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■人工知能、がん治療法を助言し命救う アメリカIBMの「ワトソン」 [健康ダイジェスト]

 東京大学医科学研究所が導入した2000万件の医学論文を学習した人工知能(AI)が、専門の医師でも診断が難しい特殊な白血病を10分ほどで見抜き、治療法を変えるよう提案した結果、60歳代の女性患者の命が救われたことがわかりました。
 人工知能は、このほかにも医師では診断が難しかった2人のがん患者の病名を突き止めるなど、合わせて41人の患者の治療に役立つ情報を提供しており、専門家は「人工知能が人の命を救った国内初のケースだと思う」と話しています。
 東京大学医科学研究所の附属病院は、アメリカの大手IT企業IBMなどと共同で、人工知能を備えたコンピューターシステムで、アメリカのクイズ番組で人間のチャンピオンを破った「ワトソン」に2000万件に上るがん研究の論文を学習させ、診断が極めて難しく治療法も多岐にわたる白血病などのがん患者の診断に役立てる臨床研究を昨年から進めています。
 このうち66歳の女性患者は当初、医師から「急性骨髄性白血病」と診断され、効果がある2種類の抗がん剤を組み合わせる標準的な治療を数カ月間、受けましたが、体の免疫機能を担う白血球の数は回復せず、高熱を出して意識障害を起こすなど容体が悪化し、その原因もわかりませんでした。
 このため、女性患者の1500に上る遺伝子の変化のデータをワトソンに入力し分析したところ、10分ほどで「STAG2」と呼ばれる遺伝子の変化が根本の原因を作り出している「二次性白血病」という別のがんにかかっていることを見抜き、抗がん剤の種類を変えるよう提案したということです。
 女性は治療が遅れれば、免疫不全による敗血症などで死亡していたおそれもありましたが、ワトソンが病気を見抜いたために命を救われ、無事退院しました。
 こうした病名の診断は、現在、複数の医師が遺伝情報のデータと医学論文を突き合わせながら行っているものの、データが膨大なために必ずしも結論にたどり着けるかどうかわからないということです。
 研究を行った東京大学医科学研究所の宮野悟教授は、「1人の医師がすべての膨大な医療情報を把握するには限界があり、情報を蓄積して自ら学習する人工知能の活用は医療の世界を変える可能性を秘めている」と話しています。
 また、人工知能学会の会長の山田誠二国立情報学研究所教授は、「人工知能が人の命を救った国内初のケースといってもいい。人工知能にとって医療やヘルスケアの分野は最も実用化が進む大きな市場になると予想され、今後も導入が進んでいくだろう」と指摘しています。
 こうした医療分野での人工知能の活用は、アメリカで先行しており、すでに複数の病院で白血病や脳腫瘍の治療の支援などに使われています。

 2016年8月5日(金)

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