みがよく起こり、顔の片側全部に痛みが及ぶケースもあります。一回の痛みは数秒から数分と瞬間的ながら、痛みの発作が短い時は数時間、長い場合には数週から数カ月も繰り返し起こるのが特徴。痛みの発作のない間欠期には、神経症状は全くみられず無症状です。
原因がよくわからず、特発性三叉神経痛といわれるものが大部分ですが、近年の研究においては、動脈硬化などで蛇行した血管が三叉神経を圧迫して、痛みを誘発していると考えられています。
また、症候性三叉神経痛といわれるものもあり、こちらは頭部の腫瘍(しゅよう)や動脈瘤(りゅう)、三叉神経の近くにある歯や耳、目、鼻などの疾患、多発性硬化症や帯状疱疹(たいじょうほうしん)などによって引き起こされますが、強い発作性の痛みはないのが特徴です。
三叉神経痛による悩み、不安を感じている場合、神経内科、脳外科、麻酔科(ペインクリニック)を受診することが勧められます。
顔面けいれんは、自分の意思とは関係なく、まぶたや口角などの顔面の筋肉がけいれんする疾患
顔面けいれんは、まぶたや口角などの顔面の筋肉がピクピクとけいれんする疾患。
ほとんどの場合は片側の顔面だけにみられ、まれに両側の顔面にみられることがあります。どの年齢層でも発症しますが、比較的女性に多く、40歳代から50歳代に多く発症します。
人前での緊張、ストレス、疲れ、強い閉眼などの顔面筋(表情筋)の運動などで誘発されやすくなります。
典型的な顔面けいれんは、自分の意思とは関係なく、目の周囲がピクピクとけいれんする症状から始まります。徐々に、けいれんは口元にまで広がり、さらに進行すると、頬、額、耳、顎、首筋にまで広がることがあります。まれに、口元がけいれんする症状から始まり、徐々に、顔全体にけいれんが広がることもあります。
初めは人前で緊張した時など時々だけけいれんが起こり、あまり気にならない程度でも、けいれんしている時間が長くなっていき、持続的にけいれんが起こることもあります。
重症になると、目の周囲や口元のけいれんが同時に起こり、一日中、時には寝ていても起こるようになることもあります。長期間、けいれんが続いていると、けいれんのない時には顔面まひがみられ、顔がゆがむこともあります。
例えば、営業職や会社の受付をしている人などにとっては、顔面がピクピクとけいれんしていると、まともに相手と目を合わせて話すことができず、仕事に支障を来すことになります。
顔面けいれんが起こる主な原因は、顔面にある筋肉を動かす運動神経である顔面神経が、脳幹という脳の中心の部分から出てきている部分で、頭蓋(ずがい)内の動脈または静脈が接触して顔面神経を圧迫していることです。血管の拍動とともに顔面神経が刺激されることで、顔面の筋肉が不随意に収縮して、顔面のけいれんを起こしているのです。
そのため、高血圧や糖尿病、喫煙などで動脈硬化になりやすい人は、顔面けいれんが起こりやすくなります。
そのほかにも、顔面神経の周囲に腫瘍があり、腫瘍が顔面神経を圧迫することにより刺激が伝わり、顔面のけいれんを起こしていることもあります。また、明らかな原因が見付からない場合に、顔面けいれんが起こることもあり得ます。
顔面けいれんは明らかな症状でわかりやすいので、顔が無意識に収縮するような症状がある場合は、神経内科、脳神経外科を受診することが勧められます。治療可能だと知らないで、誰にも相談できずに一人で悩み、様子をみてしまっているケースも見受けられます。
舌咽神経痛は、喉の奥や舌の後ろに激痛発作が繰り返し起こる疾患
舌咽神経痛は、喉(のど)、扁桃(へんとう)、舌に通っている舌咽神経(第9脳神経)の機能不全により、扁桃に近い喉の奥や舌の後ろに発作的な激しい痛みが繰り返し起こる疾患。
顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こる三叉神経痛(顔面神経痛)に比べてまれな疾患であり、通常は40歳を過ぎてから発症し、男性に多く起こります。
舌咽神経痛の症状は、三叉神経痛と同様に、発作の時間は短く間欠的ですが、耐えがたい痛みが起こります。舌咽神経が知覚神経、運動神経のほかに舌の後方の3分の1の味覚を支配しているという特性上、飲食物をかむ、飲み込む、せき、くしゃみ、会話などの特定の動作が切っ掛けになって、発作が誘発されることが多くみられます。
痛みは、喉の奥や舌の後ろから始まって、耳にまで広がることがあります。数秒から数分間、痛みが続き、通常は喉と舌の片側だけに起きて、耳へ放散されます。耳に痛みが起こるのは、外耳や中耳にも舌咽神経の枝が分布しているためで、これを投射性耳痛ともいいます。
三叉神経痛を合併すると、顔面の片側に発作的な激しい痛みが起こります。迷走神経症状を合併すると、脈拍の低下を引き起こす結果、めまい、ふらつき、失神を起こすこともあります。
舌咽神経痛の原因はあまり特定されていないのが実際ですが、特定された中で多いのは血管による舌咽神経の圧迫です。舌咽神経が分布している部位の血管がもろくなったり、はれたりすることで隣にある舌咽神経を圧迫し、圧迫を受けた神経が激痛発作を起こしたり、慢性的な違和感を起こしたりします。血管のはれを起こす要因としては、顎関節症や歯性病巣感染などが考えられます。
舌咽神経が分布している部位に顎骨腫瘍などの腫瘍などができた場合も、激痛発作を起こします。頭蓋骨や頸椎(けいつい)、筋肉に問題がある場合も、激痛発作を起こすことがあります。
