■用語 垂れ乳 [用語(た行)]
出産、授乳、加齢などが原因となって乳房が垂れた状態
垂れ乳とは、出産や授乳、加齢などが原因となって、女性の乳房が垂れ下がった状態を指す症状。下垂乳房、乳房下垂症とも呼ばれます。
女性の乳房の理想は、両鎖骨間のくぼみである鎖骨上窩(じょうか)と左右の乳房にある乳頭の3点をそれぞれ結んだ三角形が正三角形であることとされていますが、左右の乳頭の位置が垂れ下がると縦長の二等辺三角形となります。このような状態を指す症状が、垂れ乳です。
女性の乳房の膨らみを形作っているのは乳腺(にゅうせん)組織、脂肪組織、クーパー靭帯(じんたい)と呼ばれる繊維の束の3種類です。クーパー靭帯は、乳房内に網の目のように張り巡らされており、乳腺組織、脂肪組織を大胸筋とつなぎ、乳房の膨らみを形作る役割を果たしています。
垂れ乳は、乳腺組織、脂肪組織を支えているクーパー靭帯が伸び切ってしまうことと、乳房を覆っている皮膚の衰えが主な原因となって、乳房の形が保てなくなることで起こります。
そのクーパー靭帯の伸び切り、乳房の皮膚の衰えは、加齢などによるホルモンバランスの変化、妊娠出産授乳時の乳房の大きさの急激な変化、乳房自体の重さ、物理的な刺激、姿勢の悪さなどが要因となって、起こります。
乳腺を発達させ、乳房の張りを保つのは、エストロゲンという女性ホルモンの役割です。加齢や不規則な生活によりホルモンのバランスが変化すると、エストロゲンの分泌が少なくなり、垂れ乳の原因となります。
また、妊娠出産授乳時に乳房の大きさの急激な変化を経験すると、クーパー靭帯と乳房の皮膚が伸びます。出産授乳時には、母乳を作るためのホルモンが働いて乳腺が発達して大きくなり、併せて乳房が大きくなり、それに合わせて皮膚も張って伸びてきます。やがて授乳の必要がなくなると、乳腺は委縮し、線維化し、脂肪化します。
しかし、クーパー靭帯と皮膚のほうは、それと同じように委縮しません。中身が減ったのに伸びているので、乳房の形が保てなくなり垂れるわけです。妊娠や出産、授乳を重ねることにより、次第に形状の変化が明らかになります。
同じ意味で、体重の急激な増減に伴う乳房の大きさの変化も、垂れ乳の原因となります。
元々乳房が大きく、乳房自体の重さがあることも、クーパー靭帯と乳房の皮膚の伸びにつながり、垂れ乳の原因となります。乳房が大きすぎて垂れている場合には、重さで肩が凝ったり、猫背になったり、ブラジャーのストラップが肩に食い込んだり、乳房の下縁部に皮膚炎ができたりすることもあります。
ノーブラでランニング、ジョギングなど胸が上下に動くような激しい運動を頻繁にしたり、過度の乳房マッサージをしたりなどの物理的刺激によっても、乳腺組織やクーパー靭帯が痛められることがあり、垂れ乳につながることがあります。
日ごろから背中が丸まった猫背など悪い姿勢をとっていると、大胸筋などの胸付近の血流が滞って悪くなる結果、乳房が冷えて栄養がゆき届かなくなり、張りを失って、垂れ乳を招くこともあります。
垂れ乳は主にごく自然な生理現象として起こるので、加齢に伴う経年変化として受け入れられるのであれば、特に治療の必要はなく、放置してかまいません。
美容的な問題により、改善したいと望むのであれば、乳腺(にゅうせん)外科、形成外科、あるいは美容整形外科を受診し、垂れ乳を治療する形成外科手術によって整えることを考えてみてもよいのではないかと思われます。
垂れ乳の検査と診断と治療
乳腺外科、形成外科、美容整形外科の医師による診断では、視診、触診で判断します。超音波(エコー)検査、マンモグラフィー(乳腺X線検査)で脂肪化した乳腺を確認すれば、診断は確定します。
乳腺外科、形成外科、美容整形外科の医師による治療では、乳頭の高さによって軽度、中等度、重度の段階があり、それぞれで方法が違ってきます。
