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■新しい受精卵診断法を議論へ 産科婦人科学会 [健康ダイジェスト]

 日本産科婦人科学会(日産婦)は22日、体外受精卵を子宮へ戻す前に広く染色体異常を調べる新たな検査「着床前スクリーニング」について、学会としての方針を検討する小委員会を設置すると発表しました。
 日産婦は、「最近、すべての染色体を網羅的に調べる新技術が登場し、会員からも検討を求める声がある。多様な考え方があるので、容認を前提とせずに議論したい」と説明しました。
 3月以降、生殖医療や倫理の専門家でつくる小委員会はデータを集め、1年程度かけてこの検査を導入することの是非、導入する場合の対象や方法を検討します。
 日産婦は現在、目的を限定した受精卵の検査「着床前診断」を認めています。全身の筋力が低下する「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」などの重い遺伝病、流産を繰り返す「習慣流産」で夫婦いずれかの染色体異常が原因の場合を対象として、2004年以降、計308件を承認しました。
 一方、複数の染色体を調べる着床前スクリーニングの実施は認めていません。しかし、学会内では、データを集めて技術の有効性を調べるよう求める意見や、妊娠後に胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」が昨春始まり、着床前診断が認めないダウン症などの疾患が対象になっていることから、「ダブルスタンダードだ」との指摘があるといいます。
 また、受精卵の検査には、染色体が通常よりも1本多いダウン症などの広範な染色体異常を判別できるため、「命の選別」の拡大につながるとの根強い批判もあります。
 日産婦倫理委員長の苛原(いらはら)稔・徳島大教授は、「日産婦として方針を決める時期にきている。議論の結果、導入しないという選択肢もある。導入する場合でも、ハードルは高い」と話しました。
 ◇着床前スクリーニングは、体外受精による受精卵から一部の細胞を採取し、染色体や遺伝子に異常がないかを調べる検査の一つ。最近、受精卵の23対あるすべての染色体を網羅的に調べられる「アレイCGH」と呼ばれる技術が登場しています。
 国内の一部医療機関では、異常のない受精卵を子宮に戻すことで妊娠率を上げたり流産率を下げたりできると主張して、アレイCGHによる着床前スクリーニングを導入しています。ただし、海外では相反する報告もあり、有効性に関する結論が出ていません。

 2014年2月24日(月) 

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