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■新しい受精卵診断、臨床研究を承認 日本産科婦人科学会 [健康ダイジェスト]

 日本産科婦人科学会は13日、東京都内で理事会を開き、体外受精した女性の習慣流産を防ぐ新しい受精卵診断の臨床研究を承認しました。
 受精卵の染色体の数に異常がないか検査する「着床前スクリーニング」をした上で子宮に戻し、妊娠成功率や流産率などが改善するかどうかを3年かけて調べます。重い遺伝病ではない人にも対象を広げ、2015年にも始めます。
 2月初めのシンポジウムで、専門家らに説明して広く意見を募り、早ければ2月末にも開く理事会で、具体的な手順が承認される見通し。
 体外受精後に細胞分裂を始めた受精卵から細胞を取り出し、「アレイCGH」という方法で染色体の本数の異常を調べます。体外受精や受精卵の診断は、学会が指定する施設に限ります。検査には高度な技術が必要で、慶応義塾大や東京女子医大、名古屋市立大などが候補になっています。
 臨床研究は、体外受精に3回以上失敗した女性や流産を2回以上繰り返す女性などを対象に、3年間で計600例の実施を予定。
 卵子に注射針で精子を注入する顕微授精で受精卵を作り、染色体の本数に異常のない受精卵を選んで子宮に戻した時、妊娠する確率が上がるかどうか、流産するリスクを下げられるかどうかを調べます。費用は数十万円程度とみられ、女性側が負担。
 日本では、出産の高齢化などの理由で流産を繰り返すケースが増えており、社会問題になっています。精子や卵子の染色体の本数の異常が、流産を繰り返す原因として疑われているといいます。
 日本産科婦人科学会はこれまで、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど重い遺伝病や、染色体の構造異常で流産を繰り返す人などに限り、染色体の一部の検査を認めていました。
 新たな臨床研究は流産の回避のため、重い遺伝病ではない人も対象とし、すべての染色体の本数の異常を一度に調べるため、染色体異常を見分けやすくなります。一方で、新手法はダウン症などを受精卵の段階で排除することにもつながりかねず、倫理的な問題をはらみます。
 理事会後の会見で、学会倫理委員会の苛原(いらはら)稔委員長は、「流産を防ぐ有用性がわかってから、実際に医療として導入するかどうかについては倫理的な検討を加える」と説明しました。

 2014年12月14日(日)

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