軽度の垂れ乳に対する手術は、乳輪の周囲の皮膚を切除し引き締める乳輪移動術が一般的で、乳輪から上部に渡って皮膚を切り取り、上にずらして縫合します。
中等度の垂れ乳に対する手術は、乳房の下垂や乳輪の位置の修正を目的とした乳房固定術が一般的で、乳輪の上部の皮膚を丸く切り取り、乳輪をそこへ移動させ、乳腺組織と脂肪組織を上部に縫合し、固定します。手術の後、どうしても重力の影響で乳輪の形が微妙に縦型になったり、おむすび型になったりすることがあります。これに対しては、手術部が十分落ち着いてから必要に応じて乳輪の形の修正を行います。
重度の垂れ乳に対する手術は、乳房縮小術が一般的で、乳輪を上部に移動させるだけでなく、乳房の下方をピラミッド型に切除して上に持ち上げて縫合します。
また、乳房の大きい人の場合、中身も大きく垂れていることが多いため、乳腺組織や脂肪組織を同時に除去する乳房縮小術を併用する場合もあります。
逆に、乳房が小さかったり、張りがなくなったために垂れている場合には、脂肪注入やフィラー注入、あるいは人工乳腺(豊胸バッグ)挿入による乳房形成手術(豊胸手術)を行うことで、よい結果が得られることがあります。
左右非対称の乳房の治療の場合も、同じように小さいほうの乳房を乳房形成手術(豊胸手術)で大きくする方法、もしくは大きいほうの乳房を乳房縮小術で小さくする方法で、大きさをそろえる治療をします。
ほとんどのケースは、局所麻酔下の手術が可能で日帰り手術です。入浴に関しては、手術部がぬれない半身浴なら翌日から可能です。
手術後数時間程度で麻酔が切れると、徐々に痛みが出てくる場合がありますが、処方された薬を服用することにより軽減できます。また、一時的に乳頭の感覚が鈍くなる場合がありますが、時間の経過により徐々に通常の感覚に戻ります。傷が目立たなくなり希望の状態になるまで、約半年ほどかかります。
垂れ乳とは、出産や授乳、加齢などが原因となって、女性の乳房が垂れ下がった状態を指す症状。下垂乳房、乳房下垂症とも呼ばれます。
女性の乳房の理想は、両鎖骨間のくぼみである鎖骨上窩(じょうか)と左右の乳房にある乳頭の3点をそれぞれ結んだ三角形が正三角形であることとされていますが、左右の乳頭の位置が垂れ下がると縦長の二等辺三角形となります。このような状態を指す症状が、垂れ乳です。
女性の乳房の膨らみを形作っているのは乳腺(にゅうせん)組織、脂肪組織、クーパー靭帯(じんたい)と呼ばれる繊維の束の3種類です。クーパー靭帯は、乳房内に網の目のように張り巡らされており、乳腺組織、脂肪組織を大胸筋とつなぎ、乳房の膨らみを形作る役割を果たしています。
垂れ乳は、乳腺組織、脂肪組織を支えているクーパー靭帯が伸び切ってしまうことと、乳房を覆っている皮膚の衰えが主な原因となって、乳房の形が保てなくなることで起こります。
そのクーパー靭帯の伸び切り、乳房の皮膚の衰えは、加齢などによるホルモンバランスの変化、妊娠出産授乳時の乳房の大きさの急激な変化、乳房自体の重さ、物理的な刺激、姿勢の悪さなどが要因となって、起こります。
乳腺を発達させ、乳房の張りを保つのは、エストロゲンという女性ホルモンの役割です。加齢や不規則な生活によりホルモンのバランスが変化すると、エストロゲンの分泌が少なくなり、垂れ乳の原因となります。
また、妊娠出産授乳時に乳房の大きさの急激な変化を経験すると、クーパー靭帯と乳房の皮膚が伸びます。出産授乳時には、母乳を作るためのホルモンが働いて乳腺が発達して大きくなり、併せて乳房が大きくなり、それに合わせて皮膚も張って伸びてきます。やがて授乳の必要がなくなると、乳腺は委縮し、線維化し、脂肪化します。
しかし、クーパー靭帯と皮膚のほうは、それと同じように委縮しません。中身が減ったのに伸びているので、乳房の形が保てなくなり垂れるわけです。妊娠や出産、授乳を重ねることにより、次第に形状の変化が明らかになります。
