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■用語 クラッシュ症候群 [用語(か行)]

[ー(長音記号2)]四肢の筋肉に持続的な圧迫が加えられ、その圧迫から解放された後に起こる全身障害
 クラッシュ症候群とは、体の一部が長時間にわたって何かに挟まれるなどして、四肢の筋肉に持続的な圧迫が加えられ、その圧迫から解放された後に起こる各種の全身障害。挫滅(ざめつ)症候群とも呼ばれます。
 地震や台風、竜巻などの災害時には、倒壊した建物や家具の下敷きになって多発します。災害時以外では、交通事故などで何かに挟まれ、救出までに時間を要した場合にも発症します。まれに、特定の筋肉を過度に酷使する運動を行うことにより発症する場合もあります。
 体の一部、特に四肢が長時間にわたって持続的な圧迫を受けると、筋肉が損傷を受け、組織の一部が壊死(えし)します。その後、圧迫された状況から解放されると、壊死した筋細胞からカリウム、ミオグロビン、乳酸などが血液中に大量に漏出します。
 そのため、クラッシュ症候群を発症すると意識の混濁、唇や指先が紫色になるチアノーゼ、失禁などの症状がみられるほか、高カリウム血症、ミオグロビン血症、凝固障害などの全身的な異常を示します。高カリウム血症により心室細動、心停止が引き起こされたり、ミオグロビン血症により腎臓(じんぞう)の尿細管が壊死し、急性腎不全が引き起こされたりします。
 圧迫から解放された直後は、意識があるために軽傷とみなされ、その後突然、容体が悪化して重篤となり、死に至ることも少なくありません。
 両下肢に起こったクラッシュ症候群では、損傷部にはれと点状出血を生じ、両下肢はまひします。下肢の知覚障害、運動障害もみられますが、少なくとも多少の左右差があります。
[ー(長音記号2)]クラッシュ症候群の検査と診断と治療
 整形外科、形成外科の医師による診断では、受傷した時の状況や、損傷部のはれ、知覚まひや運動まひから判断可能ですが、導尿により赤褐色のミオグロビン尿を認めれば確定できます。
 血液検査では、血液が酸性になる代謝性アシドーシス、血液濃縮、高カリウム血症、低カルシウム血症、高クレアチンキナーゼ血症、凝固障害などの異常が現れます。
 整形外科、形成外科の医師による治療では、高カリウム血症、代謝性アシドーシスを改善するために、炭酸ナトリウム、グルコン酸カルシウムを投与します。高度で持続する高カリウム血症には、緊急の血液透析を行います。
 損傷した四肢のはれは時間がたつとともに進行しますので、筋肉の圧力が高ければ、圧力を抜くための筋膜切開を行います。
 受傷から救出までに時間がかかり、治療が遅れた場合は、軽症でも腎不全が起こり、肺水腫(すいしゅ)を合併することもあるため、人工呼吸器による呼吸管理と人工腎臓による血液浄化を行います。




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