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■やせ薬1万8000錠を不正販売の疑い 六本木の開業医逮捕 [健康ダイジェスト]

 東京都港区六本木のクリニックの開業医が、肥満の治療薬を不正に販売したとして麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで、厚生労働省の麻薬取締部に逮捕されていたことがわかりました。この薬は「やせ薬」として利用されている実態があるとみられ、麻薬取締部は監視を強めています。
 逮捕されたのは、六本木4丁目で「アーバンライフクリニック六本木」を開業していた医師、澁谷雅彦容疑者(57歳)です。
 厚労省の関東信越厚生局麻薬取締部によりますと、澁谷医師は今年7月13日、向精神薬に指定されている薬「マジンドール」1万8000錠を中国人と日本人の男女3人に合わせて440万円余りで不正に販売したとして、麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いが持たれています。
 このマジンドールは、中枢神経を刺激することで食欲を抑える効果がありますが、覚醒剤と似た特性があり依存性があるとされるため、厚労省は通常、重度の肥満患者にのみ処方することを認めています。しかし、保険が適用されない自由診療では医師の判断で処方でき、やせ薬として利用されている実態があるとみられ、麻薬取締部は不正な転売などに監視を強めています。
 麻薬取締部によりますと、澁谷医師は昨年からマジンドールを大量に仕入れ、中国人らに横流しして、およそ5000万円を稼いでいたとみられ、調べに対し「金もうけがしたかった」と容疑を認めているということです。麻薬取締部は、薬を購入した中国人らによって、国内のほか中国の富裕層向けにも転売されていたとみて調べています。
 逮捕された澁谷医師は、クリニックのホームページで「小顔ダイエット」、「モデルやタレントの駆け込み寺」などとマジンドールのやせ薬としての効能をうたっていました。
 マジンドールは、食欲を抑制する向精神薬として国内で唯一、健康保険の適用が認められていますが、覚醒剤に似た特性があり依存性があるとされるほか、不眠や頭痛などの副作用も報告されています。このため厚労省は身長1メートル70センチで体重100キロ程度といった重度の肥満患者にのみ処方することを認めていますが、保険が適用されない自由診療では医師の判断で処方できます。
 製造・販売元の富士フィルムファーマ社によりますと、年間の流通量はおよそ600万錠に上り、このうち3割が美容の目的で使われているとみられるということです。治療の必要性が高くない人たちの間で、やせ薬として利用されている実態があるとみられ、2008年には東京都のエステサロンを経営する医師が、診察せずに薬を処方させていたとして医師法違反の疑いで逮捕され、有罪判決を受けています。
 今回の事件では、マジンドールを購入した中国人ら3人も、不正に販売する目的で薬を所持していた疑いで逮捕・検挙されました。
 麻薬取締部の調べに対して、逮捕された中国人の1人は「中国のセレブ層にダイエット薬が人気で高く売れると思った」と供述し、一部を中国に送っていたとみられます。中国では、日本の薬は品質が高く安全だとして人気があるということで、麻薬取締部は今後、中国の富裕層などに向けて薬が横流しされるケースが増える恐れがあるとみて監視を強めています。
 肥満の治療に詳しい東京逓信病院の顧問の宮崎滋医師は、マジンドールについて「副作用として、のどの乾きや睡眠障害、それに長期間の服用によって薬物への依存が起きるほか、神経に作用するためそれ以外の弊害も出てくる可能性がある」と指摘しています。
 マジンドールは糖尿病や高血圧などの合併症がある肥満の患者の治療薬として主に使われているということで、「やせ薬として使うことは許されないことで、やせ願望の人が安易に服用すると健康障害を起こす恐れもあるため、必ず医師の適切な処方を受けた上で服用してほしい」と話しています。

 2015年10月26日(月)




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