■用語 乾癬性紅皮症 [用語(か行)]
乾癬が広がって、全身が真っ赤に炎症を起こす疾患
乾癬(かんせん)性紅皮症とは、皮膚疾患の乾癬が悪化し、全身が真っ赤に炎症を起こす疾患。
乾癬を発症すると、にきびのような赤いぶつぶつが発生し、次第に周囲へ拡散して皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に厚い銀白色の鱗屑(りんせつ)がついて、その一部がポロポロとはがれ落ちていきます。さらに、この症状が悪化し、赤い皮疹(ひしん)が全身に広がると乾癬性紅皮症を患います。
発症頻度は低く特殊な症状ですが、健康な皮膚が一切なくなるほど症状が悪化することもあります。
乾癬が進行して乾癬性紅皮症を発症する確定的な理由は、わかっていません。しかし、強い薬による乾癬の治療を継続したり、急激に治療を中止したりすると、乾癬性紅皮症へと進行するといわれています。また、遺伝的に紅皮化しやすい体質の人で進行するといわれ、睡眠不足、精神不安定、ストレスなどの要因で進行するともいわれています。
もともと乾癬を発症する理由も、いまだはっきりとわかっていません。一説によると、一種の免疫反応の異常により生じるとされます。すなわち、健常の皮膚では、表皮細胞と白血球(リンパ球など)がサイトカインなどの伝達物質を使って、うまく連絡を取り合ってお互いを制御していますが、このバランスが崩れると表皮細胞が一方的に増殖して、早く脱落していくことが起こります。
健常の皮膚では普通、表皮細胞はその一番外側に角質層という死んだ細胞の層を作り、垢(あか)になって落ちていくことを一定の周期の45日で繰り返しています。乾癬では、この周期が4~5日と極度に短縮しているため、カサカサした薄皮である鱗屑がどんどんできては、ポロポロとはがれていきます。
この免疫反応の異常は、遺伝的になりやすい体質がある人に、扁桃腺(へんとうせん)炎などの感染症、薬物や外傷などの外的因子、糖尿病や高血圧、肝臓病、ストレスなどの内的因子が複雑に絡み合って発症したり、悪化したりすると考えられています。第二次世界大戦後に増加した疾患であり、もともと欧米人に多いことから、食事の西洋化が関係しているのではと類推されています。
乾癬の症状が全身に及んで乾癬性紅皮症になると、皮疹の間に健康な皮膚が存在することもある一方、すべての皮疹が融合して健康な皮膚が一切なくなることもあります。全身が真っ赤に炎症を起こすと、皮膚の働きが損なわれるため体温調節ができなくなり、発熱や悪寒、全身倦怠(けんたい)感を生じます。時に、入院が必要となることもあります。
また、乾癬性紅皮症は、一時的に正常な状態となる寛解(かんかい)と再燃を繰り返すことが多く、治療も難しいとされています。
乾癬性紅皮症の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な皮疹とその分布、経過より判断し、次いで血液検査を行います。乾癬性紅皮症であれば、血液検査所見として白血球数、好酸球数、LDH(乳酸脱水素酵素)がいずれも増加します。
乾癬性紅皮症の可能性が高ければ、入院をしてさらに詳しい検査を行います。通常は内臓の異常はありませんが、時に糖尿病、高血圧、肝臓病を合併していることがあるので、検査で確認することが必要です。治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、皮疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行います。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、外用薬、内服薬、光線療法、注射薬などで乾癬そのものを治療していくほかありません。すべては乾癬から進行したものなので、乾癬を気長にじっくりと治療することで症状が治まっていくことがあります。
外用薬には、炎症を抑制する副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬が多く用いられています。そのほか、皮膚の細胞が増殖するのを阻害する活性型ビタミンD3外用薬も、副腎皮質ステロイド薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。
内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。
光線療法は、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を皮疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てる治療で、PUVA(プーバ)療法といいます。乾癬が全身にある場合、入院して内服のメトキサレンを使用してPUVA療法を行う場合もあります。紫外線を当てることで、異常な免疫反応が抑制され、効果が得られると考えられています。
近年、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法も利用されるようになってきています。
注射薬は、生物が作り出す蛋白(たんぱく)質をもとに作られた生物学的製剤という新しいタイプの薬を、皮下注射や点滴で投与し、体の免疫機能などにかかわる物質で、過剰に増えると乾癬の症状を引き起こすサイトカインの働きを弱め、乾癬の皮膚症状の改善を図ります。
現在日本では、腫瘍壊死(しゅようえし)因子αというサイトカインを抑えるインフリキシマブ(レミケード)とアダリムマブ(ヒュミラ)、インターロイキン12とインターロイキン23というサイトカインを抑えるウステキヌマブ(ステラーラ)、インターロイキン17というサイトカインを抑えるセクキヌマブ(コセンティクス)という4種類の生物学的製剤を用いることができます。
しかし、生物学的製剤もすべての発症者に必ず効果があるとはいえず、副作用が現れることもあり、長期的に投与した場合の影響については不明です。
外用薬、内服薬、光線療法、注射薬のいずれの治療法も一長一短があるため、治療により得られる効果と副作用のリスクの兼ね合いを考え、うまく組み合わせて症状をコントロールすることが大切です。
生活上の注意としては、風邪を引いたりした後など、感染によりサイトカインのバランスが崩れ、乾癬の症状が悪化することがありますので、風邪を引かないように、まめにうがいを励行します。
精神的な動揺やストレスが症状を悪くしますので、短気を起こさず、気長に治療していきます。
