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■危険な病原体を扱うレベル4施設、初めて稼働へ 東京都の国立感染症研究所  [健康ダイジェスト]

 塩崎恭久厚生労働相は3日、東京都武蔵村山市の藤野勝市長と会談し、市内の国立感染症研究所村山庁舎にあるバイオセーフティーレベル(BSL)4の施設を稼働させる方向で合意しました。
 レベル4施設は、エボラウイルスなど特に危険な病原体を扱うことができますが、日本で稼働している施設はありませんでした。
 先進7カ国(G7)でレベル4施設が稼働していないのは日本だけ。34年前、村山庁舎内にレベル4施設に相当する高度安全実験施設が建設されましたが、地元の反対で、扱う病原体の危険性を1段階下げたレベル3施設として、新型肺炎のSARSや鳥インフルエンザなどのウイルスの研究や分析を行ってきました。
 昨年から西アフリカで大流行したエボラ出血熱の国内侵入が懸念され、レベル4施設が必要との声が上がっていました。
 こうした中、塩崎厚労相は藤野市長と会談し、「施設の稼働は国民の生命や健康を守るために不可欠だ」として、市側の要望を踏まえ、施設の安全対策や災害対策を強化するほか、施設の使用状況などを積極的に情報開示する方針などを伝え、協力を求めました。
 これに対し藤野市長は、「市民から出された質問などに国が丁寧に説明をしてきたことは理解した」と述べ、近く施設を稼働させることで合意しました。
 藤野市長は会談の後、「万が一、エボラ出血熱が国内で発生した場合に備えて、施設の稼働に合意したものだ」と述べました。また、塩崎厚労相は記者団に対して、「安全対策、防災対策を十分に行うことなどを前提に、施設の稼働に理解をいただいた。1週間ほどで稼働の判断をさせていただきたい」と述べました。
 レベル4施設と呼ばれる高度な安全設備を備えた実験施設は、感染症法で危険性が特に高い「1類感染症」に指定されているエボラ出血熱など7種類の病原体を取り扱うことが認められた施設で、ワクチンや治療薬を開発するためにウイルスの詳しい解析や実験などが行われます。
 世界保健機関(WHO)の指針や国の安全基準に基づいて運用され、病原体の流出を防ぐため研究者は防護服を着て実験を行うほか、空調の管理や実験器具の消毒の徹底などが義務付けられています。
 厚労省によりますと、海外では欧米やアジアなどの19カ国で合わせて41施設が稼働しています。国内では東京都武蔵村山市の国立感染症研究所村山庁舎と、茨城県つくば市の理化学研究所の合わせて2カ所に設置されているものの、いずれも周辺住民の反対で稼働ができない状態が続いていました。
 しかし、西アフリカでエボラ出血熱の感染が過去最大の規模で広がったことを受けて、厚労省は今年1月、国立感染症研究所の施設の稼働に向けて、武蔵村山市や地元の自治会などと作る協議会を発足させ、半年余りにわたって協議を重ねてきました。
 レベル4施設を巡っては感染症の専門家や日本学術会議から、生物兵器によるテロや重大な感染症が確認された際に国民の命を守るため早急な稼働を求める声が上がっていました。

 2015年8月4日(火)

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