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■用語 先天性陰茎湾曲症 [用語(さ行)]



[喫茶店]生まれ付きにより、男性の陰茎が勃起した時に湾曲する状態
 先天性陰茎湾曲症とは、生まれ付き備わっていることにより、男性の陰茎が勃起(ぼっき)した時に根元から、あるいは途中から湾曲する状態。
 上下に曲がる場合や左右に曲がる場合、両方が混在した場合などがあり、陰茎の中ほどから下方向にへの字型に折れ曲がる場合が一番多くみられます。勃起していない時はほとんど目立たない場合が多いのですが、勃起すると明らかな曲がりが確認できます。
 湾曲が強いと勃起自体に陰茎の痛みが伴うことがあるものの、勃起していない状態では陰茎の痛みはありません。陰茎の湾曲のほか、勃起弱化が起こることもあります。
 ほとんどの男性の陰茎はどこかの方向に曲がっているものの、大半は真っすぐといえる範囲に収まっています。先天性陰茎湾曲症でも軽度の湾曲は問題ないものの、陰茎の湾曲が強ければ、パートナーの女性の腟(ちつ)内への挿入は不可能となり性交ができなくなります。
 先天性陰茎湾曲症では、生まれ付き尿道の出口が陰茎の先より根元側にある尿道下裂に伴って、陰茎が下方向に屈曲するものが多数派で、尿道下裂に伴わずに左右やまれに上方向に屈曲する陰茎湾曲症も存在します。
 陰茎は、主に3つの海綿体で構成されています。陰茎の下側に尿道海綿体があり、中に尿道が通っています。その尿道海綿体の上方に、勃起に関係する2つの陰茎海綿体があります。尿道下裂に伴わない先天性陰茎湾曲症では、この陰茎海綿体の発育のバランスがすでに胎児の時点で取れていないために、長じるに及んで勃起した時に湾曲が生じます。陰茎自体の発育は、ほぼ正常です。
 先天性陰茎湾曲症の原因となる尿道下裂は、尿道の出口が陰茎の先端になくて、陰茎の途中や陰嚢(いんのう)などにある先天的な尿道の奇形で、陰茎背面の包皮が過剰なために、陰茎が下に向くことが多く認められます。
 尿道の出口の位置によって、会陰(えいん)、陰嚢に出口がある近位型、陰茎、冠状溝(かんじょうこう)、亀頭(きとう)に出口がある遠位型という分類や、上部型、中部型、下部型という分類があります。
 発生頻度は軽症のものを含めると、男児出生300~500人に1人の頻度でみられ、近年は増加傾向にあります。明らかな遺伝性はわかっていませんが、父親や兄弟での家族内発生が認められます。
 奇形の原因は、尿道が発達する段階で陰茎の腹側で尿道がうまくくっつかなかったことや、胎児の精巣が作り出すホルモンの異常、母親が妊娠中に受けたホルモンの影響などが考えられており、近年の増加は環境ホルモンの影響が疑われています。
 胎生8~9週に尿道の原基となる溝ができ、9週ごろから胎児の精巣から分泌されるテストステロン(男性ホルモン)により陰茎と尿道の形成が進みます。この段階でホルモンの産生や作用の異常が起きると、うまく尿道が形成されなくなると考えられます。尿道が形成されなかった組織が、陰茎の下方向への屈曲の原因になっています。
 症状は、尿道の出口が正常の位置と違っているために、排尿する際に尿が飛び散ることです。奇形の程度が強い場合は、男児でありながら立小便ができないことがあります。陰茎が曲がっていることが多く、特殊な場合として、尿道の出口は正常で陰茎の屈曲だけがみられることもあります。
 合併症として、尿道の出口が会陰、陰嚢に開く近位型では、停留精巣、矮小(わいしょう)陰茎、前立腺(せん)小室、二分陰嚢などが多いとされています。
 男児に尿道下裂の症状が認められた場合は、合併症の有無を含めて、早期に小児泌尿器科もしくは小児外科の医師に相談すべきです。停留精巣や陰嚢の発育不全を伴う場合には、性分化異常の可能性もあるので、染色体検査や精巣機能検査を行ったほうがよいとされています。
