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■用語 臭汗症 [用語(さ行)]

[バー]汗くさいというものではなく、刺激のある特有の臭気を発する症状
 臭汗症とは、汗に不快な臭(にお)いがある状態を指す症状。
 腋(わき)の下、外陰部、臍(へそ)の周囲、乳輪などにはアポクリン汗腺(かんせん)がたくさんありますが、性ホルモンの影響を受けているため、思春期ごろから発汗が盛んになります。アポクリン汗腺から分泌された直後の汗には臭いはありませんが、汗には脂肪酸が含まれているため、皮膚の表面についている細菌により分解されることにより、刺激のある特有な臭いを発するようになります。
 この臭汗症には、腋臭(わきが、腋臭〔えきしゅう〕症)のほか、足臭症、すそ腋臭(陰部臭汗症)などがあります 。
 アポクリン汗腺は、特に腋の下に多く集まっているほか、瞼(まぶた)や鼻、外耳道、肛門(こうもん)周囲などにも分布しています。
 ちなみに、人が一生を通じて出す汗のほとんどは、アポクリン汗腺以外のもう一つの汗腺であるエクリン汗腺から出る水分を主成分とする分泌物で、アポクリン汗腺からの分泌物とは異なります。このエクリン汗腺からの分泌物そのものには、ほとんど臭いはありません。しかし、エクリン汗腺も、アポクリン汗腺の臭いの発散にかかわっています。
 臭汗症が軽い場合、発汗の少ない季節にはほとんど臭気を発しませんが、汗をかいたり、精神的に興奮すると、現れることがあります。汗をかいたままほうっておくと、臭いは強くなります。腋臭では、衣服の腋の下の部分が、黄色く変色します。
 汗の臭いが気になるという人と、臭いより汗の量が多く、服に染みができて困るという人がいます。狭義では、前者を腋臭(腋臭症)と呼び、後者は多汗症といって区別します。
 腋臭に気付いたら、腋の下を清潔に保つことが大切です。汗をかいた後はシャワーや入浴で汗をよく洗い流し、清潔な下着にこまめに取り替えます。制汗剤の外用も、ある程度効果があります。また、腋毛があると汗が付着して細菌が繁殖しやすくなるので、腋の下の毛を切ったり脱毛すると、臭いを減らす効果があります。
 このアポクリン汗腺の汗が臭う体質は、遺伝します。世界的に腋臭体質者の割合を見ると、日本人では10人に1人、中国人では30人に1人、白人では10人に8人、黒人では10人すべてとされています。
 このように日本人では腋臭を持つ者が少数派という事情と、日本人が清潔好きという理由があいまって、自分の腋臭の症状が気になり、仕事や勉強に集中できない、臭いを嗅(か)がれるのが怖くて他人と交流できないなど、悩みを持つ人の中には、専門の医師による手術を希望するケースも多々あるようです。
 しかし、腋臭は生命を左右するような疾患ではないため、たとえ腋の下の汗が多くて臭いが強いからといって、必ず手術しなければいけないものでもありません。本人が気にしなければ、臭いが強くても治療の対象にはならないということです。
 家族や親しい人から臭いを注意される場合は、皮膚科などを受診して相談することを考えてみてもよいのではないかと思われます。
[バー]臭汗症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは形成外科、美容外科の医師による診断では、臭汗症で最も多い腋臭(腋臭症)の場合、腋の下の汗をガーゼなどでぬぐい、臭いを嗅ぐことにより確定できます。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは形成外科、美容外科の医師による治療としては、外用治療、ボトックス注入、スマートリポ、医療レーザー脱毛、手術療法などがあります。
 外用治療では、何より清潔にすることが大切で、殺菌作用のあるせっけんでよく洗い、制汗剤をつけます。制汗剤としては、塩化ベンザルコニウム液や塩化アルミニウム液が用いられます。汗をかいた時は、汗ふきシートのようなものを塗ります。
 ボトックスは顔のしわの治療で知られますが、腋の下に注入することで、汗腺の活動を抑制し、汗の分泌を抑えます。注入後3~7日間で効果が現れ、約3、4カ月~半年の間は、汗の量を抑えることが可能です。
 スマートリポでは、腋臭の原因となる腋の下のアポクリン汗腺とエクリン汗腺に、スマートリポレーザーを照射し、汗腺を燃焼させます。メスを使用せず、直径1ミリの針状のレーザーを毛根部に差し込んで、汗腺を直接照射するので、傷跡が残る心配もありません。治療時間が約30分と短く、治療後すぐに帰宅が可能です。
 医療レーザー脱毛では、高い出力レベルに設定したレーザーで、毛穴に沿って存在しているアポクリン汗腺を毛穴ごと破壊してしまうことで、臭いを軽減します。ただし、この治療法で腋臭を治療する場合、3 回程度の照射を必要とするなど、症状の適応に限界があります。1回の治療は5分ほどで、日常生活に制限はありません。腋毛の脱毛も、同時に可能です。
 手術療法には、剪除(せんじょ)法(皮弁法)、吸引法、皮下組織削除法 、切除法がありますが、現在、保険適応で行われているのはほとんどが剪除法(皮弁法)です。腋の下の皮膚のしわに合わせ、3センチから4センチほどの切開を1本ないし2本入れ、指で皮膚を裏返し、目で確認しながらハサミでアポクリン汗腺を切り取っていきます。後は、切開した部分を縫い合わせるだけです。

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