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■がん細胞に直接放射線を放つ新薬を開発 マウスで効果、量子科学研 [健康ダイジェスト]

 体内のがん細胞に直接届いて、そこだけに放射線を照射する新たな薬を、日本の研究チームが世界で初めて開発し、マウスで実験した結果、がん細胞を大幅に縮小させることに成功しました。
 手術を必要とせず副作用もない次世代のがんの治療法につながる成果として、注目されています。
 対象のがんは、副腎に発生する褐色細胞腫。国内では年間約3000人が発症するがんで、患者の大半は外科手術で治りますが、1割は全身に転移して有効な治療法がなくなります。
 新たな薬を開発したのは、放射線の技術を医療などに応用するために、今年4月に発足した国の研究機関である量子科学技術研究開発機構(千葉市)の研究チームです。研究チームでは、加速器と呼ばれる大型の装置で、ビスマスという金属にヘリウムを衝突させ、放射線が及ぶ距離が0・1ミリと短い「アルファ線」を出す「アスタチン211」という物質を作りました。
 そして、アスタチン211に、褐色細胞腫に集まる性質がある物質を組み合わせることで、褐色細胞腫に直接届いて、半径0・1ミリの範囲だけに放射線を照射する新たな薬を世界で初めて開発しました。
 研究チームでは、新たな薬の効果を褐色細胞腫を移植したマウスで実験したところ、2週間後、薬を投与しなかったマウスではがん細胞が3倍に拡大したのに対して、薬を投与したマウスでは、がん細胞が半分にまで縮小したということです。
 がんの放射線治療では、「ベータ線」を出す「ヨウ素131」が投与されていますが、がん細胞の周辺にある正常な細胞まで痛めて副作用を起こすことが課題になっています。この薬では、それを解決できると期待され、研究チームでは、7年以内の人への応用を目指しています。
 量子科学技術研究開発機構の研究チームの東達也部長は、「手術を必要とせず、患者への負担が少ない次世代のがんの治療法の確立に向けて、大きな一歩だ」と話しています。

 2016年6月13日(月)

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