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■用語 腸骨稜裂離骨折 [用語(ち)]

[パンチ]骨が弱い成長期にまれに発生するスポーツ障害で、骨盤の腸骨稜にある骨端線の部分が裂離骨折する障害
 腸骨稜(ちょうこつりょう)裂離骨折とは、骨盤の最も上の部分にある腸骨稜にある骨端線という、骨の端にある成長軟骨が骨に変わってゆく境目の部分が裂離骨折する障害。骨が弱い成長期にまれに発生するスポーツ障害で、骨盤裂離骨折の1つです。
 骨盤の中でも、腸骨稜はズボンが引っ掛かる骨で、内腹斜筋、外腹斜筋、大腿(だいたい)筋膜張筋、中殿(ちゅうでん)筋などの強い筋肉が付着しています。そのため、大きな力が働く部位です。
 この腸骨稜に付着している筋肉が、バスケットボールや野球のスイング、柔道や相撲の投げ技、ダンスなどで、両下肢を固定して無理に体をひねった時に収縮することによって、腸骨稜付着部を急激に牽引(けんいん)するために、成長期の骨盤に残っていて、完成された大人の骨と比べると力学的に弱い骨端線の部分が裂離骨折します。
 発生すると、体をひねったり曲げると痛んだり、脚を上げると痛んだりします。受傷直後は激痛が出現し、歩行困難になることもありますが、休息や時間が経過するとあまり痛くなくなることも珍しくありません。
 腸骨稜裂離骨折を含む骨盤裂離骨折は、中学生、高校生である12~18歳に好発し、14~16歳がピーク。女子より強い筋力を持つ男子に圧倒的に多く、ほとんどは右側の骨盤部分に発生しています。
[パンチ]腸骨稜裂離骨折の検査と診断と治療
 整形外科、形成外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行うと、受傷時はわかりにくいものの、腸骨稜に剥離(はくり)した骨折片を認めます。必要に応じてCT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、こちらでも骨折片を確認できます。
 整形外科、形成外科の医師による治療では、急性期は安静にして下肢を動かす運動を避け、痛みや炎症を鎮めるためにアイシング(冷却)を行います。内出血や筋肉の損傷の治療、痛みの軽減、血流の改善などを目的に、テーピング、低周波治療などを行うこともあります。
 痛みなどの症状が軽減した後は、急性期の治療に加えて温熱療法、運動療法、ストレッチング、マッサージなどを行います。
 安静後2~3週間の比較的短期間で歩行可能となり、6~8週間でのスポーツ活動への復帰を目指します。成長期の障害であるため、骨の癒合は良好で、多少の骨変形が残存しても、骨の癒合が完了して十分な時間が経過すれば、スポーツ活動に支障は少なく、比較的予後は良好で、手術による治療を行うことはほとんどありません。
 再発予防のためには、骨盤周囲の筋肉や股関節のストレッチを十分に行うことが重要です。

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