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■用語 掌蹠角化症 [用語(さ行)]

[足]手のひらや足の裏の皮膚が過度に角化して、分厚くなる皮膚疾患
 掌蹠角化(しょうせきかくか)症とは、手のひらや足の裏の皮膚が過度に角化して、はれたように分厚くなる皮膚疾患。
 先天性素因によって生じる先天性掌蹠角化症と、後天性掌蹠角化症がありますが、両者を区別することは困難なことが多く、一般には掌蹠角化症という場合は先天性のものを指します。
 その先天性掌蹠角化症にも多くの病型が存在し、原因遺伝子が判明している型と、まだわかっていない型があります
 病型により、その症状もさまざまで、時には、ほかの臓器との合併症を伴って、重篤化することがあります。
 主な病型には、ウンナ・トスト型、フェルネル型、メレダ型、先天性爪甲厚硬症(先天性厚硬爪)、パピヨンルフェーブル症候群、点状掌蹠角化症、線状掌蹠角化症、ナクソス病があります。
 ウンナ・トスト型は、生後数週間の乳児期に多く認められ、手のひらや足の裏の皮膚表面の角質が肥厚します。時に、手や足の甲まで軽く赤らんできます。また、局所的に多汗症を伴う場合もあります。
 フェルネル型は、掌蹠角化症の中で最も多くみられる病型で、手のひらと足の裏だけに赤みを帯びた肥厚が生じ、爪(つめ)の変形や多汗などが生じることもあります。
 メレダ型は、重度の角化が生じて手のひらや足の裏だけでなく、手足の甲まで赤みを帯びます。時に、湿疹(しっしん)や多汗も生じます。角質の脱落、硬化などがあるため、以前はハンセン病と間違われることが多くありました。
 先天性爪甲厚硬症は、主に1型と2型に分類され、1型は手足の爪の甲の硬化、肥厚を始め、手のひらや足の裏の角化、多汗を生じ、口腔粘膜や舌にも白色角化が及びます。2型は手足の爪の甲の硬化、肥厚、手のひらや足の裏の角化は軽度ですが、毛髪異常などほかの部分に症状が及びます。しかし、口腔粘膜や舌の白色角化は認めません。
 パピヨンルフェーブル症候群は、歯肉炎や歯周病を伴います。乳歯が抜け落ちるのはもちろん、その後生える永久歯も抜けやすくなります。乳幼児から発症し、赤みを帯びた皮疹が現れ、汗が多くなることで悪臭が生じます。
 点状掌蹠角化症は、点状に小さな丘疹が多発して、丘疹の脱落後に皮膚の一部が陥没します。また、爪に異常を来したり、悪性腫瘍を合併することがあります。主に15歳から30歳の青年期に、多く発症します。
 線状掌蹠角化症は、手足の指の腹に線状の丘疹が生じ、脱落します。また、難聴を合併することもあります。主に5歳から20歳の少年期に、発症します。
 ナクソス病は、角化症の症状に伴って心肥大、心筋症などの合併症を患い、突然死を来すこともあります。
 掌蹠角化症には、歯肉炎や歯周病を伴ったり、心肥大や心筋症などほかの臓器の障害を合併する病型があるので、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診して正しい診断を受け、適切な治療を受けるようにします。
[足]掌蹠角化症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、症状や問診で、掌蹠角化の範囲、掌蹠の多汗の有無、かゆみや紅斑(こうはん)の有無を確かめ、病型を判断します。
 続いて、角化した皮膚を数ミリ切り取って調べる検査である皮膚生検などを行い、確定診断に至ります。例えば、掌蹠角化症の中で最も多くみられるフェルネル型では、特異的な顆粒(かりゅう)変性が観察されます。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、根治的な治療法は現時点では存在しないため、多くの場合は1日2回から3回程度、サリチル酸ワセリンや尿素、活性型ビタミンD3、ステロイド剤などの外用剤を患部に塗ります。
 重症の場合は、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)を内服します。
 過度の角質肥厚や過度の爪甲肥厚に対しては、はさみやメス、爪切りや爪やすりでできるだけ薄くなるように削ったり、溶かして薄くしたりします。手指の絞扼輪(こうやくりん)や掌蹠の角質肥厚に対しては、外科的治療(植皮)を施すこともあります。
 掌蹠の多汗を伴い、悪臭を伴う場合は、多汗症の治療を平行して行います。




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