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■肝臓がんリスクを診断する高精度な検査法を開発 聖マリアンナ医科大 [健康ダイジェスト]

 肝臓がんの原因となるB型肝炎ウイルス(HBV)を効率的に発見する検査法を、川崎市に本部を置く聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科(伊東文生教授)の山本博幸准教授と渡辺嘉之非常勤講師が開発しました。
 従来の検査法では患者の肝臓の全遺伝子を調べる必要がありましたが、新しい検査法ではHBVの一部遺伝子を試薬のように使うことで、より速やかに高い精度での検出が可能になりました。
 研究成果は、米国の科学誌「ゲノムリサーチ」3月号に掲載されました。 
 肝臓がんの約3分の1はHBVが原因で、HBVは輸血や注射針の使い回し、性交渉で感染します。日本国内で無症状の感染者は約130万人に上り、世界では約4億人が存在するといわれています。うち約10パーセントが肝炎、肝硬変を経て、最終的に肝臓がんを患っています。
 患者が多いC型肝炎が薬剤で完治できる現在、HBVは肝臓がんの最大の原因ともいわれています。
 HBVは肝臓に到達すると、肝細胞の遺伝子の一部に食い込み、操ります。このことで最終的に肝臓がんが発生するため、山本准教授らはいち早く感染の有無を調べることが有効と考え、約2年前から、感染の仕組みに着目した検査法の研究に取り組んできました。
 HBVが遺伝子に取り付く仕組みに規則性はなく、どの遺伝子に取り付くかはわかっていません。このため、従来の検査法では、生検で取り出した患者の肝細胞の遺伝子をすべて調べる必要がありました。「森の中から1本の針を見付けるようなもの」(山本准教授)で、検査結果が判明するのに3週間かかり、精度も低いものでした。
 今回、開発した検査法では、薬剤で細かく切ったHBVの遺伝子片を増幅機器で大量に合成。これを別の薬剤とともに試験管に入れ、その中に患者の肝臓から取った細胞片を混合します。
 HBVの遺伝子は、同じ配列を持った遺伝子に密着する性質があることが知られています。肝臓が感染している場合、細かく刻んだHBVの遺伝子片は感染源のHBVの遺伝子に密着。遺伝子解析装置で観察すると、2階建てのような形状になっているため、容易に判定できます。
 「細かく刻んだHBVの遺伝子片は、いわばターゲットマーカーの役割を果たしている」と山本准教授。検査結果が出るまでの時間は約2日と大幅に短縮される一方、精度は10倍になりました。
 山本准教授は、「新検査法が普及すれば発がんリスクが診断できるだけでなく、早期治療にも役立つ。ウイルスが原因となる子宮頸がんや悪性リンパ腫にも応用できるなど、汎用性も幅広い」と話しています。

 2015年3月25日(水)

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