同じ意味で、体重の急激な増減に伴う乳房の大きさの変化も、垂れ乳の原因となります。
元々乳房が大きく、乳房自体の重さがあることも、クーパー靭帯と乳房の皮膚の伸びにつながり、垂れ乳の原因となります。乳房が大きすぎて垂れている場合には、重さで肩が凝ったり、猫背になったり、ブラジャーのストラップが肩に食い込んだり、乳房の下縁部に皮膚炎ができたりすることもあります。
ノーブラでランニング、ジョギングなど胸が上下に動くような激しい運動を頻繁にしたり、過度の乳房マッサージをしたりなどの物理的刺激によっても、乳腺組織やクーパー靭帯が痛められることがあり、垂れ乳につながることがあります。
日ごろから背中が丸まった猫背など悪い姿勢をとっていると、大胸筋などの胸付近の血流が滞って悪くなる結果、乳房が冷えて栄養がゆき届かなくなり、張りを失って、垂れ乳を招くこともあります。
垂れ乳は主にごく自然な生理現象として起こるので、加齢に伴う経年変化として受け入れられるのであれば、特に治療の必要はなく、放置してかまいません。
美容的な問題により、改善したいと望むのであれば、乳腺(にゅうせん)外科、形成外科、あるいは美容整形外科を受診し、垂れ乳を治療する形成外科手術によって整えることを考えてみてもよいのではないかと思われます。
垂れ乳の検査と診断と治療
乳腺外科、形成外科、美容整形外科の医師による診断では、視診、触診で判断します。超音波(エコー)検査、マンモグラフィー(乳腺X線検査)で脂肪化した乳腺を確認すれば、診断は確定します。
乳腺外科、形成外科、美容整形外科の医師による治療では、乳頭の高さによって軽度、中等度、重度の段階があり、それぞれで方法が違ってきます。
軽度の垂れ乳に対する手術は、乳輪の周囲の皮膚を切除し引き締める乳輪移動術が一般的で、乳輪から上部に渡って皮膚を切り取り、上にずらして縫合します。
中等度の垂れ乳に対する手術は、乳房の下垂や乳輪の位置の修正を目的とした乳房固定術が一般的で、乳輪の上部の皮膚を丸く切り取り、乳輪をそこへ移動させ、乳腺組織と脂肪組織を上部に縫合し、固定します。手術の後、どうしても重力の影響で乳輪の形が微妙に縦型になったり、おむすび型になったりすることがあります。これに対しては、手術部が十分落ち着いてから必要に応じて乳輪の形の修正を行います。
重度の垂れ乳に対する手術は、乳房縮小術が一般的で、乳輪を上部に移動させるだけでなく、乳房の下方をピラミッド型に切除して上に持ち上げて縫合します。
また、乳房の大きい人の場合、中身も大きく垂れていることが多いため、乳腺組織や脂肪組織を同時に除去する乳房縮小術を併用する場合もあります。
逆に、乳房が小さかったり、張りがなくなったために垂れている場合には、脂肪注入やフィラー注入、あるいは人工乳腺(豊胸バッグ)挿入による乳房形成手術(豊胸手術)を行うことで、よい結果が得られることがあります。
左右非対称の乳房の治療の場合も、同じように小さいほうの乳房を乳房形成手術(豊胸手術)で大きくする方法、もしくは大きいほうの乳房を乳房縮小術で小さくする方法で、大きさをそろえる治療をします。
ほとんどのケースは、局所麻酔下の手術が可能で日帰り手術です。入浴に関しては、手術部がぬれない半身浴なら翌日から可能です。
手術後数時間程度で麻酔が切れると、徐々に痛みが出てくる場合がありますが、処方された薬を服用することにより軽減できます。また、一時的に乳頭の感覚が鈍くなる場合がありますが、時間の経過により徐々に通常の感覚に戻ります。傷が目立たなくなり希望の状態になるまで、約半年ほどかかります。
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