 先天性陰茎湾曲症は勃起した時に陰茎が曲がってしまうため、パートナーの女性との性行為の際にペニスを膣に挿入しにくかったり、挿入後にすぐに抜けてしまったり、女性が痛がったり、男性自身も亀頭部の摩擦が多くて痛みを生じるなどという問題が生じやすくなります。
 変形によるコンプレックスや、勃起に伴う陰茎の痛みに対する不安など、精神的なストレスから勃起不全(インポテンツ)に陥ることもあります。
[喫茶店]先天性陰茎湾曲症の検査と診断と治療
 小児泌尿器科、小児外科、泌尿器科、外科などの医師による診断では、先天性陰茎湾曲症の大部分の原因となっている尿道下裂の有無、発症の時期、陰茎知覚異常の有無、勃起硬度の程度などを問診します。
 さらに、陰茎にしこりがあるかどうか触診します。しこりがあれば、後天性陰茎湾曲症である陰茎形成性硬結症(ペロニー病)も疑います。超音波検査やMRI検査を行うと、しこりの厚さや大きさを観察できます。陰茎知覚異常がある場合には、振動覚測定を行います。
 尿道下裂が認められ、家族内発生があった場合や、奇形の程度が高度な場合には、半陰陽と区別するために染色体検査、ホルモン検査、内性器と性腺の確認のために内視鏡検査を行います。
 小児泌尿器科、小児外科、泌尿器科、外科などの医師による尿道下裂の治療では基本的に、ごく軽度の場合を除いて、手術による形成術が行われます。治療の目的は、正常な立位による排尿が行えることと、将来の性生活が支障なく行えることにあります。また、患児の男性としての自覚、精神発達に大きな影響を及ぼすため、機能だけでなく美容上の面からも満足するようにすべきです。
 手術は通常、日本では1~3歳で行われますが、欧米では10カ月前後で行われています。1~2歳で亀頭、包皮の発育が十分であれば、対象になります。矮小陰茎では、テストステロン軟こうなどで陰茎の発育を促します。
 形成術には、陰茎索の切除をまず行ってから形成術を行う二期手術と、一期的に行う手術とがあり、200以上の術式があるといわれています。奇形が高度な場合は二期手術をすることもありますが、近年は縫合糸、マイクロ機器の発達で一期手術が多く行われており、包皮を用いて尿の出口を新しく作り、曲がった陰茎をできるだけ真っすぐにし、必要な場合は亀頭の形成を行います。この形成術は非常に繊細なため、熟練した小児外科医が慎重かつ丁寧に行う必要があります。
 手術後の合併症としては、尿道の途中から尿が漏れて皮膚と交通したり、新しくつないだ尿道が狭くなったり、陰茎が屈曲したりすることが起こりやすく、再度手術が必要になることも少なくありません。
 生まれ付きテストステロン(男性ホルモン)が少ないため、手術後の思春期以降に陰茎が短いという訴えもみられます。この場合には、ホルモン療法を行うこともあります。
 小児泌尿器科、小児外科、泌尿器科、外科などの医師による尿道下裂に伴わない先天性陰茎湾曲症治療では、性交渉に障害が出るような場合やその可能性が高い場合、性交経験がなくても湾曲が強く将来的に性交渉に障害が出る可能性が高い場合、本人が希望すれば手術を行います。
 手術を行った場合、尿道海綿体を周囲組織から剥離(はくり)するだけで整復できることもありますが、 ほとんどは湾曲した形状の原因となっている陰茎海綿体を包む白膜(はくまく)という結合組織を切除します。方法としては、曲がる方向の反対側の白膜を切除して縫い縮める縫縮法(プリケーション法)で、勃起した時に真っすぐになるように矯正します。
 手術では、確実に湾曲を治すことができます。しかし、長いほうの白膜を切除することにより治すため、結果的に陰茎の短縮を伴いますので、移植手術などで陰茎海綿体や尿道の延長を行うこともあります。1時間30分ぐらいの手術で、3日間程度の入院が必要です。
 近年は、治療ができない場合、いくつかの手術も行われます。真皮(脂肪)移植や、陰茎海綿体の中に支柱材を埋め込むプロステーシス手術です。


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