■人間の受精卵、ほぼ2週間の体外培養に成功 米英の2チーム [健康ダイジェスト]
人間の受精卵(胚(はい))を受精後12~13日間、シャーレ(皿)内で培養することに成功したと、アメリカとイギリスの大学の研究チームが4日付のイギリスの科学誌電子版にそれぞれ発表しました。
これまでは、体外では10日間も生存できないと考えられていました。受精卵の成長過程の詳しい解明につながることで不妊治療の技術の改良や、再生医療への応用が期待できる前例のない快挙だといいます。
アメリカのロックフェラー大などの研究チームはネイチャー誌に、イギリスのケンブリッジ大などの研究チームはネイチャー・セル・バイオロジー誌に論文を発表。マウスの受精卵の培養で開発した技術を応用し、人間の受精卵を培養液入りのシャーレ内で成長させる実験を行いました。
人間の受精卵は分割を繰り返し、5日前後に「胚盤胞(はいばんほう)」という状態になり、胎児や胎盤などになる部分ができます。不妊治療では、この段階までに子宮に戻します。
実験では、子宮に着床する7日目前後から受精卵を観察。胎児を包む膜や血液を供給する部分になる組織のもとができる過程や、遺伝子の働きを調べました。母胎からの信号がなくても、独自に成長する現象も確かめましたた。ロックフェラー大など研究チームの実験では、12日目で成長が部分的に止まったといいます。
国立成育医療研究センター研究所生殖医療研究部の阿久津英憲部長は、「子宮の中で起きていることと一致しているかはわからないが、これまでブラックボックスだった着床する時期の受精卵の成長過程が細かくわかったことは重要だ」と話しています。
臓器のもとになる細胞ができてくるのは、受精後14日ごろ。人間の受精卵を使った研究は倫理上の問題から、14日以内に限るという国際的なルールがあり、2つの研究チームはそれに従って実験を中止しました。
ネイチャー誌は、研究で得られるかもしれない成果を念頭に、14日に限る妥当性を改めて考える必要があるとする生命倫理学者の論文を同時に掲載しました。
14日ルールは、日本では文部科学省などの指針で定めています。生命倫理に詳しい滋賀大の位田隆一学長は、「技術的に可能になったからといってルールを変える必要があるのか。変えるのなら、倫理的に認められる条件は何か。研究の進歩は早いので、あらかじめ検討しておくほうがよい」と語っています。
2016年5月6日(金)
これまでは、体外では10日間も生存できないと考えられていました。受精卵の成長過程の詳しい解明につながることで不妊治療の技術の改良や、再生医療への応用が期待できる前例のない快挙だといいます。
アメリカのロックフェラー大などの研究チームはネイチャー誌に、イギリスのケンブリッジ大などの研究チームはネイチャー・セル・バイオロジー誌に論文を発表。マウスの受精卵の培養で開発した技術を応用し、人間の受精卵を培養液入りのシャーレ内で成長させる実験を行いました。
人間の受精卵は分割を繰り返し、5日前後に「胚盤胞(はいばんほう)」という状態になり、胎児や胎盤などになる部分ができます。不妊治療では、この段階までに子宮に戻します。
実験では、子宮に着床する7日目前後から受精卵を観察。胎児を包む膜や血液を供給する部分になる組織のもとができる過程や、遺伝子の働きを調べました。母胎からの信号がなくても、独自に成長する現象も確かめましたた。ロックフェラー大など研究チームの実験では、12日目で成長が部分的に止まったといいます。
国立成育医療研究センター研究所生殖医療研究部の阿久津英憲部長は、「子宮の中で起きていることと一致しているかはわからないが、これまでブラックボックスだった着床する時期の受精卵の成長過程が細かくわかったことは重要だ」と話しています。
臓器のもとになる細胞ができてくるのは、受精後14日ごろ。人間の受精卵を使った研究は倫理上の問題から、14日以内に限るという国際的なルールがあり、2つの研究チームはそれに従って実験を中止しました。
ネイチャー誌は、研究で得られるかもしれない成果を念頭に、14日に限る妥当性を改めて考える必要があるとする生命倫理学者の論文を同時に掲載しました。
14日ルールは、日本では文部科学省などの指針で定めています。生命倫理に詳しい滋賀大の位田隆一学長は、「技術的に可能になったからといってルールを変える必要があるのか。変えるのなら、倫理的に認められる条件は何か。研究の進歩は早いので、あらかじめ検討しておくほうがよい」と語っています。
2016年5月6日(金)
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