例えば、舌咽神経が分布している先の一つに、頭蓋骨の頸静脈孔と呼ばれる関節の透き間があり、その透き間がかみ合わせや外傷によってずれることが要因となって、舌咽神経が圧迫されて激痛発作が起こることもあります。
また、舌咽神経痛には脳梗塞(こうそく)、脳腫瘍、脳動脈瘤、脳血管疾患が潜んでいることもあります。
舌咽神経痛の症状に気付いたら、神経内科、内科、脳神経外科を受診し、神経痛の原因になっている炎症や腫瘍、血管の異常、感染の有無などをよく調べることが必要です。
神経血管圧迫症候群の検査と診断と治療
三叉神経痛の検査と診断と治療
神経内科、脳外科、麻酔科(ペインクリニック)の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)検査を行って三叉神経のそばに血管を確認できれば、通常、その血管が神経を圧迫していると判断します。
神経内科、脳外科、麻酔科の医師による治療では、薬物療法、神経ブロック、手術、ガンマナイフなどを行います。
薬物療法においては、痛みの発作を予防する働きを持っている抗てんかん剤(抗けいれん剤)のテグレトールと呼ばれる薬の内服が有効です。痛みがきれいになくなるという大変有効な薬ですが、注意が必要な面もあります。量が多いとふらつきなどの副作用が出たり、まれに白血球が減る副作用も確認されています。
薬物療法を行っても、期待される効果がみられない場合、神経ブロックを行うこともあります。痛みのある部分に麻酔薬を注射したり、電気凝固して痛みを緩和する方法ですが、原因を治しているわけではないので、根本治療ではありません。仮に症状が軽くなっても、完全に治るわけではないのです。
根本から治すには、手術療法を行います。手術では、三叉神経を直接圧迫している血管を見付け出し、三叉神経と血管の間に筋肉片あるいは綿などを入れて、神経に対する圧迫を除きます。
ガンマナイフは、三叉神経根の部分に放射線を集中照射することで、痛みを緩和するものです。しかし、2013年時点で、保険適応外治療となるので、実費の負担が必要です。
日常生活では、体の過労と精神的ストレスを避けて、規則正しい生活をすることが大切。痛みが始まったら、部屋をやや暗くして刺激を避けるようにします。
顔面けいれんの検査と診断と治療
神経内科、脳神経外科の医師による診断では、顔面けいれん症状と特徴的なけいれんを視診することによって、ほとんどの場合は容易に確定できます。
けいれんの原因を突き止めるためにMRI(磁気共鳴画像)検査やCT(コンピューター断層撮影)検査などの画像診断や、神経伝導検査、筋電図などの検査を行うこともあります。
脳の血管が脳幹の部分で顔面神経を圧迫していることを最もはっきり確認できるのは、血管造影と呼ばれる検査で、血管にカテーテルを入れて造影剤を流し、血管の走行を調べます。しかし、血管造影は脳梗塞などの危険を伴うことがあるので、MRI検査と同時に、体に負担をかけずに血管の走行がわかるMRA(磁気共鳴血管撮影)検査という画像診断で診断することもあります。
神経内科、脳神経外科の医師による治療では、抗コリン剤、抗てんかん剤(抗けいれん剤)のテグレトールなどを内服で使用します。効果は比較的弱く、短期間で再発することがあります。
ボツリヌス毒素(ボトックス)をけいれんする筋肉に局所注射し、筋肉を弱めるボツリヌス療法を行うこともあります。ボツリヌス毒素は細菌兵器として使われることが危ぶまれているボツリヌス菌からの毒素と同じものですが、治療に使われる量は致死量よりはるかに少量なので、命にかかわることはありません。ボツリヌス療法は外来でできますが、効果は約3カ月なので繰り返し注射する必要があります。
脳の血管が脳幹の部分で顔面神経を圧迫している場合には、手術が根本的な治療法になります。圧迫している血管と、圧迫を受けている顔面神経の間に、ウレタン樹脂などのクッションを設けて、再び血管が顔面神経を圧迫しないように固定します。
舌咽神経痛の検査と診断と治療
神経内科、内科、脳神経外科の医師による診断では、舌咽神経に炎症や圧迫などがみられるかどうかを調べるため、CT(コンピューター断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査など画像検査を行います。舌咽神経の電気的診断のため、筋電図検査も行います。
神経内科、内科、脳神経外科の医師による治療では、発作を予防する働きを持っている抗てんかん剤(抗けいれん剤)のテグレトールの服用や、舌咽神経へのアルコール注射による神経ブロックが有効です。時には、舌咽神経の切断を行わないと、痛みが消えないこともあります。
血管が原因の場合は、圧迫している動脈を移動させ舌咽神経に当たらないようにします。舌咽神経を圧迫している腫瘍が見付かった場合には、直ちに腫瘍に対する処置治療を行います。
頭蓋内血管の圧迫が主要因と考えられる場合には、その圧迫部分を排除して神経を開放する脳外科手術も行われます。頭蓋骨の頸静脈孔のずれが要因と考えられる場合には、頭蓋骨の処置治療を行って調整すると、痛みが引くことがあります。
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