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■iPS由来細胞のがん化、薬剤による防止法を開発 慶応大学チーム [健康ダイジェスト]

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経幹細胞が、マウスの体内でがんになるのを防ぐ方法を、慶応大学の岡野栄之教授(生理学)と中村雅也教授(整形外科学)らの研究チームが開発しました。
 22日付で、アメリカの科学誌「ステム・セル・リポーツ」電子版に発表しました。iPS細胞による治療の安全性を高めるのが狙いです。
 iPS細胞が機能を持ったさまざまな細胞になる過程で、細胞が過剰に増殖して一部ががん化する恐れが指摘されています。治療に使うには、がん化をいかに防ぐかが最大の課題で、さまざまな方法が研究されています。
 研究チームは、神経幹細胞の中で、組織への分化や細胞の複製に重要な遺伝子の働きを調節する「Notchシグナル」と呼ばれる伝達経路に注目。人のiPS細胞から作った神経幹細胞を、このNotchシグナルが働かなくなるようにする「GSI(ガンマセクレターゼ阻害薬)」という薬剤につけてから、脊髄(せきずい)が損傷したマウスに移植しました。
 その結果、GSIで処理した細胞を移植したマウスは、細胞が異常に増えることなく、移植後に回復した運動機能も維持されました。一方、GSIで処理しなかった細胞を移植したマウスでは、腫瘍(しゅよう)ができる時にみられる異常な細胞の増殖が起き、一時回復した運動機能は42日目以降に再び低下しました。
 研究チームでは、早ければ来年度にも、交通事故などで脊髄が損傷した患者に対して、iPS細胞から作製した神経幹細胞を移植して体の機能を回復させる臨床研究を始める方針です。
 岡野教授は、「がん化というiPS細胞治療の課題を克服できる可能性がある。実験で確認した仕組みはほかの組織の細胞にもかかわっており、人への移植手術を行う上で、さまざまな組織の移植治療の安全性向上につながる」と話しています。

 2016年9月23日(金)

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