乾癬(かんせん)性紅皮症とは、皮膚疾患の乾癬が悪化し、全身が真っ赤に炎症を起こす疾患。
乾癬を発症すると、にきびのような赤いぶつぶつが発生し、次第に周囲へ拡散して皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に厚い銀白色の鱗屑(りんせつ)がついて、その一部がポロポロとはがれ落ちていきます。さらに、この症状が悪化し、赤い皮疹(ひしん)が全身に広がると乾癬性紅皮症を患います。
発症頻度は低く特殊な症状ですが、健康な皮膚が一切なくなるほど症状が悪化することもあります。
乾癬が進行して乾癬性紅皮症を発症する確定的な理由は、わかっていません。しかし、強い薬による乾癬の治療を継続したり、急激に治療を中止したりすると、乾癬性紅皮症へと進行するといわれています。また、遺伝的に紅皮化しやすい体質の人で進行するといわれ、睡眠不足、精神不安定、ストレスなどの要因で進行するともいわれています。
もともと乾癬を発症する理由も、いまだはっきりとわかっていません。一説によると、一種の免疫反応の異常により生じるとされます。すなわち、健常の皮膚では、表皮細胞と白血球(リンパ球など)がサイトカインなどの伝達物質を使って、うまく連絡を取り合ってお互いを制御していますが、このバランスが崩れると表皮細胞が一方的に増殖して、早く脱落していくことが起こります。
健常の皮膚では普通、表皮細胞はその一番外側に角質層という死んだ細胞の層を作り、垢(あか)になって落ちていくことを一定の周期の45日で繰り返しています。乾癬では、この周期が4~5日と極度に短縮しているため、カサカサした薄皮である鱗屑がどんどんできては、ポロポロとはがれていきます。
この免疫反応の異常は、遺伝的になりやすい体質がある人に、扁桃腺(へんとうせん)炎などの感染症、薬物や外傷などの外的因子、糖尿病や高血圧、肝臓病、ストレスなどの内的因子が複雑に絡み合って発症したり、悪化したりすると考えられています。第二次世界大戦後に増加した疾患であり、もともと欧米人に多いことから、食事の西洋化が関係しているのではと類推されています。
乾癬の症状が全身に及んで乾癬性紅皮症になると、皮疹の間に健康な皮膚が存在することもある一方、すべての皮疹が融合して健康な皮膚が一切なくなることもあります。全身が真っ赤に炎症を起こすと、皮膚の働きが損なわれるため体温調節ができなくなり、発熱や悪寒、全身倦怠(けんたい)感を生じます。時に、入院が必要となることもあります。
また、乾癬性紅皮症は、一時的に正常な状態となる寛解(かんかい)と再燃を繰り返すことが多く、治療も難しいとされています。
乾癬性紅皮症の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な皮疹とその分布、経過より判断し、次いで血液検査を行います。乾癬性紅皮症であれば、血液検査所見として白血球数、好酸球数、LDH(乳酸脱水素酵素)がいずれも増加します。
乾癬性紅皮症の可能性が高ければ、入院をしてさらに詳しい検査を行います。通常は内臓の異常はありませんが、時に糖尿病、高血圧、肝臓病を合併していることがあるので、検査で確認することが必要です。治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、皮疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行います。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、外用薬、内服薬、光線療法、注射薬などで乾癬そのものを治療していくほかありません。すべては乾癬から進行したものなので、乾癬を気長にじっくりと治療することで症状が治まっていくことがあります。
外用薬には、炎症を抑制する副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬が多く用いられています。そのほか、皮膚の細胞が増殖するのを阻害する活性型ビタミンD3外用薬も、副腎皮質ステロイド薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。
内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。
光線療法は、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を皮疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てる治療で、PUVA(プーバ)療法といいます。乾癬が全身にある場合、入院して内服のメトキサレンを使用してPUVA療法を行う場合もあります。紫外線を当てることで、異常な免疫反応が抑制され、効果が得られると考えられています。
近年、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法も利用されるようになってきています。
注射薬は、生物が作り出す蛋白(たんぱく)質をもとに作られた生物学的製剤という新しいタイプの薬を、皮下注射や点滴で投与し、体の免疫機能などにかかわる物質で、過剰に増えると乾癬の症状を引き起こすサイトカインの働きを弱め、乾癬の皮膚症状の改善を図ります。
現在日本では、腫瘍壊死(しゅようえし)因子αというサイトカインを抑えるインフリキシマブ(レミケード)とアダリムマブ(ヒュミラ)、インターロイキン12とインターロイキン23というサイトカインを抑えるウステキヌマブ(ステラーラ)、インターロイキン17というサイトカインを抑えるセクキヌマブ(コセンティクス)という4種類の生物学的製剤を用いることができます。
しかし、生物学的製剤もすべての発症者に必ず効果があるとはいえず、副作用が現れることもあり、長期的に投与した場合の影響については不明です。
外用薬、内服薬、光線療法、注射薬のいずれの治療法も一長一短があるため、治療により得られる効果と副作用のリスクの兼ね合いを考え、うまく組み合わせて症状をコントロールすることが大切です。
生活上の注意としては、風邪を引いたりした後など、感染によりサイトカインのバランスが崩れ、乾癬の症状が悪化することがありますので、風邪を引かないように、まめにうがいを励行します。
精神的な動揺やストレスが症状を悪くしますので、短気を起こさず、気長に治療していきます。
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