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■用語 黒あざ [用語(く)]

[iモード]先天的もしくは後天的に、皮膚のすべての部位の一部分にできる黒色調の色素斑
 黒あざとは、先天的もしくは後天的に、皮膚のすべての部位の一部分にできる褐色から青黒色、あるいは黒色の色素斑(はん)。色素性母斑、母斑細胞性母斑とも呼ばれます。
 あざは、医学的には母斑(ぼはん)といわれ、通常は表皮にあって、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイト(メラニン細胞、色素細胞)が、皮膚のやや深い部分の真皮の上層に存在し、母斑細胞に変化して増殖しているために、皮膚の一部分に色調や形状の異常が現れます。
 あざはさまざまなタイプに分けられますが、一般的には、その皮膚の一部分の色によって、赤あざ、青あざ、茶あざ、黒あざなどに分けられます。生まれた時からあざがあることもあるし、生後数年、あるいは数十年後に初めてあざが出てくることもあります。
 あざの代表的なものが、黒あざ、すなわち色素性母斑です。黒あざの大きさは大小いろいろで、皮膚の表面と同じ高さのものから、半球状に隆起したものまであります。
 黒あざの一番小さい型が、いわゆるほくろ(黒子)で、メラニン色素を産生するメラノサイトが変化した母斑細胞からなる良性腫瘍(しゅよう)です。
 ほくろの色は一般に濃い黒色か褐色ですが、中には皮膚と同色や、黄色みを帯びた褐色のものもあります。最初は赤く、やがて色が濃くなる場合もあります。
 ほくろの大きさは、小さい点程度から直径が約2・5センチメートルを超えるものまでさまざまです。ほくろの表面は、平らなもの、盛り上がったもの、滑らかなもの、ザラザラしていぼのようなものなどさまざまで、毛が生えていることもあります。
 ほとんどの人には顔や全身に、いくつかはほくろがあり、たくさんある人も珍しくありません。多くの人では小児期から思春期にかけてよくできますが、中には一生増え続ける人もいます。一度できたほくろは、自然には消えません。
 女性の場合、ほくろはホルモン量に対応して変化するので、妊娠中はほくろができる、大きくなる、色が濃くなるなどの変化がみられます。皮膚の色が薄い人では、ほくろは主に日光にさらされる部分にできます。
 かゆみや痛みを伴うことはなく、ほとんどは無害で切除の必要はありません。見た目や位置によっては、ほくろは魅力的だと見なされることさえあります。
 しかし、比較的大きく、通常と異なる外観を有する異形成ほくろ(異形成母斑)が少数でも生じている場合は、ほくろのがんといわれる皮膚がんの一種で、メラノサイトががん化してできる悪性黒色腫(メラノーマ)に発展することがあります。この異形成ほくろは、さまざまな色で、全体の形も縁も不規則でゆがんでいます。
 もし血縁者の中に悪性黒色腫にかかった人がいる場合、リスクは非常に高くなります。異形成ほくろができる体質は、遺伝します。
 時には、黒あざが皮膚の広い範囲に生じる場合もあり、先天性巨大色素性母斑と呼ばれます。まれには、全身に大小の黒褐色のあざが多発し、その上に剛毛が密生し、その外見から獣皮様母斑と呼ばれる場合もあります。この型の黒あざは、脳を始め全身の神経組織の色素異常を伴うこともあり、神経皮膚黒色症と呼ばれ、ほくろのがんといわれる悪性黒色腫ができやすい型です。
 時には、まぶたの上、下に黒あざが分かれている場合もあり、分離母斑と呼ばれます。胎生期のまぶたが分離する前から黒あざがあった場合に、分離母斑がみられます。
 特に、成人以降に足の裏や手のひらに急に黒あざができて、色や大きさの変化が激しい場合、色の濃淡が強い場合、出血する場合などは、たとえ小さくても悪性黒色腫の可能性もあるので、早めに皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科を受診します。
 生まれ付きの大きい黒あざも、生後早めに医師と相談します。
[iモード]黒あざの検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断は、特徴的な色素斑なので、ほとんどは見ただけで診断はつきます。
 ただし、黒あざ自体は良性ですが、皮膚の悪性腫瘍の中でも悪性度が高い悪性黒色腫と見分けがつきにくいものも時々あります。悪性黒色腫の確定診断は、切除したほくろを病理組織検査することでつきます。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療では、放置しておいてもかまわない黒あざであっても、顔などに大きなものがあり、本人が非常に気にしたり、他人に悪印象を与える時などは、手術で除去することになります。非常に小さなほくろであっても、本人が悪性化や、その他の面で気にする時にも、手術を行うこともあります。
 手術では、病変部の皮膚をメスで全部切り取った後、皮膚の欠損部を縫い合わせるか、植皮術を行います。最近では、顔の小さいほくろの場合に、メスの代わりに炭酸ガスレーザーで切除した後、縫い合わせないで自然に治るのを待つ、くり抜き療法も行われています。
 いずれにして、多少の傷跡は残ります。特に、植皮術で植皮した皮膚は、周囲の皮膚とは細かい性状が異なり、完全にはなじみません。従って、手術の跡と、ほくろや黒あざとどちらが目立つかを考えてから、手術をする必要があります。手術をしなくても、カバー・マークを利用して、色を隠せばよいからです。
 なお、炭酸ガスレーザーを用いる、くり抜き療法は顔面ではあまり傷跡が目立たないことが多いようですが、他の部位ではくり抜いたところの傷跡が目立つ場合もあります。
 また、レーザー治療では多くの場合、病変部を焼き飛ばすため、病理組織検査を行えません。悪性黒色腫と見分けがつきにくい場合もあるので、レーザー治療を選択する場合には、担当する医師の十分な診断力が必要とされます。
 異形成ほくろが悪性黒色腫に発展した場合は、医師による治療は原則的に、悪性黒色腫の部位を外科手術によって円形に切除することになります。
 手術が成功するかどうかは、皮膚のどの程度の深さにまで悪性黒色腫が侵入しているかによって決まります。初期段階で最も浅い悪性黒色腫であれば、ほぼ100パーセントは手術で治りますので、周囲の皮膚を腫瘍の縁から最低でも約1センチメートルは一緒に切除します。
 皮膚の中に約0・8ミリメートル以上侵入している悪性黒色腫の場合、リンパ管と血管を通じて転移する可能性が非常に高くなります。転移した悪性黒色腫は致死的なものになることがしばしばあるものの、抗がん剤による化学療法、インターフェロンによる免疫療法、および放射線療法などいろいろな手段を組み合わせた集学的治療が行うことで、健康を保って何年も生存する人もいます。
 日光の紫外線は、異形成ほくろの発生や性状の変化を助長します。子供のころに普通に日に当たるだけでも、数十年後に悪性黒色腫が発症するリスクが高まります。ですから、生まれ付き皮膚の色が白い人や異形成ほくろがある人は、日光に当たるのを避けるべきです。
 悪性黒色腫を始め、その他の皮膚がんの発生数も年々増加傾向にあり、今まで紫外線に対する防御対策をしてこなかったことが増加の一因であると考えられます。海水浴やスポーツ、仕事などで長時間、過度の紫外線を浴びる場合は、皮膚を紫外線から防御することが非常に大切です。日焼け止めクリームの使用、帽子や日傘の使用、長袖(ながそで)で腕を覆うなどの予防策があります。

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