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■子供の食べ物、家計のゆとりで格差 厚労省が乳幼児栄養調査 [健康ダイジェスト]

 家計にゆとりがある家庭の子供は野菜や魚の摂取頻度が多く、ゆとりがない家庭ではインスタント食品が多いという傾向が、厚生労働省が24日にまとめた2015年度の「乳幼児栄養調査」で、明らかになりました。
 厚労省によると、乳幼児に関し、経済状況と食べ物摂取の関連が明らかになったのは初めてといいます。
 乳幼児栄養調査は、食生活の改善に役立てるため1985年度から10年ごとに実施し、今年が4回目。保護者を通じ無作為に選んだ全国1106地区の6歳未満(2015年5月31日現在)の子供3871人を分析しました。経済状況に関する項目は、初めて設けました。
 その結果、家計に「ゆとりがある」と回答した家庭では、野菜を1日2回以上食べる子供が60・5パーセントだったのに対し、「ゆとりがない」とする家庭では46・4パーセントにとどまり、摂取頻度に差がみられました。「ゆとりがある」家庭では、魚を週4日以上食べる子供が49・5パーセントだったのに対し、「ゆとりがない」家庭では34・7パーセントにとどまり、摂取頻度に15ポイント近い差がみられました。大豆・大豆製品、果物でも、同様の傾向が出ました。
 一方、インスタントラーメンやカップ麺を週1回以上食べる子供の割合は、「ゆとりがない」家庭の13パーセントが「ゆとりがある」家庭の7・8パーセントの2倍近くに上りました。菓子・菓子パンでも、同様の傾向が出ました。厚労省は、「大人も同様の傾向にあり対策が必要。結果を分析した上で栄養施策に生かしたい」としています。
 また、食事が原因と思われるアレルギー症状は、約7人に1人の14・8パーセントが経験。そのうち87・8パーセントが医療機関を受診しましたが、11・2パーセントは受診しませんでした。受診しなかった保護者の対応(複数回答)は、「家族に相談した」(43・8パーセント)や「インターネットや雑誌で対処方法を探した」(25・0パーセント)が多くなりました。
 食物アレルギーの原因と思われる食べ物の除去や制限をしたことがある保護者は23・6パーセントでしたが、このうち約4割は医師の指示を受けていませんでした。厚労省は、「原因の食べ物を正確に特定しないとアレルギー症状を繰り返したり、不必要に栄養を除いたりする可能性がある」として、「調査結果を自治体などに知らせて、医師の指示を受けるよう啓発したい」と話しています。
 朝食を食べないことがある子供は6・4パーセントで、対象年齢などは異なるものの、10年前の2010年度と似た水準でした。ただし、保護者が「全く食べない」「ほとんど食べない」という世帯では、子供が「必ず食べる」割合がいずれも約8割に下がり、保護者の食生活を反映していました。
 授乳期の栄養方法は、母乳の割合が増加。出産施設での支援の充実などを背景に、生後1カ月では51・3パーセント(前回比で8・9ポイント増)、3カ月で54・7パーセント(前回比で16・7ポイント増)でした。
 女子栄養大の川端輝江・教授(基礎栄養学)は、「生活にゆとりのない家庭は、ゆとりのある家庭と比べ、親の年齢が若く、共働きや一人親も多いと考えられる。子供の食事内容の差は、金銭的な問題だけでなく、親の食べ物の好みや栄養や健康に関する知識、調理にかけられる時間の差を反映しているのだろう。栄養バランスの偏りは年齢が低いほど将来の健康問題への影響が大きい。生鮮食品は買い物が重要なので、時間の余裕がない家庭でも買い物がしやすい流通システムがあるといい」と話しています。

 2016年8月27日(土)

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