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■用語 喉頭腫瘍 [用語(こ)]

[キスマーク]のどの奥の喉頭に発生する腫瘍で、良性と悪性に大別
 喉頭腫瘍(こうとうしゅよう)とは、のどの奥の喉頭に発生する腫瘍。
 嚥下(えんげ)、発声、呼吸機能などを併せ持つ多機能な器管がある喉頭には、さまざまな腫瘍が発生し、良性腫瘍と悪性腫瘍に大別されます。
 良性腫瘍には、声帯のふちに小さな、いぼのような突起ができる声帯結節、声帯結節が大きくなってキノコ状になる声帯ポリープ、声帯全体が病変になり、水膨れのようにむくんで、はれた状態になるポリープ様声帯、喉頭のあらゆるところに生じ、声帯や仮声帯に好発する乳頭腫などがあります。悪性腫瘍は、ほとんどが扁平上皮細胞から発生する喉頭がんです。
 良性腫瘍のほとんどは原因が不明で、乳頭腫の場合はヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因であることがわかっています。
 悪性腫瘍の喉頭がんの場合は、特殊なタイプのがんを除けば喫煙が主原因です。たばこに含まれているニコチンなどにより、喉頭粘膜の遺伝子が傷付き、がんが発生します。
 若いうちは遺伝子に傷ができても修復可能ですが、年齢とともに修復力が弱くなり、修復が間に合わなくなりがんが発生します。また、1日に吸うたばこの本数が多ければ多いほど、喫煙期間が長ければ長いほど、がんの発生率は確実に高くなります。
 喫煙のほかに、遺伝的素因、大気汚染、飲食物による機械的刺激、声帯の酷使、ウイルスや細菌の感染などが関係しているともいわれています。
 声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯、乳頭腫などの良性腫瘍が声帯にできれば、声がれ、すなわち嗄声(させい)で発症します。声帯以外にできた場合では、のどの入り口あたりの咽頭(いんとう)の違和感、咽頭痛を生じます。腫瘍が大きくなると、息苦しさなどの呼吸困難を起こすようになります。
 悪性腫瘍である喉頭がんはその発生の場所により、声帯に発生する声門がん、声帯の上方に発生する声門上(じょう)がん、声帯の下方に発生する声門下(か)がんに分けられ、症状の現れ方が異なります。日本人では、声門がんが最も多い60~65パーセント、次いで声門上がんが30~35パーセントで、声門下がんはめったにみられません。
 声門がんの場合、がんが米粒大程度のごく早い段階で、声がかれてきます。このため、早期に発見されることが多いのですが、適切な治療を受けずに進行すると、ますます声がかれてきて、ほとんど声が出なくなってしまうこともあります。声門が狭くなると、喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難が生じます。
 声門上がんの場合、声の異常はすぐには現れず、最初の自覚症状はのどの違和感や異物感、咳(せき)、痰(たん)、食べ物を飲み込む時の痛みとして出てきます。腫瘍が大きくなって、声帯の振動に影響を与えるようになると、声がかれてきます。さらに腫瘍が増大して、気道をふさぐと、呼吸困難に陥ることもあります。また、首のリンパ節に、がんの転移が生じてきます。
 声門下がんの場合、早期にはほとんど症状がなく、たまに咳や痰が出る程度です。しかし、腫瘍が声帯に達すると、かれ声が起こり、腫瘍面が露出して潰瘍(かいよう)ができると、血痰が出ることがあります。
 とりわけ中高年の男性で、声がれ、のどの異常感が2週間以上続く時は、単なる風邪と思わず、一度、耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。
[キスマーク]喉頭腫瘍の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、喉頭に小さな鏡である喉頭鏡を入れたり、鼻からファイバースコープを入れて、腫瘍の有無を確認した上、腫瘍の性状を観察し、頸部(けいぶ)の触診を行えば、おおよその判断をつけることが可能です。
 しかし、炎症によって起こるポリープや肉芽腫との鑑別、良性腫瘍と悪性腫瘍の鑑別が難しいケースもあり、診断を確実にするためにCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などの画像診断を行います。
 悪性腫瘍を疑う場合はさらに、腫瘍の一部を採取して良性腫瘍と悪性腫瘍の鑑別、腫瘍の種類を確定する病理組織検査を行います。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、良性腫瘍の場合、比較的簡単な手術を行い、腫瘍を切除します。中には手術の必要もなく、経過観察のみで大丈夫なタイプの腫瘍もあります。
 早期の喉頭がんの場合、放射線治療、レーザー手術が試みられ、よい治療成績が得られています。放射線と多剤化学療法との同時併用治療を行い、喉頭の温存を図る治療も行われています。
 外科療法では、限られた部位のがんなら声帯を残せる喉頭部分切除術を行い、進行がんでは喉頭をすべて摘出する喉頭全摘出術を行います。いずれを選ぶかは、医師によって意見が多少異なるのが現状です。適切な治療が行われれば、一般に予後は良好です。
 喉頭全摘出術を行った場合は、音声機能を喪失することになりますので、コミュニケーションの障害に対する配慮が必要になってきます。
 喉頭をなくした時の代用音声は、食道発声、人工喉頭、電気喉頭が主なものです。音声の性質からみて、優れているのは食道発声です。そこで、手術後は食道音声を獲得するためのリハビリテーションを指導し、肺からの空気を食道へ直接送る音声再建手術も試みることもあります。

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